コンピュータ断層撮影(CTスキャン)とがん | 海外がん医療情報リファレンス

コンピュータ断層撮影(CTスキャン)とがん

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コンピュータ断層撮影(CTスキャン)とがん

コンピュータ断層撮影(CTスキャン)とがん

 原文掲載日: 07/16/2013

キーポイント

  • コンピュータ断層撮影(CT)とは、特殊なX線装置を用いて、身体内の領域の一連の詳細な画像を作成したり、あるいは走査を行う撮像手法をいいます。コンピュータX線体軸断層撮影(CATスキャン ※注:日本では使用されていない)とも呼ばれます。
  • がんに関しては、CT検査によって、異常な増殖の検出につながったり、腫瘍の診断が容易となったり、がんの大きさや病期に関する情報を得たり、生体組織検査の方針や治療計画の作成に役立てたり、あるいはがんに対して治療法が有効であるかどうかを判断したり、がんの再発を監視することが可能となります。
  • CTは医療において重要なツールではありますが、その一方で、他の電離放射線の発生源と同様、がんを引き起こす恐れがあります。患者はCTがもたらすリスクと利益について担当の医師と話し合う必要があります。

1.コンピュータ断層撮影(computed tomography)とは何ですか?

コンピュータ断層撮影(CT)とは、特殊なX線装置を用いて、身体内の領域の一連の詳細な画像を作成したり、あるいは走査を行う撮像手法をいいます。CT以外にも、コンピュータX線体軸断層撮影(CATスキャン)とも呼ばれます。

「tomography」という語は、ギリシャ語の「tomos(切片、薄片、断片)」と「graphein(書き記すもしくは記録する)」を起源としています。CT検査時に得られる画像の一枚一枚は、身体内の臓器、骨、あるいはその他の組織をいわば「薄片」のかたちで示したものです。CTによって得られた一連の画像をすべて合わせたものは、薄くスライスされたパン一枚一枚を合わせたパン一斤のようなものです。したがって、画像の一枚一枚によって、パン一斤の一切れ分(2次元画像)を見ることができ、これらをすべて組み合わせることでパン一斤全体(3次元画像)を見ることができます。いずれの次元の画像も、コンピュータのプログラムを使用して作られます。

今日のCT装置のほとんどはヘリカル(スパイラル)CTと呼ばれ、1スライス毎に寝台の移動と停止を逐次繰り返しながら身体についての一連の画像を得るという従来のCT装置とは異なり、らせん状に回転する線源の中を、寝台を一定速度で動かし続けながら連続して画像を撮影するしくみとなっています。ヘリカルCTは、旧式のCTに比べて、以下の点で優れています:従来に比べて撮影速度が速いこと、身体内の領域の3次元画像をより鮮明に得ることができること、小さな異常でも発見しやすくなることです。マルチスライスCTやマルチディテクタCTといった最新式のCTスキャンでは、より多数の身体の輪切り画像をより短時間で撮影することが可能です。

がんの検査以外にも、CTは、冠動脈疾患(アテローム性動脈硬化症)、動脈瘤、血餅などの循環(血液)系の疾患および病態、脊柱における病態、腎臓および膀胱における結石、膿瘍、潰瘍性大腸炎および副鼻腔炎などの炎症性疾患、並びに頭部、骨格系および臓器への損傷について診断する際に広く使用されています。CTは、疾患や損傷を診断することで成人から子供まで多くの命を救うことのできる医療装置であるといえます。

2.どのようにして検査するのですか?

検査時には、CT装置の寝台にあおむけに寝て静止した状態で検査を受けます。検査時には寝台がx線装置の中央にある大きな穴の中をゆっくりと通過していきます。このように寝台が動くタイプ以外にも、固定された寝台をx線装置が通過していくものもあります。検査時にはブンブンという音が聞こえる場合もあります。CT検査時には、画像がぼけることを防ぐために、息を止めるように指示される場合もあります。

CT検査では造影剤もしくは「染料」を使う場合もあります。造影剤は、検査に先立ち、経口投与、静脈注射による投与、注腸による投与、あるいはこれら3通りすべての方法で注入されます。造影剤により、身体内の特定の領域が明瞭に描出され、より鮮明な画像を得ることができます。造影剤としては一般的にヨードおよびバリウムの2つが使われます。

