タスキニモドで転移性前立腺癌患者の生存が延長する可能性/デューク大学医療センター | 海外がん医療情報リファレンス

タスキニモドで転移性前立腺癌患者の生存が延長する可能性/デューク大学医療センター

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タスキニモドで転移性前立腺癌患者の生存が延長する可能性/デューク大学医療センター

デューク医療ニュース・コミュニケーションズ

米国ノースカロライナ州ダーラム‐デュークがん研究所による解析の結果、前立腺癌患者、特に骨転移を伴う患者に対して、前立腺癌の治験薬[tasquinimod(タスキニモド)]は疾患の進行を遅らせ、また生存期間を延長させる可能性もあることが示された。

本試験の結果は、Clinical Cancer Research誌(2013年11月19日号)に発表され、進行および再発性前立腺癌に対する新たな治療候補薬タスキニモドの生存延長効果および安全性に関する長期データを追加する。

「タスキニモドは臨床試験のすべてのサブグループに有益でしたが、治療開始から疾患進行までの期間の延長に関しては、骨転移を伴う患者に最も有益でした」、と筆頭著者であるデュークがん研究所内科准教授のAndrew J. Armstrong医師/理学修士は述べた。「このサブグループの患者を数年間にわたり追跡調査したところ、より長い生存延長効果も示唆されました」。

タスキニモドはActive Biotech社がIpsen社と提携して開発中の薬剤であり、免疫系を賦活化して癌と戦う経口薬である。タスキニモドの作用機序は十分に解明されていないが、癌患者で増加していることが分かっている骨髄系由来サプレッサー細胞の機能に影響を及ぼすと考えられている。また、タスキニモドは腫瘍血管の成長(血管新生と呼ばれる過程)を抑制することも知られている。

新規の治療法が近年承認され、前立腺癌と戦うための新たな選択肢が医師や患者に提示されているが、これらの治療法は生存期間を概ね3~5カ月しか延長させない。したがって、重篤な副作用を引き起こすことなく生存期間を延長させる新薬は依然として必要とされている。

この第2相試験はActive Biotech社により資金提供された試験であり、転移性の去勢抵抗性前立腺癌患者(ホルモン療法に反応しなくなった前立腺癌の進行型)を対象としてタスキニモドの使用を検討した。この試験では201人を登録し、134人をタスキニモド群、67人をプラセボ群に無作為に割り付け、約3年間追跡調査した。

全生存期間、疾患進行の有無、ならびに試験薬の安全性および忍容性を検討した。また、タスキニモドの免疫系賦活作用をより理解するためにバイオマーカーの検討も行った。

Armstrong医師らの試験の結果から、疾患進行までの期間(無増悪期間)の平均値は、タスキニモド群では7.6カ月、プラセボ群では3.3カ月であった。骨転移を伴う患者における平均無増悪期間は、タスキニモド群では8.8カ月とむしろ延長し、これに対しプラセボ群では3.4カ月であった。

「タスキニモドは症状の発現や転移巣の成長を遅らせることで、化学療法など他の治療法の実施を遅らせ、良好な生活の質(QOL)を維持させると考えられます」、とArmstrong医師は述べた。「これは多くの患者や医療従事者にとっての重要な目標です」。

タスキニモド群の平均生存期間は33.4カ月で、プラセボ群では30.4カ月であった。一方、骨転移を伴う患者における平均生存期間はタスキニモド群34.2カ月、プラセボ群27.1カ月であり、その差は7カ月間であった。なお、PSA値、PSA倍加時間、乳酸脱水素酵素(LDH)値、貧血(それぞれ重要な予後因子)といった、その他の因子を統計的に補正した後でも、タスキニモドによる生存期間延長は維持された。

研究者らは、タスキニモドが最も有益な患者を予測する因子(ベースラインのPSA低値やほかのバイオマーカー)も特定した。

タスキニモドは安全と考えられ、その副作用は軽度から中等度で、軽度の胃腸障害、筋肉痛、関節痛、疲労が含まれる。

第2相試験の結果に基づき、骨転移を伴うホルモン療法抵抗性前立腺癌患者を対象とした国際共同第3相試験においてタスキニモドを現在評価中である。

「タスキニモドの有効性や作用機序、本剤が最も有益な患者、本剤を治療レジメンへ上手く組み込む方法、他の治療法との併用方法を明らかにするために、さらに研究を実施する必要があります」、とArmstrong医師は述べた。「また、タスキニモドは前立腺癌に特異的な薬剤ではありません。第3相試験でタスキニモドの有効性と安全性が示されれば、その他の癌に対しても免疫療法を検討する道が開かれるでしょう」。

本試験の著者は、Armstrong医師の他に以下が含まれます。

Michael Häggman氏[University Hospital of Uppsala(スウェーデン)]、Walter Stadler氏(University of Chicago)、Jeffrey Gingrich氏(University of Pittsburgh)、Vasily Assikis氏(Peachtree Hematology Oncology Consultants(アトランタ)]、Jonathan Polikoff氏[Kaiser Permanente Medical Group(サンディエゴ)]、Jan-Erik Damber氏[Sahlgrenska University Hospital(スウェーデン)]、Laurence Belkoff氏[Urologic Consultants(ペンシルバニア州南東部)]、Örjan Nordle氏およびGöran Forsberg氏(Active Biotech AB)、Michael Carducci氏(Johns Hopkins University、Sidney Kimmel Comprehensive Cancer Center)、Roberto Pili氏[Roswell Park Cancer Institute(バッファロー)]

Armstrong医師およびPili氏はActive Biotech社から資金提供を受けた。Nordle氏およびForsberg氏はActive Biotech社の従業員で株主である。本研究は、医療機関13施設からなる研究グループDefense Prostate Cancer Clinical Trials Consortium部門内で実施された。本研究グループは、前立腺癌患者を対象とした第1相および第2相試験をデザインし、実施・完了するよう取り組んでいる。

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永瀬 祐子 訳
榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院) 監修
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原文

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