小児白血病患者には痛みの少ない投与方法が安全で有効な可能性/ダナ・ファーバー癌研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

小児白血病患者には痛みの少ない投与方法が安全で有効な可能性/ダナ・ファーバー癌研究所

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

小児白血病患者には痛みの少ない投与方法が安全で有効な可能性/ダナ・ファーバー癌研究所

2013年12月10日

5年間の臨床データにより、PEG-アスパラギナーゼ静脈内投与は天然型L-アスパラギナーゼ筋肉内注射と同等であることが示唆された。

小児に最も多くみられるがん種である急性リンパ性白血病(ALL)の小児患者に対して、痛みを伴う筋肉内注射による化学療法中心の治療が40年以上行われてきたが、この治療法を改良した静脈内点滴による治療を安全に行える可能性が研究により示唆された。

研究者は、PEG化大腸菌L-アスパラギナーゼ(PEG: ポリエチレングリコール)の静脈内投与と天然型大腸菌L-アスパラギナーゼの筋肉内注射について、4年間無再発生存率と毒性を調べた。

過去に天然型同薬剤の静脈内投与に関連した重篤なアレルギー反応が認められたことから、臨床の現場では投与経路を筋肉内注射としていた。

この試験は、細菌由来の酵素薬剤2種の安全性、有効性、薬物動態を比較する最大規模の臨床試験の1つである。このDFCI ALL Consortium Protocol 05-001(DFCI ALLコンソーシアム・プロトコル05-001)の試験の結果は、第55回米国血液学(ASH)会議で発表された。

本発表のデータは、2005~2010年に米国とカナダの11施設で治療を受けた、1~18歳の小児ALL患者551人から得られたものである。

現在、米国では天然型L-アスパラギナーゼが入手できないことから、この知見は特に意義がある。

ダナファーバー癌研究所ALLコンソーシアムを代表してデータを発表したLewis B. Silverman医師は、ダナファーバー造血器腫瘍センター(Hematologic Malignancy Center)/ボストン小児がん・血液疾患センター(Boston Children’s Cancer and Blood Disorder Center)を統括する。

「この重要な薬剤が安全に静脈内投与できることを示すことが、患者の不快感に配慮した経静脈的投与が、リスクを増大させることもない、という安心を臨床の現場に与えることになるでしょう」とSilverman医師は述べている。

プロトコルに登録した全患者の4年無再発全生存率は86%で、これまで報告された小児ALLを対象とした試験の中で最も高い生存率の中に入る。

本試験の静脈内投与PEG-アスパラギナーゼ群と筋肉内注射天然型L-アスパラギナーゼ群との間に、無再発生存率に統計的な有意差は認められなかった(前者で92%、後者で90%)。

L-アスパラギナーゼの投与で生じうる副作用についても有意差は認められなかった。具体的な副作用発現率は、アレルギー反応で12%と9%、膵炎で11%と9%、凝固異常で6%と11%であった。

PEG-アスパラギナーゼはL-アスパラギナーゼより長時間血中に留まるが、これは患者が受ける治療の回数が少なくてすむことを意味する。

研究者によると、本試験の静脈内投与PEG-アスパラギナーゼ群の患者の最低血中薬物濃度は、筋肉内注射天然型大腸菌L-アスパラギナーゼ群と比較してほぼ8倍高いことが明らかとなった。

患児とその親を対象とした調査によって、PEG-アスパラギナーゼの静脈内投与を受けた患児が感じた痛みと不安は、筋肉内注射の群より小さなものであったことも示された。

PEG-アスパラギナーゼは大腸菌由来L-アスパラギナーゼの修飾製剤である。

以前の研究では、PEG-アスパラギナーゼは天然型大腸菌製剤よりもアレルギーを起こしにくい可能性が示されており、PEG-アスパラギナーゼの静脈内投与は、天然型大腸菌製剤よりも実現可能性が高いことが示唆されていた。

しかし、プロトコル05-001が開示された時も、ほとんどの腫瘍医は筋肉内注射薬としてPEG-アスパラギナーゼの投与を続けていた。

当時、アスパラギナーゼの静脈内投与の有効性と筋肉内投与の有効性とを直接比較する大規模な試験は行われていなかった。

プロトコル05-001は、比較的予後不良とされる、初期治療後の高水準の微少残存病変残存を認める小児B細胞性ALLの患児に対する強化治療レジメンに対しての研究も兼ねている。

この強化レジメンでの4年無再発生存率は77%であり、これは、同様の患者集団に対して過去に報告された治療成績よりもはるかに優れていた。

この研究は、国立がん研究所 (認可番号P01CA068484)に支援を受けた。また、試験時にPEG-アスパラギナーゼ(Oncaspar)を製造したEnzon Pharmaceuticals社に一部支援を受けた。

Silverman氏と共著者数名は、現在Oncasparを製造するSignma Tau Pharmaceuticals社の諮問委員会のメンバーである。

******
吉村 明子 訳
佐々木裕哉 (小倉記念病院 血液内科) 監修
******

原文

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1乳がん化学療法後に起こりうる長期神経障害
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3がんに対する標的光免疫療法の進展
  4. 4若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  5. 5BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  6. 6「ケモブレイン」およびがん治療後の認知機能障害の理解
  7. 7治療が終了した後に-認知機能の変化
  8. 8リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  9. 9コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  10. 10ASCO、がん臨床試験に対する適格基準の緩和を推奨

お勧め出版物

一覧

arrow_upward