きわめて稀ですがCTで使用される造影剤によってアレルギー反応が引き起こされる場合があります。軽いかゆみやじんましん(皮膚に現れる小さな隆起)が生じる患者もおられます。より重度のアレルギー反応としては、息切れや、あるいは咽喉をはじめとする身体の各部位に生じる浮腫(むくみ)が挙げられます。上記のいずれかの症状が現れた場合、速やかに放射線技師に伝えてください。この場合、適切な処置を行ってくれます。これもきわめて稀ですが、一部の患者において、CTで用いられる造影剤によって、腎機能障害が生じる場合もあります。このような腎機能障害は通常、症状には現れないものの、血液試料を用いた簡易な検査を行うことで検出できる場合があります。

CT検査では痛みを感じることはありませんが、検査中、1か所に静止した状態でいることで不快を感じることもあります。検査時間は目的の部位の大きさによって異なりますが、通常、わずか数分から30分ほどです。ほとんどの場合、CT検査は、病院や放射線センターにおいて、外来検診のかたちをとっています。したがって、検査前夜にこのような施設に泊まることなく、検査当日に来院/来所して検査を受けることができます。

CT検査時に閉所恐怖に陥るのではないかと不安になる患者の方もいます。しかしながら、ほとんどのCTスキャナは身体の一部分を覆うのみで、全身を取り囲むことはありません。したがって、全身が装置によって覆われることがないため、閉所恐怖の心配はあまり無いと思われます。

妊娠している方やその可能性のある方は、担当の医師や放射線技師にそのことを伝えてください。CT検査時の放射線が発育中の胎児に危害を与える可能性があります。

(腹部についてCT検査を受けている患者。図中では、X線画像を撮影するCT装置の中を、寝台にあおむけになった患者が通過している様子が描かれています。)

 

3がん発見の検査にCTはどのように使用されるのですか?

がんに関連してCTはさまざまな手段に用いられています:

  • 異常な増殖を検出すること
  • 腫瘍の有無の診断に役立てること
  • がんの病期についての情報を得ること
  • 生体組織検査を行うべき部位を正確に特定すること(すなわち生検の指針とすること)
  • 寒冷療法、高周波焼灼療法あるいは放射性シードの移植等の特定の局所的治療の指針とすること
  • 体外照射療法(一般的な放射線治療法)または手術のプラン作成に役立てること
  • 標的とするがんに対して治療が有効であるかどうかを判断すること
  • 腫瘍の再現を検出すること

4.がん発見のための検査としてCTはどのように使用されるのですか?

これまでの研究によって、CTは、大腸がん(サイズが大きいポリープのスクリーニングを含む)および喫煙者の肺がん検診の双方に有効であることが明らかになってきました。

大腸がん

CTコロノグラフィー(別名:バーチャル(仮想)大腸内視鏡検査法)は、サイズの大きい大腸ポリープおよび大腸腫瘍の検査に用いることができます。CT大腸撮影において照射される放射線量は、腹部及び骨盤の各部位で使用される標準的なCTと同程度、すなわち約10ミリシーベルト(mSv)です(1)。(参考のために、自然界に存在する放射線発生源による被ばく量は推定値で、年間平均およそ3mSvとされています―質問7を参照。)標準的な(光学)大腸撮影と同じく、CT大腸撮影に先立ち、徹底した大腸の清浄が行われます。検査時に鮮明な画像が得られるように、空気もしくは二酸化炭素を注入して大腸を膨らませます。

NCIの助成により実施された臨床試験である「米国CTコロノグラフィー試験(National CT Colonography Trial)」によって、CTコロノグラフィーの精度は標準的な大腸内視鏡検査と同程度であることが明らかにされました。CTコロノグラフィーは標準的な大腸内視鏡検査に比べて侵襲性が低く、併発症のリスクも低いとされています。ただし、CTコロノグラフィーによってポリープや異常な増殖が見つかった場合には通常、標準的な大腸内視鏡検査が用いられ、このようなポリープや異常な増殖が取り除かれます。

CTコロノグラフィーが、大腸がんによる死亡率の低下に繋がるかどうかは未だ明らかにされておらず、現在のところ、多くの保険会社(およびメディケア)が、検査にかかった費用を保険対象外としています。上記に加えて、CTコロノグラフィーによって、大腸以外の器官及び組織の画像も同時に撮影されるため、大腸以外の部位において異常が発見される可能性もあります。このような「大腸以外の部位での」所見が深刻な場合もありますが、実際には問題がないにもかかわらず、深刻な問題ありとして誤認される場合もあり、不要な検査や手術につながるおそれもあります。

