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ポマリドミドと低用量デキサメタゾンの併用によって多発性骨髄腫患者の生存期間が改善/NCI臨床試験結果

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ポマリドミドと低用量デキサメタゾンの併用によって多発性骨髄腫患者の生存期間が改善/NCI臨床試験結果

2013年9月19日掲載

要約

ランダム化第3相試験の結果から、ポマリドミド(Pomalyst [ポマリスト])と低用量デキサメタゾンの併用療法には、他の治療を受けた後、進行がみられた多発性骨髄腫患者の一部に治療効果があることが示されました。この併用療法を受けた患者では、高用量デキサメタゾンによる単剤療法を受けた患者よりも、疾患が進行することなく生存した期間(無増悪生存期間)が長くなりました。併用療法を受けた患者群では、デキサメタゾン単剤療法の患者群に比べて全生存期間も改善しました。

出典

2013年9月3日Lancet Oncology (ジャーナル抄録参照)

背景

進行した骨髄腫患者は、複数の治療薬を使用した後も疾患が悪化しており、治療選択肢がほとんどなく予後も不良です。このような患者の生存期間中央値は9カ月です。

これまでの試験によって、ポマリドミドが他の治療薬では効果が得られない多発性骨髄腫の患者に有用である可能性があることが示されました。この薬剤は経口カプセルであり、免疫調整薬と呼ばれる薬剤クラスに分類されます。ポマリドミドには次の2つの作用があります。第一に、骨髄での正常血球の産生を助けること、第二に、免疫細胞が骨髄中の異常細胞を殺傷する能力を改善することです。

2013年2月8日、米国食品医薬品局(FDA)は、多発性骨髄腫患者のうち、前治療としてレナリドミド(レブラミド)およびボルテゾミブ(ベルケイド)をはじめ、少なくとも2種類の治療薬を使用したことがあり、直前の治療を終了して60日以内に病勢進行がみられた患者の治療として、ポマリドミドを迅速承認しました。

FDAによるポマリドミドの迅速承認の条件のひとつとして必要な臨床試験をはじめ、ポマリドミドを使用した臨床試験数件が進行中です。そのランダム化第3相臨床試験(CC-4047-MM-007)では、治療歴のある多発性骨髄腫患者を対象にポマリドミド、ボルテゾミブおよび低用量デキサメタゾンの併用療法をボルテゾミブと低用量デキサメタゾンの併用療法と比較しています。

臨床試験

Lancet Oncologyに発表された臨床試験は、ポマリドミドと低用量デキサメタゾンの併用と、臨床試験開始当時に標準治療として考えられていた高用量デキサメタゾンを比較するために設計されました。研究者らは、ポマリドミドと低用量デキサメタゾンの併用療法に患者302人、高用量デキサメタゾン治療に患者153人を無作為に割り付けました。オーストラリア、カナダ、欧州、ロシアおよび米国からの全参加者が、難治性または再発した難治性の進行した多発性骨髄腫患者でした。いずれの場合も、ボルテゾミブ、レナリドミドまたは両剤による治療のうち少なくとも2種類の治療を受けたにもかかわらず、疾患が進行していました。

この非盲検試験の主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であり、主な副次評価項目は全生存期間でした。このほか副次評価項目として、全奏効率(部分寛解以上が得られた患者の割合)、疾患進行までの期間およびQOLを評価しました。ポマリドミドの製造会社であるCelgene Corporation 社が臨床試験を助成しました。

試験結果

追跡期間10.0カ月(中央値)以降、ポマリドミドとデキサメタゾンの併用療法群は疾患が悪化することなく、さらに4カ月生存したのに比べ、高用量デキサメタゾン単剤療法に割り付けられた患者群はわずか1.9カ月に過ぎませんでした。また、ポマリドミド群の患者は、高用量デキサメタゾン群の患者よりも約4.6カ月長く生存しました(12.7カ月対8.1カ月)。さらに、ポマリドミド群の患者のほぼ3分の1(患者302人中95人)に腫瘍の縮小が認められるか、部分寛解の徴候が明らかでした。

両群に最もよくみられた副作用が、好中球減少症、貧血および血小板減少症でした。ポマリドミド群の副作用は、ポマリドミドを使用した他の臨床試験で観察されたものと同じものが認められ、大半が対応可能なものでした。治療関連有害事象のために治療を中止した患者はほとんどいませんでした。治療関連有害事象のうち死亡に至ったものが、ポマリドミド群に11件、高用量デキサメタゾン群に7件ありました。

主著者であるスペインのUniversidad de Salamanca 大学所属Jesus San Miguel医師をはじめ研究者らは、「この結果から、ポマリドミドと低用量デキサメタゾンの併用療法は、進行した難治性または再発した難治性の多発性骨髄腫患者にとって、ボルテゾミブとレナリドミドによる治療が奏効しなかった場合に治療選択肢になり得るものである」と結論で述べています。

制限事項

本試験は非盲検であることがひとつの限界であると著者らは認めています。また、高用量デキサメタゾン群の患者の一部が治療を「クロスオーバー(切り替え)」して、疾患が進行する前に併用療法を開始したため、治療群間の全生存期間の差に影響を及ぼしている可能性があります。同様に、高用量デキサメタゾン群の患者の多くが、治療効果が明らかになった後「クロスオーバー」して併用療法を開始したため、両群間のPFSを評価するのは困難でした。

コメント

「このデータに基づけば、ポマリドミドと低用量デキサメタゾンの併用療法は、進行した難治性または再発した難治性の多発性骨髄腫患者に使用可能な重要で新しい治療選択肢です。その抗骨髄腫作用は重要であり、この治療法による副作用はいずれもきわめて妥当なものです」とNCIの多発性骨髄腫課長のOla Landgren医学博士は話しています。

本試験の結果はポマリドミドを使用した初期の試験の結果とほぼ同じであると、フランス、リール大学病院 Hopital HuriezのXavier Leleu 医学博士が付随論説で指摘しています。

Leleu博士は、次に報告されるのはポマリドミドのQOLへの効果であろうと述べて、「とはいえ、ポマリドミドが経口薬であること、効果の発現が速やかであること、寛解が深くなること、さらに生存期間が長くなることから、難治性または再発した難治性の骨髄腫患者のQOLが改善すると考えるのはもっともだと思います」と続けました。

さらに、本剤の追加試験が進行中であり、多発性骨髄腫患者に恩恵をもたらすために、現在の結果を活かす最善の方法を知るのに役立つはずであると加えました。「ポマリドミドは、安全性に関する 特徴が良好なので、既存の抗骨髄腫薬ならほぼ全部との併用が可能です」。

原文

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ギボンズ京子 訳
林 正樹 (血液・腫瘍内科/社会医療法人敬愛会中頭病院) 監修
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