前立腺癌の予後にテロメア長が重要である可能性/ジョンズホプキンス大学 | 海外がん医療情報リファレンス

前立腺癌の予後にテロメア長が重要である可能性/ジョンズホプキンス大学

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前立腺癌の予後にテロメア長が重要である可能性/ジョンズホプキンス大学

2013年9月26日
靴ひもの端を保護するプラスチックキャップのように、テロメアの場合は、テロメアより内側にある遺伝子、つまり染色体の中で細胞の設計図を運んでいる部分を保護する役割をしている。癌細胞ではテロメアの長さが短くなっていることは知られていたが、ジョンズホプキンスの研究から、個々の癌細胞ごとにテロメアがどの程度短いかということが、前立腺癌患者の予後を決定づける因子となる可能性が示された。

「医師は、前立腺癌患者の予後を正確に予測する新たな方法を探している。それは、病期、グリソンスコアおよびPSAを用いた現在の方法は完全ではないからだ」と、ジョンズホプキンス大学医学部病理学および同大学キンメルがんセンターの助教授であるAlan Meeker博士は述べている。「テロメアの短縮は癌に共通することであるが、各患者における短縮の程度は個々の癌細胞で異なっている、このばらつきが、前立腺癌の動向を知るより良い手だてになるかもしれない」。

Cancer Discovery誌の10月号に掲載された研究論文によると、男性の健康に関する長期追跡調査の参加者で、前立腺内に限局すると思われる前立腺癌を外科的に治療した596人の男性の組織サンプルについて研究を行った。その際に彼らは、患者から外科的に摘出した組織サンプルから得られた前立腺癌細胞と、その近傍の平滑筋と繊維芽細胞を含んだ間質と呼ばれる細胞の画像を用いた。

Meekerと彼のチームは、癌細胞と間質細胞のテロメアの長さを測定するために、彼らが開発したテロメア特異的蛍光in situハイブリダイゼーション(TELI-FISH)と呼ばれる手法を用いた。この手法では、特定のDNA領域に特異的な蛍光標識プローブを用いており、これは遺伝子あるいは染色体の異常を検出または確認するのに一般的に使用されている手法である。この新たな研究において、テロメア領域に特異的な蛍光プローブを細胞に加えることで、科学者らは顕微鏡下で染色体上のこれら特定領域を同定し、テロメアの長さに応じた蛍光強度を測定することが可能となった。

サンプル中の40,000を超える細胞のテロメア長を測定した後、ジョンズホプキンスの疾病パターン専門家らは、癌細胞と間質細胞のテロメア長の測定結果と患者の生存との関連性を示した。

「癌細胞におけるテロメア長のばらつきが大きく、かつ間質細胞のテロメア長が短い場合は、転移性疾患へと移行する可能性が高く、他の男性と比べて前立腺癌による死亡の時期が早い」と、ジョンズホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生学部疫学教授であり、ジョンズホプキンス・キンメルがんセンターMartin D. Abeloff 研究員制度のがん予防における研究員であるM.P.H.(公衆衛生修士)のElizabeth Platz博士は述べている。

癌細胞におけるテロメア長のばらつきが大きく、かつ間質細胞のテロメア長が短かった98人の男性グループでは、20人が診断の平均8.4年後に前立腺癌で死亡した。標準的な予後因子を用いた計算によると、これらの男性は、癌細胞のテロメア長のばらつきが小さく、かつ間質細胞のテロメア長が長かった他の98人の男性グループと比較すると、前立腺癌により死亡する可能性が14倍であった。このグループで亡くなったのは、わずかに1人であり、それは16.5年後のことであった。

「われわれの研究から、間質細胞のテロメア長と、前立腺癌細胞のテロメア長のばらつきの程度を組み合わせることで前立腺癌の予後のマーカーとなる可能性が強く示唆された」とPlatz氏は述べている。

Meeker氏とPlatz氏は、追加グループの患者についても研究を続けており、組織画像の取り込みとテロメアデータの抽出を早く行うために、現在では自動化された蛍光顕微鏡とコンピュータソフトを用いている。

この研究は、国防総省、米国国立衛生研究所に属する国立癌研究所(CA58236、 CA55075、CA72036、CA133891、 CA141298)および国立心肺血液研究所(HL35464)、Seraph基金、前立腺癌基金より資金提供を受けた。

研究に用いた組織サンプルは、ハーバード大学のHealth Professionals Follow-Up Study(医療従事者追跡調査)に登録した男性から得られたものである。

この研究には、ジョンズホプキンス大学のChristopher M. Heaphy、Ghil Suk Yoon、Sarah B. Peskoe、Corinne E. Joshu、Thomas K. Lee、Jessica L. HicksおよびAngelo M. De Marzo、さらにハーバード大学公衆衛生学部のEdward Giovannucci、Stacey A. Kenfield、Lorelei A. MucciおよびMeir J. Stampferが参加した。

メディア関係者問い合わせ先:

Vanessa Wasta
410-614-2916、wasta@jhmi.edu
Amy Mone
410-614-2915、amone@jhmi.edu

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田村克代 訳
榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)監修
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原文

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