肺がん

NCIの助成により実施された臨床試験である「米国肺癌検診試験(National Lung Screening Trial)」により、重喫煙歴のある55歳から74歳の患者について、低線量ヘリカルCTによる検診を受ける場合、標準的な胸部X線検査による検診を受ける場合と比べて、肺がんにより死亡する割合が20%低下することが示されました。(以前の試験において、標準的な胸部X線検査を用いた検診は、肺がんによる死亡率の低下をもたらさないことが示されていました。)低線量ヘリカルCT検診における放射線量の推定値は1.5mSvです(1)。

NLSTの結果により、重喫煙者を対象とした低線量ヘリカルCTによる肺がん検診の有効性が確認されたものの、このような利益に加えてリスクも確認されました。たとえば、標準的なX線検査を受診する方に比べて、低線量ヘリカルCT検診を受ける人については、偽陽性(実際には癌が存在しないにもかかわらず、異常が認められるとする)の成績が得られる割合が高くなる傾向があり、このように偽陽性の成績が得られる割合が高くなることで、侵襲性の高い治療法(気管支鏡検査および生検など)がとられやすくなり、侵襲性の高い治療を受けることで重度の併発症をきたす割合が高まるおそれがあります。NCI作成の「全米肺がん検診試験(Patient and Physician Guide:National Lung Screening Trial)の患者・医師向けガイド」には、利益とリスクに関する詳細な情報が記載されています。

ヘリカルCTを用いた肺がん検診による利益は、検診を受けようとする患者の状態が、NLSTに参加した患者たちの状態とどの程度類似しているかによって異なる可能性があります。肺がんのリスクが高い人ほど、ヘリカルCTを用いた検診による利益が大きいと思われ、肺がん以外に何らかの問題(心臓や肺の疾患など)を抱えている人ほど、検診後に続く生検や手術による併発症の問題といった、同検診が抱える有害性がより顕著になってくるものと思われます。

肺がんの発症リスクが高いと考えており、それゆえ低線量ヘリカルCT検診に関心のある方は、肺がん検診の適切性、利益およびリスクについて、担当医師と話し合う必要があります。さらに低線量のヘリカルCTによる検診を受けようと考えている方は、同検診がかなり新しい手法であることから、現時点において、保険会社によっては保険適用の範囲外としていることに留意が必要です。

5.全身CTとは何ですか?

全身CTでは―あごから股関節部の下までの画像が作成されます。全身CT検査は通常、すでに癌に罹患している方を対象に行われますが、がんの症状が一切みられない方を対象に行われる場合もあります。しかしながら、全身CT検査は、健康な方にとって有効な検査法であるとは明らかにされていません。全身CT検査によって見つかる異常な所見はほとんどの場合深刻な問題ではありませんが、追加的な検査で確認する必要がでてくるため患者に高額の費用や不便益を強いる可能性も否定できません。さらに、全身CT検査では、比較的高線量の電離放射線が使用され、その線量はおよそ12mSVと、自然界に存在する放射線発生源による年間平均被ばく量の推定値の4倍とされています。したがって、ほとんどの医師が、がんの徴候や症状のみられない方に対しては、全身CT検査を奨めません。

6PET-CTとは何ですか?

PET-CTとは、一回の検査において、2つの画像検査であるCTと陽電子放出断層撮影(PET)を同時に行うものです。最初にCT検査によって、全身の器官や各構造の解剖学的な画像が作成された後、次にPETで、各組織の化学的もしくは機能的変化を示す色付きの画像が作成されます。

PETではさまざまな種類の陽電子放出(放射性)薬剤が使用されます。使用される薬剤によって、さまざまな種類の化学的もしくは機能的変化を画像化することができます。もっとも一般的なタイプのPET検査においては、組織の代謝活性度を示すFDG(ブドウ糖代謝の指標となる放射性薬剤)という造影剤が使用されます。がん腫瘍は通常、正常な組織に比べて代謝活性度が高いことから、PET検査を用いることで他の正常な組織と比べた代謝機能の異常をみることができます。PET検査で用いられる他の造影剤としては、特定の組織での酸素レベルに関する情報を得る目的で使用されるものに加えて、新たな血管の形成、骨の発育の有無、あるいは腫瘍細胞が活発に分裂および増殖しているかどうかに関する情報を得る目的で使用されるものがあります。

PET-CTによって、CTあるいはPETのいずれか一方を行う検査に比べて、腫瘍の位置、増殖および広がりの程度を示す、より完全な画像を得ることができると考えられます。PET-CTを使用することで、がん診断の精度が高まるとともに、腫瘍がどの程度広がっているのかを把握したり、治療計画を作成したり、あるいは治療効果を監視する能力を向上させることができます。さらにPET-CTを受診することで、患者にとっては、追加的な画像診断検査や他の処置が不要になる場合があり利益があるといえます。

7CT検査による放射線は有害なのですか?

