鍼治療は偽鍼治療とともに乳癌薬物療法によるホットフラッシュを軽減/ジョンズホプキンス大学 | 海外がん医療情報リファレンス

鍼治療は偽鍼治療とともに乳癌薬物療法によるホットフラッシュを軽減/ジョンズホプキンス大学

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

鍼治療は偽鍼治療とともに乳癌薬物療法によるホットフラッシュを軽減/ジョンズホプキンス大学

リリース:2013年12月23日

乳癌患者を対象とした小規模予備試験で、週1回の鍼治療と偽鍼治療はともに抗癌剤治療の影響によるホットフラッシュや他の副作用を軽減することを、ボルチモア大学の研究者らが明らかにした。

今回の結果は、本物の鍼治療用の鍼に似せた皮膚がちくりとする感覚であっても、症状を改善するのに十分な量の天然の化学物質を生み出す可能性があることを、これまでの報告に付け加えることになる。

メリーランド大学グリーンバウムがんセンターとジョンズホプキンスキンメルがんセンターの研究者らは、乳癌治療あるいは手術後再発の予防目的で使用される薬剤である、アロマターゼ阻害剤が関与している副作用の重症度を鍼治療が軽減できるかどうかの調査に着手した。アロマターゼ阻害剤は、閉経後患者においてエストロゲン合成を阻害するので、更年期に発現する症状などと同様の、中度から重度のホットフラッシュや関節痛、筋肉痛などの筋骨格上の問題の原因となる可能性がある。

試験のため、研究者らは、アロマターゼ阻害剤療法を少なくとも1カ月受けており、アロマターゼ阻害剤が関連した何らかの筋骨格症状が報告されたステージ0からⅢのホルモン受容体陽性乳癌を患う閉経後女性47人を登録した。患者らは、週1回計8回の鍼治療か偽鍼治療を受けるよう無作為に割り付けられ、その内の23人の患者が鍼治療を、24人が偽鍼治療を受けた。

さらに、研究チームは、開始から8週の間と12週目までに週1回ホットフラッシュに関する日誌を集めた。更年期症状、気分、睡眠の質、うつ症状、不安、生活の質などに関する別の質問票が、試験の開始時、4週、8週、12週後に回収された。

鍼治療を受けている群では、うつ症状、ホットフラッシュの重症度と頻度、ホットフラッシュに関連した日常生活への支障や他の閉経後の症状に対して統計的に有意な改善が見られたと研究者らは話す。偽鍼治療を受けている群では、生活の質、ホットフラッシュに関連した日常生活への支障や更年期症状に対して統計的に有意な改善を認めた。両群の女性とも、鍼治療および偽鍼治療によるホットフラッシュの重症度の平均減少率がそれぞれ31%、54%だった。

鍼治療と偽鍼治療の実施期間における効果を比較するため、偽鍼治療群では非穿通性で引込み式の鍼を用いて、通常の鍼治療で使われるツボとツボの間の皮膚上14カ所に据えた。非穿通性の鍼は、皮膚を刺すような感覚を生み出すので試験対象者は、鍼治療か偽治療のどちらを受けているのか分らなかった。

Cancer誌の12月23日の電子版にて発表された研究結果では、鍼治療群と偽鍼治療群との間の有益性において、全体としてほとんど相違はみられず、また、鍼治療による重篤な副作用を発現した患者は見られなかった。

研究者らは、患者の反応において人種的な相違に関して特に検証をしなかったが、アフリカ系アメリカ人女性では、鍼治療後のホットフラッシュの頻度と重症度がより低減していた場合が多く、偽鍼治療後は認められなかった。だが、試験に参加したアフリカ系アメリカ人は9人のみであり、確固たる結論を出すには、これは十分でないと研究者らは述べた。

偽鍼治療から利益を得られた女性もいたという事実によって、偽鍼治療の刺すような感覚が生理的効果を引き出すかどうかという疑問が浮かび上がっていると話しているのは、本研究の筆頭著者であり、メリーランド大学グリーンバウムがんセンターの医学博士・米国医療鍼認定委員会専門医・理学修士・助教授であるTing Bao氏である。

研究で使われる鍼治療のツボの約60%は、本来、筋骨格症状の治療で使われているものだが、ホットフラッシュ治療で使うツボと重なっている。

今年初旬に Breast Cancer Research and Treatment誌 の中で研究者によって発表された別の研究では、鍼治療、偽鍼治療ともアロマターゼ阻害剤が関連した筋骨格症状改善に有益であることが示されており、これには、炎症性タンパク質インターロイキン-17において統計的に有意な減少がみられたことが関与している。

「筋骨格上の副作用に対する現在の治療介入は、経口鎮痛薬と運動に限られています」とBao氏は言う。「しかし、これらのアプローチの効果には限界があり、経口鎮痛薬を長期的に使用するのは困難があると思います。患者さんが鍼治療に抵抗がなければ、理にかなった選択肢となります。」

アロマターゼ阻害剤投与を受けたことがある早期乳癌女性の60%がホットフラッシュを発現していることが研究で示されている、と語るのは、本研究の上席著者でありジョンズホプキンスキンメルがんセンター乳癌プログラムの共同責任者のVered Stearns医師である。従来のホットフラッシュ治療方法は薬剤によるものが挙げられるが、その使用は副作用のため限界があり、非薬理学的な介入の必要性が強調されていると言う。「これらの患者さんたちは多くの治療を受けてきていて、薬剤の追加はできる限り避けたいと考えている人もいるのです。」とStearns氏は付け加えた。

本試験は小規模であり、さらに検証が必要であると著者らは警告している。著者らは鍼治療と偽鍼治療で反応がみられた人種的な差異をさらに調査するためランダム化対照試験を計画している。

本研究は、American Society of Clinical Oncology Foundation Young Investigator’s Award、 Susan Komen Postdoctoral Fellowship Award、Breast Cancer Research Foundation、Craft grant from the Maryland Affiliate of Susan G. Komen for the Cureによって支援された。ジョンズホプキンス大学とメリーランド大学癌センターは国立癌研究所から資金提供を受けている。

共著者は、 Ling Cai博士、Kelly Betts氏、Michelle Medeiros氏、Saranya Chumsri 医師、Ming Tan博士、Harvinder Singh博士、Katherin H. Tkaczuk博士、以上メリーランド大学、Claire Snyder博士、Karineh Tarpinian氏、Jeff Gould氏, Stacie Jeter氏、Aditya Bardia医学博士、以上ジョンズホプキンス大学であった。Chumsri氏はNovartis社から顧問として報酬を受け、Novartis社、GSK社、Merck社から研究費の提供を受けている。Stearns氏はPfizer社、Novartis社より研究費の提供を受けている。これらの契約条件は各大学の利益相反ポリシーに従って管理されている。

メディア問合せ窓口:
Vanessa Wasta (ジョンズホプキンス大学 Vered Stearns氏宛) 410-614-2916, wasta@jhmi.edu
Karen Warmkessel (メリーランド大学 Ting Bao氏宛)
410-328-8919, kwarmkessel@umm.edu

******
滝川 俊和 訳
大野 智(腫瘍免疫/早稲田大学・東京女子医科大学)監修
******
原文

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward