新たな分子標的薬ラムシルマブが進行胃癌の生存期間を延長する/ダナ・ファーバー癌研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

新たな分子標的薬ラムシルマブが進行胃癌の生存期間を延長する/ダナ・ファーバー癌研究所

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新たな分子標的薬ラムシルマブが進行胃癌の生存期間を延長する/ダナ・ファーバー癌研究所

2013年10月2日|タグ:化学療法、標的療法  

腫瘍への血流を減少させる分子標的薬が、標準治療で奏効を示さない進行胃癌患者の生存期間を延長することを、ダナ・ファーバー癌研究所の研究者らによって行われた大規模多施設臨床試験の結果が示した。

ランダム化比較第3相臨床試験において、抗体薬であるラムシルマブ(ramucirumab)の投与を受けている患者では、プラセボを投与された患者と比較して、癌が増悪するまでの期間も遅れたことをLancet誌の中で研究者らにより報告されている。

この抗体は選択的に働くため、対照患者群と比べ高血圧の割合が幾分増加していたものの、ラムシルマブ投与を受けている患者にみられた副作用は全般的にわずかだった。

「副作用がほとんどない抗体薬が延命効果をもたらすことには本当に驚きました。」と、REGARD試験の結果報告書の筆頭著者であり、ダナ・ファーバーの公衆衛生学修士であるCharles Fuchs医師は語る。

臨床試験は355人の胃癌あるいは食道胃接合部癌の患者を対象とした。治療を受けたのは29カ国、119の医療施設の患者であった。

胃癌は、米国ではその不安はそこまで大きくはないが、癌死亡の原因として世界で2番目に多く、2013年には21,600人が診断を受け、10,990人が死亡すると予測されている。進行胃癌には通常、化学療法が行われるが、癌が進行した場合の二次治療で承認を受けているものはない。

「胃癌に対してもっと良い治療が必要とされているのは認識しています。というのは、大抵の場合、手順通りの化学療法を用いるという現在の考え方では不十分なのです。」ダナ・ファーバー研究所の消化管癌部門の責任者であるFuchs医師は語っている。「この疾患に対して、われわれの生物学的な理解に基づいた、本当に的を絞った標的治療薬を開発する必要があるのです。」

癌細胞を殺したり、分裂を抑制したりする毒性を持つ標準的な化学療法薬とは異なり、ラムシルマブが標的とするのは、循環血液中で血管新生を誘導し腫瘍の増殖や転移を助長するタンパク質シグナルである。本剤は、血管内皮細胞増殖因子受容体-2(VEGFR-2)を通じたシグナル伝達を遮断し、新たな血管形成(血管新生)を減退させ、腫瘍の栄養を枯渇させるよう設計されている。動物モデルでは,VEGFR-2を遮断すると胃癌の増殖が遅くなることがマウスでの実験で示されている。

ラムシルマブの臨床試験では、進行胃癌患者355人が2週間に1回抗体医薬品の投与に加えて最適な支持療法を受け、117人がプラセボ投与と最適な支持療法を受けた。
(*訳注:オリジナルの論文では238人)

試験は2012年7月に終了し、解析の結果、ラムシルマブ群の死亡率は22%の有意な減少を示した。加えて、全生存期間の中央値は、プラセボ投与群の3.8カ月に対して、ラムシルマブ投与群は5.2カ月であった。

本剤は癌の進行を52%遅らせた。12週間の無増悪生存率は、プラセボ群の16%と比較して、ラムシルマブ投与群では40%であった。研究者らは、病勢のコントロール可能な期間の中央値は、プラセボ群の2.9カ月に対し、ラムシルマブ群では4.2カ月であったと考えている。

「われわれは、この抗体の投与を受けた患者において、癌の進行率の減少とともに生存期間の有意な改善が見られることを発見した。」とFuchs氏は語り、「結果は勇気づけられるものであり、われわれは、最終的に本剤が胃癌患者に日常的に使用できるようになるため承認されることを願っている」。氏は、化学療法にラムシルマブが加えられた場合の結果を検証する臨床試験が現在行われており、「さらに良い結果が得られるだろう」と付けくわえた。

有害事象は両群とも共通しており、重篤な副作用の発生率は同様であった。だが、ラムシルマブ投与患者7.6%に高血圧が見られたのに対し、プラセボ群では2.6%だった。報告によると、出血、血栓の増加や胃や腸の穿孔といった抗血管新生薬で時折見られる作用は引き起こさなかった。

本研究はEli Lilly and Company社および同社の子会社であるImClone Systems社より資金提供を受けた。

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畑 啓昭(消化器外科/京都医療センター)監修
滝川 俊和 訳
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原文

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