スルファサラジンは放射線療法中の患者の下痢には効果がない/メイヨ―クリニック | 海外がん医療情報リファレンス

スルファサラジンは放射線療法中の患者の下痢には効果がない/メイヨ―クリニック

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スルファサラジンは放射線療法中の患者の下痢には効果がない/メイヨ―クリニック

2013年9月24日(火)

ミネソタ州ロチェスター発 — メイヨ―クリニックが主導した研究によると、炎症性の腸疾患患者の下痢を低減させる目的で処方されることの多い薬剤であるスルファサラジンは、骨盤部の癌に対する放射線療法を受けている患者の下痢を低減させないことが分かった。本研究ではまた、骨盤部への放射線療法期間中にスルファサラジンを投与すると、プラセボと比較して下痢のリスクがより高くなる可能性が明らかになった。この結果は本日、アトランタで開催中の第55回米国放射線腫瘍学会(ASTRO)年次総会にて発表された。

マルチメディア情報:本研究について語ったMiller医師の動画はMayo Clinic News Networkで視聴いただけます。

「骨盤部への放射線療法を受けている患者は放射線療法の副作用である下痢をおこす可能性があります」と、本研究の筆頭著者であり、メイヨ―クリニックの放射線腫瘍学者であるRobert Miller医師は言う。Miller医師によると、以前の試験において、腸炎症の治療に用いられるスルファサラジンが骨盤部放射線療法中の患者の下痢を低減させることが示されていた。

Miller医師は、Alliance for Clinical Trials in Oncology(癌臨床試験のための同盟)を通じて2年間のランダム化二重盲検プラセボ対照第3相臨床試験を主導し、骨盤部放射線療法中の腸の炎症に対するスルファサラジンの有効性をプラセボと比較検討した。本試験は87人の患者を対象とし、78人の患者について主要評価項目を評価した。主要評価項目は一般的に認められた基準に基づき、放射線療法後最長6週間にわたる重症度が最も高い下痢とした。試験には米国内の24施設から患者を登録した。

患者は放射線療法期間中およびその後の4週間毎日、スルファサラジン1,000mgまたはプラセボの1日2回経口投与を受けた。また、患者は治療中と治療に続く6週間は週に1回、また治療後12カ月と24カ月時点において、腸機能に関する質問票を記入した。医療従事者は各患者について下痢、直腸出血、腹部痙攣、便秘、しぶり腹(排便がほとんどない便意)の最大重症度、およびその持続期間についてグレード付けを行った。

本試験の中間結果によると、スルファサラジン投与群はプラセボ投与群と比べてグレード3の下痢(1日に7回以上の排便)が多かったことが統計的に示された。試験は2013年5月、スルファサラジンが患者に有益である可能性は低いとの研究者らの決定により中止された。

「以前の研究においてスルファサラジンの効果が示唆されていたにもかかわらず、今回プラセボを投与した患者と比べてスルファサラジンを投与した患者により重症の下痢がみとめられたことに私たちは大変驚きました」とMiller医師は言う。「骨盤部に放射線療法を受けている患者において、治療の副作用である下痢を回避するのにスルファサラジンが有効でないことが分かりました」。またMiller医師は本研究により、どのような薬剤もしくは療法が放射線療法の副作用軽減の助けとなるのかをもっとよく理解するための大規模第3相ランダム化比較試験の必要性が例証されていると述べている。

共著者は以下の通りである。Jeff Sloan, Ph. D., Heshan Liu, M.S., James Martenson, M.D., Matthew Iott, C.N.P., and Charles Loprinzi, M.D., all of Mayo Clinic.

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吉田 文 訳
前田梓(トロント大学医学部医学生物物理学科)監修
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原文

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