ボルテゾミブの新規レジメンが幹細胞移植成績の向上に貢献/ダナファーバーがん研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

ボルテゾミブの新規レジメンが幹細胞移植成績の向上に貢献/ダナファーバーがん研究所

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

ボルテゾミブの新規レジメンが幹細胞移植成績の向上に貢献/ダナファーバーがん研究所

ボルテゾミブ(商品名ベルケイド)がGVHDの発症抑制と生存率向上に効果

ボルテゾミブ(商品名ベルケイド)を移植片対宿主病(GVHD)の標準的予防法に加えることで、不適合および非血縁ドナーから骨髄移植を受けた患者の移植後成績を向上させることが、ダナファーバーがん研究所の研究者により明らかになった。

米国血液学会年次総会での研究者たちの報告によれば、第2相臨床試験において、ボルテゾミブを投与した患者はこれまでの標準的なGVHD予防法を受けた患者と比べて、重症な急性GVHDの発症率および治療関連死亡率がいずれも低下し、1年生存率に改善が認められた。

「ボルテゾミブは単にGVHDを予防するだけでなく、適合同胞(兄弟)ドナーがいない患者に対する骨髄破壊的移植後の全生存期間および無再発生存期間の延長にも効果があると考えられます」と、ダナファーバーがん研究所の John Koreth医学博士(MBBS)は言う。Koreth氏は(本研究の)主著者および主任研究員を務めており、同研究所の Edwin P. Alyea, III医師が統括著者を務めている。

移植前に、患者の骨髄および免疫システムを全滅するため大量の抗がん剤を投与する骨髄破壊的移植前処置を伴う(造血)幹細胞移植は、進行性および侵攻性血液悪性腫瘍の根治療法である。適合同胞(兄弟)ドナーがいることが望ましいが、そうではない患者の場合、移植後成績は不良で、治療関連死亡率や重症GVHDの発症率が高く、生存期間も短いとKoreth氏は言う。

プロテアソーム阻害薬であるボルテゾミブは多発性骨髄腫治療の主な薬剤である。ボルテゾミブはがん細胞を死滅させるだけでなく、免疫反応を鈍らせる働きがある。これは、ボルテゾミブが、ドナーの免疫細胞が患者の正常組織を攻撃することで起きるGVHDを抑制することに役立つことを示唆する。

骨髄破壊的幹細胞移植を受けた血液悪性腫瘍患者34人を対象に行った、ボルテゾミブ療法のプロスペクティブ単一群第2相試験では、タクロリムスやメトトレキサートなどの標準的なGVHD予防治療薬に加え、移植翌日、4日目、7日目の3回にわたりボルテゾミブを患者に投与した。有害性により投与を行えなかった患者はおらず、忍容性は良好であった。

これまで、非血縁ドナーおよび不適合ドナーから移植を受けた患者の重症急性GVHD発症率はそれぞれ28%と37%であり、移植後1年間における治療関連死亡率は36%と45%、1年生存率は52%と43%である。

本研究においてボルテゾミブを投与した患者では、移植後180日での重症急性GVHDの発症率はわずか12%であった。移植後2年までに治療関連死により死亡した患者はわずか8.8%、腫瘍の再発により死亡した患者は5.9%で、移植から2年後時点での生存率は84%と高い数値を示した。

Koreth氏によれば、GVHD予防薬としてのボルテゾミブのランダム化試験が現在実施中であるという。

本研究におけるその他の著者は以下のとおり。 Haesook Kim, PhD and Joseph Antin, MD, both of Dana-Farber.

本研究は米国国立がん研究所(助成 P01 CA142106)、ミレニアム・ファーマシューティカルズ、大塚製薬株式会社からの資金提供を受けた。

******
今泉眞希子 訳
吉原 哲 (血液内科/造血幹細胞移植) 監修
******
原文

 

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1乳がん化学療法後に起こりうる長期神経障害
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  4. 4がんに対する標的光免疫療法の進展
  5. 5若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  6. 6「ケモブレイン」およびがん治療後の認知機能障害の理解
  7. 7コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  8. 8ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  9. 9HER2陽性進行乳癌治療に対する2種類の新診療ガイド...
  10. 10リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...

お勧め出版物

一覧

arrow_upward