CT検査時に照射される放射線量を心配される方もあるでしょう。CTによる画像撮影では電離放射線の一種であるX線が使用されます。このような電離放射線を浴びることで、がんのリスクが高まることが知られています。通常の胸部X線検査やマンモグラフィなどの標準的なX線検査では、比較的低レベルの電離放射線が使用されます。CTによる放射線被ばく量は、標準的なX線検査に比べて高いのですが、一回のCT検査によるがん発症のリスクは低いとされています。CT検査を受診しないリスクの方が、CT検査を受診することでもたらされるリスクよりもはるかに高いのです。すでにがんの徴候や症状が認められる方については特に、CT検査によってがんをはじめとするさまざまな重度の疾患等を診断することによる利益の方がリスクを大きく上回るといえます。

通常のCT検査によって致死性のがんを発症する割合はおよそ2,000人に対して1人とされています(2)。一方、米国民全体のうち生涯においてがんで亡くなり割合はおよそ5人に1人です(3)。

何人であっても、自然界に存する電離放射線源から一定程度の線量レベルの放射線を日常的に浴びることに留意が必要です。米国在住の標準的な市民であれば、ラドン等の自然界に存在する放射性物質からの放射線や宇宙からの放射線により、年間あたり推定で3ミリシーベルト(mSv)の有効線量を浴びているとされています(1)。一方、胸部への一回あたりの低線量CT検査による放射線被ばく量(1.5mSv)は、自然界に存在する放射線発生源による年間平均被ばく量の半年分に相当し、同様に胸部への標準的な線量でのCT検査による放射線被ばく量(7mSv)は、自然界に存在する放射線発生源による年間平均被ばく量の2年分に相当します(1)。

CTをはじめとする、身体の画像を撮影するために電離放射線を用いるさまざまな検査法が使用される機会が増えるにつれ、わずかながん発症リスクの増加が将来多くのがんにつながるのではないかとする不安が人々の間で高まっています(4,5)。子供は成人に比べて放射線の影響を受けやすく、なおかつ余命も長いことから、CT検査を受診した患者が子供である場合、がん発症のリスクが高まる可能性があります(質問8を参照)。同年齢で同じ線量の放射線を浴びた場合であっても女性は男性に比べてがんを発症するリスクが幾分か高い傾向がみられます。

CT検査を検討している方は、同検査が本当に必要なのかどうかに加えて、そのリスクと利益について、担当医師と話し合う必要があります。担当医師が患者の医療記録を入手できない場合に備えて、一部の機関は、患者本人が自ら受診した画像撮影診断の履歴を記録しておくことを推奨しています。北米放射線学会(Radiological Society of North America)、米国放射線科専門医会(American College of Radiology)および米国食品医薬品局(FDA)が作成した「私の画像撮影診断手帳My Medical Imaging History)」という医療被ばく記録手帳もあります。同冊子には、X線検査や治療を実施するのに先立ち、医師を対象とした質問事項が掲載されています。

8.子供に対するCT検査のリスクにはどのようなものがありますか?

CT検査からの放射線被ばくによる影響は成人と子供で異なります。子供は身体が成長する段階にあり、身体内の細胞が分裂するペースも早いことから、成人に比べて放射線による影響を受けやすいのです。上記に加えて、子供は成人に比べて余命が長く、放射線に起因するがんを発症する期間もそれだけ長いといえます(7)。

15歳になるまでにCT検査を複数回受診した人は、初回検査の後の10年間に白血病、脳腫瘍(8)および他のがん(9)を発症するリスクが高まります。一方、単回のCT検査に起因する生涯におけるがん発症リスクは低く、がん発症の事例は単回のCT検査を受診した子供10,000人あたりわずかに1人程度でした。

子供のCT検査に関して医療従事者と話し合う際は、主に以下の3つの質問をすることを心がけてください:
なぜ検査が必要ですか?
検査結果によって治療方針に変更が生じる可能性がありますか?
放射線を用いない代替となる検査法が存在しますか?
検査の妥当性が臨床上明らかにされることで、こうした検査による利益が長期的なリスクを上回ることを知り、患者やその親は安心できるでしょう。

 9CTによる放射線被ばく量を低減するために現在どのような取り組みがなされていますか?

