HER2陽性乳癌患者の奏効達成にトラスツズマブとアンスラサイクリン系薬剤の同時併用療法は不必要/MDアンダーソンがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

HER2陽性乳癌患者の奏効達成にトラスツズマブとアンスラサイクリン系薬剤の同時併用療法は不必要/MDアンダーソンがんセンター

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HER2陽性乳癌患者の奏効達成にトラスツズマブとアンスラサイクリン系薬剤の同時併用療法は不必要/MDアンダーソンがんセンター

HER2陽性乳癌患者の奏効達成にトラスツズマブとアンスラサイクリン系薬剤の同時併用療法は不必要
MDアンダーソンがんセンター
2013年11月12日

第3相試験で病理学的完全奏効率を検討

トラスツズマブとアンスラサイクリン系薬剤の同時投与はHER2陽性乳癌の治療に有効であるが、この併用療法が心毒性リスクの上昇と関連するかもしれないという懸念がある。テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの教授であり臨床研究副責任者である Aman Buzdar医師とAlliance for Clinical Trials in Oncologyの同僚らが行った新研究によると、高い病理学的完全奏効率(pCR )を達成するのに、これらの薬剤を同時に投与する必要はないことが判明した。

Lancet Oncology誌に発表された本知見は、アンスラサイクリン系およびタキサン系化学療法との併用でトラスツズマブを投与するタイミングについて検討した結果である。

「MDアンダーソンがんセンターで実施した以前の研究では、HER2陽性乳癌患者において、アンスラサイクリン系などの化学療法剤とトラスツズマブの同時投与により、高い病理学的完全奏効率が認められました」とBuzdar医師は述べた。「最近の試験で私たちは、高い病理学的奏効率を達成するためにアンスラサイクリン系薬剤とトラスツズマブの同時投与が必要であるのか否か、あるいはこれらの薬剤を順番に投与してもよいのかどうかを検討しました。その結果、両治療群ともに高い病理学的奏効率をみとめ、心臓安全性プロファイルも同程度であることがわかりました」。

本ランダム化第3相試験では、2007年9月から2011年12月にかけて、手術可能なHER2陽性浸潤性乳癌女性280人を米国内36施設に登録した。

患者を以下の2つの治療レジメン群に無作為に割り付けた。順次投与群の138人には、フルオロウラシル+エピルビシン+シクロホスファミドを4サイクル投与(1サイクル21日間の1日目に投与)した後に、パクリタキセル+トラスツズマブを週1回12週間投与した。

同時投与群の142人には、パクリタキセル+トラスツズマブを週1回12週間投与した後、フルオロウラシル+エピルビシン+シクロホスファミドを4サイクル投与(1サイクル21日間の1日目に投与)するのと並行して、同じサイクルの1、8および15日目にトラスツズマブを投与した。

両群の患者はそれぞれ、合計1年間のトラスツズマブ療法を受けた。本試験の主要評価項目は、乳房内の病理学的完全奏効を得た患者の割合、すなわち手術時に乳癌の組織学的エビデンスを認めずネオアジュバント療法を開始した女性の割合とした。

「私たちのこれまでの経験から、病理学的完全奏効を達成すれば、患者の90%以上でより長期の追跡期間においても疾患の進行はないままであることがわかっています」と、本試験の首席試験責任医師でもあるBuzdar医師は述べた。

両治療群で同程度の奏効を確認

試験の結果、病理学的完全奏効を達成した患者の割合は、順次投与群の56.5%に対し、同時投与群では54.2%であり、両群に統計学的有意差は認められなかった。

次なるステップ

現在、研究者らは患者の治療反応性についての理解を深めるため、試験中に採取した乳癌腫瘍の遺伝子プロファイルを解析中である。この解析の目的は、これらの治療に対し感受性をもつ腫瘍の特質について評価すること、また同時に治療に耐性をもつ腫瘍の遺伝子プロファイルを同定することにある。

MDアンダーソンがんセンターの腫瘍外科教授であり、同じく本試験の試験責任医師であるKelly Hunt医師は、「治療に対し病理学的完全奏効を示す見込みが最も高い患者を同定することができれば、将来そのような患者における手術を減らせる、もしくは実施しなくてすむ可能性がでてきます」と述べた。

本研究は、米国国立癌研究所からの助成金(American College of Surgeons Oncology Groupに対しU10CA76001および Alliance for Clinical Trials in Oncologyに対しCA33601)による援助を受けた。

Buzdar医師の他に本研究に関わった研究者は以下のとおりである。Kelly Hunt, M.D., Funda Meric-Bernstam, M.D., and Michael Ewer, M.D. Other authors include: Marilyn Leitch, M.D., The University of Texas Southwestern Medical Center, Matthew Ellis, Ph.D., Washington University School of Medicine in St. Louis, Judy Boughey, M.D., The Mayo Clinic, Gary Unzeitig, M.D., Doctors Hospital of Laredo Texas, Melanie Royce, M.D., Ph.D., University of New Mexico Cancer Center and Linda McCall, Duke Cancer Institute.

Alliance for Clinical Trials in Oncologyは、米国国立癌研究所が支援する臨床試験ネットワークであり、米国内およびカナダの病院、医療センター、地域診療所の癌専門家およそ1万人で構成されている。この同盟は、新規の有望な癌療法の臨床試験の計画と実施に貢献し、癌の最適治療と予防における戦略の発展、および癌と癌治療の副作用を軽減する方法の探索に科学の粋を結集させている。

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吉田 文 訳
原 文堅 (乳腺科/四国がんセンター)監修
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原文


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