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一部の乳癌女性では広範なリンパ節郭清を必要としない

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一部の乳癌女性では広範なリンパ節郭清を必要としない

Some Women May Not Need More Extensive Lymph Node Surgery for Breast Cancer
(Posted: 03/31/2011)
– 乳癌が小さくリンパ節転移がごくわずかな乳癌女性では、乳腺腫瘍摘出術、全乳房照射放射線治療、アジュバント全身療法を受けている場合、腋窩リンパ節郭清はセンチネルリンパ節生検と比べて生存率の向上をもたらさないとがランダム化臨床試験結果で示された。(Cancer Bulletin 2011年2月22日号(日本語訳)より転載)

リンパ節陰性の早期乳癌患者の場合、疾患の再発や全生存に影響することなく、摘出する組織がより少なくすむことは、これまでの臨床試験で示されている。今回、その知見をさらに裏づけたのは、カリフォルニア州サンタモニカにあるジョン・ウェイン癌研究所のDr. Armando Giuliano氏をリーダーとする研究である。彼らの研究によると、癌細胞が隣接リンパ節中に認められたとしても、一部の早期乳癌患者では、腋窩リンパ節廓清術(ALND)と呼ばれる手術を必要としないことが明らかになった。この研究は2月9日にJAMA誌に発表された。

ACOSOG Z0011と呼ばれるこの第3相ランダム化試験では、センチネルリンパ節生検(SLNB)(癌細胞の有無を検査するために腋の下のリンパ節を1個か2個摘出)を受け、癌細胞が検出された(陽性)早期乳癌患者の生存率は、センチネルリンパ節生検後に腋窩リンパ節郭清(腋の下から多数のリンパ節を摘出する)を受けた患者の生存率と同じであった。試験に参加した患者のほとんどは、乳房全体への放射線治療に加えて、全身治療(ホルモン療法、化学療法、またはその両方)も受けていた。

「これらの結果は、陽性センチネルリンパ節が1~2個である患者のなかにはセンチネルリンパ節生検のみを行えばよいとの裏づけとなり、何千人もの女性が完全な腋窩リンパ節廓清術を行う場合の副作用を免れるかもしれません」とコメントしたのは、米国国立癌研究所(NCI)癌治療・診断部門の乳癌治療学の長であるDr. Jo Anne Zujewski氏である。

ハーバード大学医学部のDr. Eric Winer氏は研究に参加しなかったが、「このデータは特定の患者集団に限られたものです」と注意する。「医師…は、この結果を、この臨床試験の適格性を満たさないと思われる患者に適用するには、非常に用心深くあらねばなりません」とWiner氏は言う。不適格の患者とは、触診で触れる腋窩リンパ節のある患者、直径5cmを超える乳房の腫瘍のある患者、手術前に化学療法またはホルモン療法を受けた患者、乳房温存手術+放射線ではなく乳房切除術(全摘)を受けた患者が含まれる。

1880年代に始まった根治的(定型的)乳房切除術は、乳癌の初めての手術療法であったが、QOLの大きな犠牲のうえに行われた。この外観を損なう手術では、乳房、その下の胸筋、腋の下のリンパ節全部など、組織を大量に摘出し、女性たちには痛みやリンパ浮腫など生涯続く広範囲な副作用が残った。

現在、ほとんどの早期乳癌患者は乳房切除術ではなく乳房温存手術とその後の放射線療法を受けるが、より進行した疾患であれば非定型的(胸筋温存)乳房切除術を受ける。

「患者は侵襲的手術を避けたいと強く思っています」と述べるのは Giuliano氏である。「より小さい手術がどれほど効果的かを、乳腺腫瘤摘出術(患部のみを摘出)ですでに見ているのです」。

