マイクロRNA-31により、肺癌転移が予測される可能性/オハイオ州立大学総合がんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

マイクロRNA-31により、肺癌転移が予測される可能性/オハイオ州立大学総合がんセンター

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

マイクロRNA-31により、肺癌転移が予測される可能性/オハイオ州立大学総合がんセンター

掲載:2013年9月22日

肺癌が転移しているかどうかを判断することは、最も有効な治療法を決定する上で極めて重要である。

マイクロRNA-31の発現量が多い場合肺癌が転移しており、また、予後不良が示唆されることが本研究でわかった。

この研究結果により、肺癌の中で最も頻度の高い組織型と診断された患者に対する治療法が改良される可能性がある。

オハイオ州コロンバス―肺癌が隣接するリンパ節に転移している可能性を検討することは、最も有効な治療法を決定する上で重要であるが、通常手術を要する。しかし、腫瘍組織標本内の特定の分子の発現量を測定することで、正確な解答が得られる可能性があることが、新規研究から示唆される。

オハイオ州立大学総合がんセンター附属Arthur G. James癌病院・Richard J. Solove研究所(OSUCCC‐James)の研究者らは、マイクロRNA-31(miR-31)の発現量測定により、最も頻度が高い組織型の肺癌において隣接するリンパ節への転移の有無を予測できることを発見した。

原発腫瘍細胞内のmiR-31の発現量が多いと、非小細胞肺癌(NSCLC)患者のリンパ節転移と低生存率が予測されることがわかった。miR-31の発現量が少ないと、リンパ節転移が起こらず予後が良いことが分かった。

本所見はClinical Cancer Research誌で公表されている。

「原発性肺癌におけるマイクロRNAの発現から、肺癌のリンパ節転移の有無を評価することが可能となり、患者に最適な治療法を提供できることに役立つことが、本所見から示唆されます」と研究責任医師であるTim Lautenschlaeger医師(放射線腫瘍学研究者兼OSUCCC – James実験治療学プログラム研究者)は述べる。

「多くの非小細胞肺癌(NSCLC)患者は放射線治療を受けています。特に、早期患者は通常、外科的病期分類を受けていません」とLautenschlaeger氏は説明する。 「PET(陽電子放出断層撮影)‐CT(コンピュータ断層撮影)検査を使用する病期分類は非常に有用ですが、完璧ではありません。miR-31と他のマイクロRNAを用いることにより、NSCLC患者に対してより正確な病期分類が実施される可能性があります。」

「また、私たちが、各患者の腫瘍の侵襲度を詳しく評価できるようになれば、できるだけ多くの正常組織を残しながらも、治療法をより個別化し、この転移した顕微鏡的病変を治療対象に含めることが可能となります」。

米国では2013年に、228,190人が肺癌を発症すると予測され、159,500人が死亡すると推定される。NSCLCは全肺癌の約80%を占める。肺腺癌は最も頻度が高く、全肺癌の約40%を占める。

マイクロRNAは短い、タンパク質をコードしないRNAで、伝令RNAによるタンパクへの翻訳やその分解を調節し、その結果、細胞がつくるタンパク質を調節する。一部のマイクロRNAは、癌細胞で高頻度に制御が失われており、発癌や癌の進行と関連する。

本研究で、Lautenschlaeger氏らは原発性肺腺癌患者43人由来の肺腺癌組織標本を分析した。全ゲノムにおけるマイクロRNA配列解析により、これらの標本の内の10症例分を分析した。その結果、4症例分にはリンパ節転移が認められたが、6症例分には認められなかった。

重要な専門的所見は以下の通りであった。

miR-31の発現量は、リンパ節転移が認められた患者では、そうではなかった患者の4倍であった。

miR-31の発現により、細胞の遊走、侵襲、および増殖が促進する。

miR-31の発現量が多いと低生存率が予測され、一方で発現量が少ないと生存率が上昇した。

「結論として本所見から、放射線治療を受けた早期NSCLC患者に対して追加の癌治療を行うことが有益かどうかを検討するためのバイオマーカーとして、マイクロRNA発現を追加して評価する理論的根拠がもたらされます」とLautenschlaeger氏は述べる。本研究は、米国国立衛生研究所/米国国立先進トランスレーショナル科学センター(助成金TR000090-05)による資金提供を受けた。

本研究の共同研究者はこの他、Wei Meng、Zhenqing Ye、Ri Cui、James Perry、Vaia Dedousi-Huebner、Alexander Huebner、Yao Wang、Bin Li、Stefano Volinia、Hiroshi Nakanishi、Taewan Kim、Sung-Suk Suh、Leona W. Ayers、Patrick Ross、Carlo M. Croce、Arnab Chakravarti、およびVictor X. Jin(オハイオ州立大学)であった。

オハイオ州立大学総合がんセンター附属Arthur G. James癌病院・Richard J. Solove研究所(OSUCCC‐James)は、教育上優れた科学研究と患者中心の介護を統合することで、「癌の無い」世界を目指している。なお、これは、より優れた癌の予防・発見・治療の方法をもたらす戦略である。OSUCCC‐Jamesは米国内で41施設しかないNCI指定の総合がんセンターの内の1つである。また、第1、2相試験の実施を目的としてNCIが資金提供する7施設の内の1つである。最近、NCIはOSUCCC‐James癌プログラムを、NCI調査チームが授与する最高評価である、「優秀」と評価した。OSUCCC‐Jamesは、その癌プログラムの一部として210床を有する成人患者ケア施設であり、Leapfrog Group(医療の質と安全性の改善に貢献することを目的とする非営利団体)によって「優秀な病院」の1つに、また、U.S. News & Reportによって全国上位病院の1つに選ばれている。

連絡先:Darrell E. Ward、Wexner医療センター広報業務・メディア広報、614-293-3737またはDarrell.Ward@osumc.edu

******
渡邊 岳 訳
田中謙太郎(呼吸器・腫瘍内科、免疫/テキサス大学MDアンダーソンがんセンター)監修
******
原文

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward