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FDA既承認の抗鬱剤が致死性の高い肺癌に有効な可能性/スタンフォード大学

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FDA既承認の抗鬱剤が致死性の高い肺癌に有効な可能性/スタンフォード大学

2013年9月26日

Stanford University School of Medicineの研究者による新たな研究によると、あまり使われていない抗鬱剤が致死性の高い肺癌の治療に有効である可能性がある。

これらの薬剤は米国の食品医薬品局により人への使用が承認されているので、研究者らは患者に対して自分たちの理論を検証するための臨床試験にすぐに着手することができた。現在、第2相試験において、小細胞肺癌のほか、悪性度の高い消化管神経内分泌癌のような癌の参加者を募集している。元々承認されていた疾患ではないほかの疾患の治療に使えるように既存の薬品を「リポジショニング(別の疾患を適応症とする薬剤としての利用)」することは、現代の膨大な遺伝子学と生物学のデータベースがいかに医学的対応法を変化させているかを示す一例である。

「われわれはふつう実験結果を薬物治療として成功させるのにかかる10年もしくはそれ以上の年月と10億ドルもの資金を、おおよそ1~2年に短縮し、10万ドルにまで節約しようとしているのです」と小児科の准教授であるAtul Butte医学博士は述べた。

Butte医師は、スタンフォードのLucile Packard Children’s Hospitalの小児生物情報センターのディレクター、システム医学部門長であり、Cancer Discovery誌の9月27日電子版に掲載された本研究の共同統括著者である。小児科学の准教授であるJulien Sage博士は、もう一人の統括著者である。本研究の主著者は、Nadine Jahchan医学博士で、臨床試験の研究責任者は内科学の助教であるJoel Neal医学博士である。

「小細胞肺癌は全肺癌中の15%に過ぎないものの、極めて致死率が高い。小細胞肺癌の5年生存率はわずか5%で、過去30年間に単独で効果のある治療法は開発されていません。しかし、われわれがこれらの薬品を培養皿またはマウスで増殖させた人間の癌細胞で試験すると、薬品は驚くほど効果を発揮するではありませんか」とSage氏は言った。「それはなぜか、この薬品により、細胞の自己破壊的な経路が活性化されたために癌細胞は死滅したのです」。

研究者らはButte医師の研究室で、現在開発中の薬剤を電子化することに成功し、それを利用した。Butte医師と以前の相談役であるメンバーのJoel Dudley 氏もまた、この論文の共著者であり、この研究に記載されていることの知的財産権を有し、臨床で用いられる医薬品をさらに開発するNuMedii社という会社を設立してその株を保有している。Butte医師とSage氏とDudley氏とJahchan氏は、ある三環系抗鬱剤と神経内分泌腫瘍の関連分子使用の特許権者である。

Jahchan氏は研究所で増殖した人間の小細胞肺癌細胞と、研究所のマウスで増殖した腫瘍に対し、イミプラミンと呼ばれる三環系の抗鬱剤の効果を試験した。彼女はその薬剤は癌細胞内の自己破壊経路を強く活性化させること、動物において転移を遅らせる、あるいは阻止することができることを発見した。その薬剤は癌細胞がすでに従来の化学療法治療薬に暴露されたか耐性を持っているかどうかに関わらず、効果を維持した。もう一つ、プロメタジンという抗ヒスタミン剤も生物情報学スクリーニングによって癌細胞を死滅させる能力を有することが確認された。

インプラミンは非小細胞肺腺癌と呼ばれる肺癌のもう一つの主要な型からの細胞には影響を及ぼさなかったが、膵臓神経内分泌癌やメルケル細胞癌と呼ばれる進行の速い皮膚癌、あるいは神経芽細胞腫と呼ばれる小児悪性腫瘍など、その他の神経内分泌腫瘍からの細胞の増殖を阻害した。(神経内分泌細胞は神経系からシグナルを受け取り、アドレナリンのようなホルモンを血液内に分泌して身体の機能に影響を及ぼす)

その後の研究により、それらの薬剤はGタンパク質共役受容体と呼ばれる癌細胞表面の分子種を通じて作用しているらしいことが示されたが、研究者らは、それらの薬剤がどのように神経内分泌腫瘍の細胞を特異的に死滅させるかをさらに詳細に検討している。

Sage氏は「Butte医師の研究室とわれわれの共同作業により、実に迅速に最初の考えから確信できる結果へとたどりつくことができた。生物情報学的アプローチが確立され、薬がFDAで承認されたものであったおかげで最初に議論をしたときから臨床試験まで20か月も経っていなかった。ほとんど望みのもてない病気にフォーカスしたことにより、より早く前進することができた」と述べた。

デシプラミンと呼ばれるイミプラミンに関係する分子を使用した進行中の臨床試験に関する情報をさらに知りたい場合はStanford Cancer Clinical Trials Office に連絡してください。 (650) 498-7061 or email ccto-office@stanford.edu

その他の研究者は次のとおりである。Pawel Mazur, a postdoctoral scholar in the Sage lab; Natasha Flores, a cancer biology PhD student in the Sage lab; Dian Yang, a cancer biology PhD student in the Sage lab; Alec Palmerton, a Stanford MD student; Anne-Flore Zmoos, the lab manager in the Sage lab; Dedeepya Vaka, a data analyst in the Sage lab; Kim Tran, a research assistant in the Sage lab; Margaret Zhou, a Stanford undergraduate student; Karolina Krasinska, a science and engineering associate at Stanford’s Mass Spectrometry Center; Purvesh Khatri, acting assistant professor in medicine (Center for Biomedical Informatics Research); and Kwon Park, a postdoctoral scholar in the Sage lab.

この研究は以下に資金提供を受けた。the Lucile Packard Foundation for Children’s Health, the Department of the Army, a National Library of Medicine Biomedical Informatics Training Grant, the National Cancer Institute (grant 5R01CA138256-04), the National Institute of General Medical Sciences (grant R01GM079719), a Stanford Dean’s Fellowship, the National Radiology Society of America, the Tobacco-Related Disease Research Program and the Stanford Cancer Institute. Sage is also supported by Harriet and Mary Zelencik and by the Lucile Packard Foundation for Children’s Health.

この研究に協力したStanford’s Department of Pediatrics に関する情報はhttp://pediatrics.stanford.eduからも入手可能です。

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池上紀子 訳
廣田裕(呼吸器外科/とみます外科プライマリーケアクリニック)監修
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原文

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