ワクチン接種により若年男性のHPV感染が低下 | 海外がん医療情報リファレンス

ワクチン接種により若年男性のHPV感染が低下

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

ワクチン接種により若年男性のHPV感染が低下

Vaccine Reduces HPV Infections in Young Men
(Posted: 03/29/2011)
– 国際的なランダム化臨床試験により、ワクチンであるガーダシルがワクチン接種時に16~26歳であった若年男性における肛門生殖器ヒトパピローマウイルス(HPV)感染の発症率を低下させることが示された。(Cancer Bulletin 2011年2月8日号(日本語訳)より転載)

4種類のヒトパピローマウイルス(HPV)株に対する免疫をつけることを目的としたワクチンであるガーダシルにより、ワクチン接種時に16~26歳であった若年男性における肛門生殖器のHPV感染率が低下したことを国際的なランダム化臨床試験が明らかにした。この研究成果は2月3日付のNew England Journal of Medicine誌に発表された。

ガーダシルは2006年に9~26歳女性の子宮頸癌、外陰癌、膣癌、生殖器疣贅[ゆうぜい](*いぼ)の予防を目的として初めて米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けた。ワクチンが標的とする4種のウイルス株のうち、HPV-6とHPV-11の2種類は大多数の場合、生殖器疣贅を発症させるが、残りのHPV-16とHPV-18によりすべての子宮頸癌のうち約70%が発症する。また、HPV-16とHPV-18は肛門癌、陰茎癌、口腔咽頭癌にも関連している。2009年にFDAは今回の試験結果に基づき、若年男性の生殖器疣贅の予防ワクチンとして、ガーダシル適用範囲を拡大した。

製薬会社のメルクが計画したこの試験には、18カ国から4,065人の若年男性が登録された。2,032人は6カ月間にワクチンを3回接種する群に無作為に割り付けられ、2,033人は同じ期間にプラセボの投与を受けた。H・リー・モーフィットがんセンター&研究所のDr. Anna R. Giuliano氏らは、試験参加時に被験者のHPV感染状態を測定したのち、組み入れ後3年間も定期的に測定した。また参加者は定期的に身体検査を受け、HPV関連の生殖器皮膚病変の有無が確認された。

研究者らは、重複する2群の参加者に対する解析を行った。治療意図に基づく(intention-to-treat)コホート(集団)には、組み入れ時のHPV感染状態にかかわらず、少なくともワクチンもしくはプラセボを1回以上投与された男性が含まれる。プロトコルに適合した(per-protocol)コホートには、3回すべて接種し、試験のワクチン接種期間を通じてワクチンが標的とする4種類のHPV株すべてに対して陰性であった男性のみが含まれている。すなわち、ワクチン接種の終了以前に感染した男性は除外された。ガーダシルはHPV感染を予防するようにデザインされており、すでに成立した感染除去率を高めてはいないとみられているため、推定される有効性は治療意図に基づくコホートよりもプロトコルに適合したコホートの方が高くなる。

治療意図に基づくコホートでは、皮膚病変の65.5%が予防され、その多くはワクチンにより標的とされている4種のHPV株のうち2種に関連する生殖器疣贅であった。以前にウイルスに曝露していない男性を含まむ、プロトコルに適合したコホートでは、ワクチンにより皮膚病変の83.8%が予防された。

身体のいずれかの部位に生じた4種のうちいずれかのHPV株による6カ月以上の持続性感染の割合は、治療意図に基づくコホートでは47.8%低下し、プロトコルに適合したコホートでは85.6%低下した。低い割合ではあるが、感染者に最終的に癌を発症する可能性のあるHPV-16とHPV-18の持続性感染は、プロトコルに適合したコホートではそれぞれ79%と96%減少したが、これはごく少人数のデータに基づいた数値である。ワクチンが男性におけるHPV関連癌の発症を予防するかに関しては、追跡期間を大幅に長くした追加的な試験が必要であろうと著者らは記している。

2010年12月22日にFDAは、9~26歳の男性と女性双方に対する肛門癌と、関連する前癌病変の予防に対してガーダシルを承認した。この承認は、今回の試験のうち他の男性と性交渉を持った経験のある男性集団における解析結果に基づいて行われた。Dr. Giuliano氏らは、HPV-16とHPV-18感染によるグレード1、2、3の肛門上皮内腫瘍が78%減少したことを見出した。肛門癌の約90%がHPV感染と関連があるとされている。

******
窪田 美穂 訳
榎本 裕(泌尿器科/東京大学医学部付属病院)監修
******

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1乳がん化学療法後に起こりうる長期神経障害
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3がんに対する標的光免疫療法の進展
  4. 4「ケモブレイン」およびがん治療後の認知機能障害の理解
  5. 5若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  6. 6BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  7. 7治療が終了した後に-認知機能の変化
  8. 8ASCO、がん臨床試験に対する適格基準の緩和を推奨
  9. 9コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  10. 10ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず

お勧め出版物

一覧

arrow_upward