大腸癌の発生を防ぐ大腸内視鏡検査の重要性が新たな研究で示される/ダナファーバー癌研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

大腸癌の発生を防ぐ大腸内視鏡検査の重要性が新たな研究で示される/ダナファーバー癌研究所

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大腸癌の発生を防ぐ大腸内視鏡検査の重要性が新たな研究で示される/ダナファーバー癌研究所

2013年9月18日

ダナファーバー癌研究所、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院、ハーバード大学公衆衛生学部などの研究者チームは、大腸癌予防のために大腸内視鏡検査の受診を推奨する強力な科学的裏づけとなる本研究の結果を報告する。

2つの主要な試験の約9万人の医学的データを解析したところ、大腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査を受けた参加者は直腸癌および下部(遠位)結腸癌の発生率が、受けなかった参加者に比べて顕著に低かったことがわかった。検査では、医師は大腸内を細いチューブで診察し、前癌病変を切除できる。

本研究はthe New England Journal of Medicine誌9月19日号に発表されたが、大腸内視鏡検査のみが上部(近位)大腸癌の発生率低下と関連していた。

本研究は、どのくらいの頻度で大腸内視鏡検査を受けるべきかという長年議論されている問題についても参考になる。

責任医師は大腸内視鏡検査結果が陰性、つまり大腸癌も腺腫という前癌病変もみられなかった患者は、10年もの間大腸癌の発生リスクがかなり低く、ほとんどの人は大腸内視鏡検査は50歳から10年ごとに受けるべきであるという標準的な推奨を裏づけている。

大腸内視鏡検査で腺腫が検出された場合、低リスクは約5年間持続する。

「大規模臨床試験でS状結腸鏡検査によって大腸癌の全発生率および死亡率が低下すると示されていますが、その有効性は遠位大腸癌で最大です」とダナファーバー癌研究所、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院、ハーバード大学医学部、ハーバード大学公衆衛生学部の荻野周史医学博士は述べる。彼はマサチューセッツ総合病院、ハーバード大学医学部のAndrew Chan医師・公衆学修士と本研究を共同で主導した。

「大腸内視鏡検査の同様の試験データはまだ得られていませんが、既存のエビデンスでも大腸癌の発生率低下との関連が示唆されています。

現在の研究で、S状結腸鏡検査と大腸内視鏡検査を受診することで、特に近位大腸に起因する癌で、どの程度およびどのくらいの期間予防となるかを評価する予定です。」

アメリカ癌協会の統計によると、約15万人のアメリカ人が毎年大腸癌と診断され、5万人が死亡している。

S状結腸鏡検査、大腸内視鏡検査、便潜血検査は大腸癌のスクリーニングで最もよく用いられる方法である。

S状結腸鏡検査では、医師は先端にカメラの付いた軟性チューブを用いて遠位結腸および直腸(大腸の最終部)を観察する。

検査は患者に多くの腸の前処置を必要とせず、通常は鎮静剤を使用しない。

S状結腸鏡検査を受ける患者は一般的に5年ごとの受診を薦められる。

大腸内視鏡にもS状結腸鏡と同様、軟性チューブが付いているが、大腸全体の検査ができるより長い器具である。

患者を鎮静状態にして行うことが多く、ほとんどの人で10年ごとの検査が推奨されている。

どちらの検査でも医師は検査中に検出されたポリープを切除できる。ポリープは小さな病変で癌になることがある。

新たな試験で研究者は、122,000人の女性看護師の健康状態を1976年から追跡調査したNurses’ Health Studyと、52,000人の男性の医療従事者を1986年から追跡調査したHealth Professionals Follow-up Studyのデータを用いた。

本試験に適格となった88,902人の参加者のうち、1,815人が22年の調査期間中に大腸癌を発症した。

データの解析で、内視鏡検査を受けた患者の大腸癌発生率は受けなかった患者の半分超であることが示された。

研究者が大腸の異なる領域、つまり遠位または近位に注力した場合、内視鏡検査では両領域で癌発生率が低下したが、近位領域では低下の程度は低かった。

一方、S状結腸鏡検査では遠位領域でのみ癌発生率が低下した。

「我々の試験の全参加者が内視鏡検査を受診していれば、遠位癌の61%、近位癌の22%を含む大腸癌をさらに40%予防できたであろうと推定しています」と本試験の筆頭著者で、ダナファーバー癌研究所およびハーバード大学公衆衛生学部の西原玲子氏(PhD)は述べる。

「さらに、内視鏡検査とS状結腸鏡検査の両検査は、どちらの検査も受けていない人に比べて大腸癌による死亡率の低下と関連しています」

大腸内視鏡検査でポリープがみられなかった参加者では、最長15年間まで大腸癌発生率は著しく低下し、アメリカ癌協会などが推奨する10年の検査間隔を強く裏付けた。

(家族歴やその他の腸疾患があるか、または前癌性腺腫が前回の検査でみとめられたために大腸癌リスクの高い人は通常、より短い間隔で大腸内視鏡検査を受診するよう推奨される。)

また、試験の一部として、医師は、最近内視鏡検査を受診したばかりの人に大腸癌が発現することがある理由に関して病理学的手がかりを見つけたいと考えた。

これらの癌は見落とされたか、ポリープの切除が不完全であったか、または、遺伝子異常により特に速く増殖するポリープのために発現したと考えられる。

研究者は、大腸内視鏡検査後5年以内に認められた62の癌を特定し、遺伝学的に解析した。

これらの腫瘍は、大腸内視鏡検査後5年以上経ってから診断された腫瘍にくらべて、特定の異常な「後成的」変化、つまり遺伝子をオン/オフする機序に変化がある可能性が高いことが分かった。

「われわれの研究結果は、大腸内視鏡検査は、結腸直腸の遠位および近位領域の癌予防に効果的な方法ですが、S状結腸鏡検査単独では近位領域の癌予防にはおそらく不十分であると示唆しています」と荻野氏は述べる。

「大腸内視鏡検査直後に診断された癌の後成的変化の発見は、これらの癌を特有としている要因や容易な検出・切除方法への重要な手がかりとなるはずです」

本研究の共著者は以下の通り。Paul Lochhead, MB, ChB, formerly of Dana-Farber and now at the University of Aberdeen, Scotland; Teppei Morikawa, MD; PhD, formerly of Dana-Farber and now at the University of Tokyo; Xiaoyun Liao, MD, PhD, Zhi Rong Qian, MD, PhD, Kentaro Inamura, MD, PhD, Sun A. Kim, MD, PhD, Mai Yamauchi, PhD, and Charles Fuchs, MD, of Dana-Farber and Brigham and Women’s; Yu Imamura, MD, PhD, of Dana-Farber; Aya Kuchiba, PhD, of Dana-Farber and the Harvard School of Public Health; and Kana Wu, MD, PhD, Walter Willett, MD, DrPH, Edward Giovannucci, MD, ScD, MPH, and Bernard Rosner, PhD, MPH, of the Harvard School of Public Health。

本研究は米国国立衛生研究所(NIH)(P01 CA87969、P01 CA55075、1UM1 CA167552、P50 CA127003、R01 CA151993、R01 CA137178、K24 DK098311)、The Bennett Family Fund、the Entertainment Industry Foundationの支援を受けた。

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吉田加奈子 訳
斎藤 博(検診研究部/国立がん研究センター) 監修
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原文

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