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HER2陽性乳癌に化学療法後のトラスツズマブ(ハーセプチン)投与は有効

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HER2陽性乳癌に化学療法後のトラスツズマブ(ハーセプチン)投与は有効

PSTrastuzumab after Chemotherapy Is Effective in HER2-Positive Breast Cancer
(Posted: 05/06/2011)
– 4年間にわたるハーセプチン補助療法試験(HERA試験)の追跡調査の結果によると、標準的化学療法後に1年間トラスツズマブ治療を加えると、初期のHER2陽性乳癌の女性の無病生存期間が改善されるという報告が、Lancet Oncology誌2011年2月25日号に掲載された。(Cancer Bulletin 2011年3月8日号(日本語訳)より転載)

標準的化学療法後に1年間のトラスツズマブ(ハーセプチン)療法を加えると、初期のHER2陽性乳癌の女性の無病生存期間が改善する。この結果は、大規模多施設臨床試験であるハーセプチン補助療法試験(HERA試験)の第3次分析から得られた。HERA試験は、標準的化学療法後にトラスツズマブを投与する群と、標準的な化学療法のみの群(観察群)に無作為に割り付けられた患者の転帰を比較するものである。4年間の追跡調査の結果がLancet Oncology誌2011年2月25日号に掲載された。

イタリア、ミラノのサンラファエル研究所(San Raffaele Institute)のDr. Luca Gianni氏らは、患者を無作為に、1年間のトラスツズマブ補助療法を受ける群(トラスツズマブ群)1,703人と観察群1,698人に割りつけた。(2年間のトラスツズマブ補助療法を受ける第3群はこの分析に含まれていない)。中央値4年間の追跡期間中に、無再発または無病生存率はトラスツズマブ群で78%超、観察群で約72%であった。この24%のリスク低下は高い統計学的な有意性を示した。

トラスツズマブは、HER2と呼ばれるタンパクを過剰産生する腫瘍細胞を標的にして増殖を阻害するモノクローナル抗体である。全乳癌の約20%を占めるHER2陽性癌は悪性度が高く、このタイプの乳癌では病気の再発と死亡のリスクが高い。トラスツズマブは、HER2過剰発現転移性乳癌の女性の生存期間を延長する。HERA試験は、トラスツズマブによる治療が初期の患者にも有益であるかどうかを調べる目的で開始された臨床試験のうちの1つである。

HERA試験の以前の分析結果とは異なり、4年間の追跡の結果、2群の間で全生存に統計学的な有意差は見られなかった。「これらの結果はおそらく、患者の52%が観察群からトラスツズマブ群に転向したことが大きく影響している」とヘルシンキ中央病院のDr. Heikki Joensuu氏は付随論説で述べている。HERA試験の初期段階の結果により、1年間のトラスツズマブ投与によって再発リスクが低減する明らかな利益が示されたため、無病で心臓疾患(トラスツズマブによって起こりうる副作用)のない観察群の患者には、トラスツズマブ投与に転向する選択肢が提示された。

最新の分析では、標準的化学療法後にトラスツズマブを投与すると初期のHER2陽性乳癌治療に効果があり、トラスツズマブ治療は「うっ血性心不全の発現率も低く、依然としておおむね好ましい安全性プロファイルを示している」という「追加保証が得られた」とJoensuu氏は述べている。トラスツズマブを化学療法と同時に投与するか、化学療法の後に投与するか(心臓合併症のリスクはトラスツズマブと一部の抗癌剤との併用で増大する)、トラスツズマブの使用期間など、依然として解決すべき問題は残っているとJoensuu氏は指摘している。

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月橋 純子 訳
原 文堅(乳腺科/四国がんセンター)監修
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