この試験に登録した患者は、半数はセンチネルリンパ節生検とその後のリンパ節郭清を受ける群(ALND群)に、残りの半数はセンチネルリンパ節生検のみを受ける群にランダムに割り付けられた。摘出した腋窩リンパ節数の中央値は、リンパ節郭清群で17個、センチネルリンパ節生検のみの群で2個であった。全患者が乳房温存術を受け、その後、乳房全体の放射線療法を受けた。術後補助化学療法とホルモン療法の使用は患者ごとに個別に決められた。

6年超(中央値)の後に、5年全生存率は、リンパ節郭清群で91.8%、センチネルリンパ節生検のみの群で92.5%であった。疾患再発率は両群でほぼ同等であった。

「手術+放射線療法(局所療法)で得られるのは癌の局所コントロールです」とGiuliano氏は説明する。局所コントロールとは、癌が乳房や近傍組織に再発するのを防ぐことをいう。「局所コントロールができない場合、生存率に影響することもありえますが、(この試験では両群で)非常に高いコントロール率を得ているので、時を経て生存率に差がでることはないと思います」。

重要なのは、両群のほとんどの患者が何らかの全身療法を受けたことである。「ほぼ全患者が何らかの全身療法を受ける時代ですから、センチネルリンパ節生検後に、さらにリンパ節を摘出しても利益が増すことにはならないと、この試験は示唆しているのでしょう」とWiner氏は述べた。また、全身療法は、リンパ節を含む身体中の癌細胞を死滅させるため、「全身療法を行わない場合にもこの結果が得られたのかどうかは言えませんが、差はありえたというのは妥当な仮説だと思います」と彼は説明した。

手術の負の副作用の発現率はリンパ節郭清群の方が高く、70%に創傷感染、治癒の遅れ、疼痛が認められたのに対し、センチネルリンパ節生検のみの群では25%であった。リンパ浮腫も前者で多く報告された(試験中に認められた副作用の完全なデータは、以前の論文中で報告された)。

ACOSOG Z0011試験の結果は、1970年代以来、乳癌治療において達成された全般的な向上の「証し」であると、エモリー大学、ウィンシップ癌研究所のDr. Grant Walter氏とDr. William Wood氏はJAMA誌の付随論説で記している。1970年代は、より侵襲性の低い乳癌治療を検証する最初の大規模臨床試験が始まった時期であった。診断後5年生存できた患者は、その試験当時は60%にすぎなかったのに対し、今回の試験では90%を超えていた。

全米115の病院から募集された患者で試験に適格であったのは、大きさが5cm以下の乳房の腫瘍があり、明らかに腫脹したリンパ節がなく、センチネルリンパ節生検で癌細胞が検出されたリンパ節は2個以下であった。

この試験には当初1,900人の患者登録が計画されていた。しかし、試験の両群で生存率が非常に高いので、20年たっても両群間の全生存率の差を見出だせるだけの死亡は発生しないとみられることから、データおよび安全性モニタリング独立委員会は、891人が参加した時点で登録を終了するよう勧めた。

全生存率が優れていたため、この試験計画時の患者登録目標数に達しなかったことから、Winer氏はこの結果を最終的なものとすることに慎重な姿勢を促している。「しかし、これより良いデータは得られないと思います。この結果と、この結果から一部の外科医や患者は腋窩リンパ節廓清術を行うのを避けるであろうことを考えれば、同じ患者集団においてもう一つのランダム化試験を実施するのはほぼ不可能になるでしょう」。

「ただ、いくぶん異なる患者集団での臨床試験の余地はあると思っています」と言葉を続けた。「この試験は温存手術と放射線治療を受けた患者だけを対象にしたものですから」。

毎年、乳癌と診断され、その疾患がこの試験の適格基準を満たす何千人もの女性にとっては、リンパ節郭清はさしあたって過去のものとなるかもしれない。「乳癌患者は、自分の選択肢について主治医と話し合うべきです。かつて考えていたほど徹底的な手術を必要としない可能性があります」とGiuliano氏は述べた。

—Sharon Reynolds

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鈴木 久美子 訳
原 文堅(乳腺科/四国がんセンター) 監修
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