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高コレステロールが乳癌の増殖および転移を促進/デューク大学医療センター

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高コレステロールが乳癌の増殖および転移を促進/デューク大学医療センター

ノースカロライナ州ダーラム - デューク癌研究所の研究者らの報告によると、コレステロールの副産物がホルモンであるエストロゲンと同様に、最も一般的な乳癌の増殖および転移を促進することが分かった。

研究者らはまた、スタチン類などの抗コレステロール薬がこのエストロゲン様分子の作用を減弱させる可能性があることを突きとめた。

2013年11月29日付のScience誌に掲載されたこの知見は、マウスモデルおよび腫瘍細胞を用いて得られた研究の初期段階のものである。しかし、特に閉経後女性における高コレステロールと乳癌の関連性について説明した初めての研究であり、食生活の改善やコレステロール低下療法もまた乳癌リスクを低減させるために容易で取り組みやすい方法であることを示唆している。http://youtu.be/gPyXpsE-gik より、ニュースリリースビデオの視聴が可能。

「多くの研究で肥満と乳癌の関連が示されており、具体的にはコレステロール値の上昇が乳癌リスクと関連していることが分かっていましたが、その仕組みは解明されていませんでした」と統括著者であるデューク大学の薬理学・腫瘍生物学部長であるDonald McDonnell博士は述べた。

「今回私たちが発見した分子は27HCと呼ばれ、コレステロールそのものではなく多く存在するコレステロール代謝物であり、エストロゲンを模倣して単独で乳癌増殖を促進することができます」

エストロゲンは全乳癌のおよそ75%で増殖を促す。McDonnell博士の研究室でこれまでに得られた主要な知見で、27-ヒドロキシコレステロール(27HC)が動物においてエストロゲンと同様の挙動を示すことが明らかになっている。

最近の研究で研究者らは、このエストロゲン活性単独で乳癌の増殖および転移の促進に十分かどうか、またこの作用の抑制により逆の作用を引き起こすかどうかの検討に乗り出した。

ヒトでの作用を高確率で予測できるマウスモデルを用い、McDonnell博士らは乳房腫瘍の増殖に加え、この腫瘍の他臓器転移の悪性度に27HCが直接関与していることを実証した。また、マウスに抗エストロゲン剤を投与した場合、あるいは27HCの補給を止めた場合、このコレステロール代謝物の活性が抑制されたことも指摘した。

本研究はヒト乳癌組織を用いて実証された。ヒト組織での更なる知見により、腫瘍の悪性度と27HC分子を作る酵素の多さとのあいだに直接的な相関性があることが示された。研究者らはまた、27HCが体内の他の場所で生成され腫瘍まで運ばれる可能性についても言及した。

「腫瘍の悪性度が高いほど、この酵素の量は多くなります」と筆頭著者であるデューク大学博士研究員のErik Nelson博士は述べた。Nelson博士によると、遺伝子発現研究により27HCへの曝露と抗エストロゲン剤であるタモキシフェンに対する耐性獲得とのあいだに関連がある可能性が判明したという。研究データはまた、乳癌治療で最もよく用いられる治療法のひとつであるアロマターゼ阻害剤の効果が、27HCの増加によりどのようにして減弱するのかについても強調している。

「これは非常に重要な発見です。ヒト乳房腫瘍は27HCを生成するこの酵素を発現するがゆえに、腫瘍増殖を促進するエストロゲン様分子を作っているのです。本質的に、腫瘍が異なる増殖促進分子を利用する仕組みを作り出したといえます」とMcDonnell博士は述べた。

McDonnell博士によると、本知見はスタチン剤や健康的な食生活によってコレステロールの管理を続けることが、乳癌リスクを低減するのに簡易な方法となることを示唆している。また、コレステロール値の高い乳癌女性にスタチン剤を投与することで、タモキシフェンまたはアロマターゼ阻害剤などの内分泌療法に対する耐性獲得を遅らせたり予防できる可能性がある。

研究の次のステップは、それらの考えられる結果を検証する臨床試験に加え、27HCが他の癌に関与しているかどうかを判定する試験などになるとMcDonnell博士は述べた。

McDonnell博士とNelson博士以外の著者は以下の通りである。Suzanne E. Wardell, Jeff S. Jasper, Sunghee Park, Sunil Suchindran, Matthew K. Howe, Nicole J. Carver, Ruchita V. Pillai, Patrick M. Sullivan, Varun Sondhi, Michihisa Umetani and Joseph Geradts.

 

本研究は米国国立衛生研究所(K99CA172357) (R37DK048807)および米国国防総省による資金援助を受けた。

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吉田 文 訳

金田澄子(薬学博士)監修

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原文

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