電離放射線を使用するCTや他の画像検査に起因するがん発症のリスクに対する不安に応えるかたちで、複数の機関および政府機関は、このような診断方法の適切な使用に関するガイドラインや勧告案を作成しました。

・2010年、米国食品医薬品局(FDA)は、「画像検査による不要な放射線被曝の低減に向けた指針(Initiative to Reduce Unnecessary Radiation from Medical Imaging)(※FDAニュース日本語訳) 」を発表しました。同指針は、医療画像装置の安全な使用、画像検査を行うか否かの判断基準、および放射線被ばくに関する患者の理解を促すことに焦点がおかれています。同指針の主要な点は、一つの画像検査の繰り返しを避けること、画像の鮮明さを最大化しつつ放射線量をできるかぎり低量に維持すること、ならびに画像診断法の実施は適切な場合に限ることです。FDAはさらに「医療X線画像診断検査による放射線被ばくを低減するために(Reducing Radiation from Medical X-ray)」と題する案内書(※FDAパンフレット「医療被曝の低減に向けて」日本語訳を含む」を作成しました。同案内書には、医療X線画像診断法に伴うリスク関する情報、放射線リスクを低減するために患者が取り得る手順、さらには広く使用されている各種の医療用X線検査法それぞれの放射線量を示した表が盛り込まれています。

・NIH臨床センター(NIH Clinical Center)は、同センターにおいて治療を受けた患者の電子医療履歴に、CTおよび他の画像診断による放射線被ばく量について記録することを求めています(10)。さらに、NIHが購入するすべての画像診断装置について、各メーカーは放射線被ばく線量を電子的に過去にさかのぼって追跡および記録できるような手段も提供しなければなりません。患者の保護を目的とした同様の措置は、NIH臨床センター以外にも、各病院や画像診断検査施設において次第に採用されてきています。

・NIHのウェブサイトには「放射線リスクと小児用コンピュータ断層撮影法:医療従事者向けガイド日本語訳(Radiation Risks and Pediatric Computed Tomography(CT): A Guide for Health Care Providers)」と題する医療従事者向けのガイドが掲載されています。同ガイドでは、子供を対象とした診断方法としてのCTの意義について論じたうえで、子供における放射線被ばくに関する考察、放射線被ばくにより子供が被るリスク、さらには被ばくを最小限に抑えるための方法について述べられています。

・米国放射線科専門医会(American College of Radiology)は、医療従事者がさまざまな臨床状態について適切な画像診断や治療方針の決定を行う際の手引きとなることを目的として、臨床結果に基づいたガイドライン「検査の妥当性尺度(ACR Appropriateness Criteria®)」を作成しています。当該ガイドラインおよびそれに付随する資料については、ACRのウェブサイトから入手可能です。

・ACRは、同学会の会員である各検査施設において実施された全CT検査について、照射された放射線量に関する情報を患者の名前を伏せたうえでまとめた「放射線量指標レジストリ(Dose Index registry)」を作成しています。同レジストリのデータを用いて各検査施設間の比較を行ったり、国内基準を設定することが可能です。

・CTスキャナの各メーカーは現在、はるかに低線量の放射線でより鮮明な画像が得られる新型のカメラや検出装置の開発に取り組んでいます。

10CT検査の改良のためにNCIはどのような取り組みをしているのですか?

NCIからの助成を受けている研究者たちは、がん検診、診断、および治療の改善を目的としたCT検査の向上につながる方法を研究しています。さらにNCIは、CTの改良につながる方法や、CT画像化技術の新たな活用につながる方法を探るために臨床試験を実施したり、あるいは、このような臨床試験に対して助成を行ったりしています。臨床試験には、一部NCIの助成により運営されている臨床試験支援団体、「米国放射線科専門医会画像ネットワーク(American College of Radiology Imaging Network:ACRIN)」によって管理/運営されているものもあります。ACRINは、大腸がん検診におけるCT使用について分析した「米国CTコロノグラフィー試験(National CT Colonography Trial)」を実施し、さらには、肺がん発症について高いリスクを抱える患者を対象とするCT検査の有効性について分析した「全国肺がん検診試験(National Lung Screening Trial)」にも参加しました。

NCIの癌治療・診断部門(Division of Cancer Treatment and Diagnosis:DCTD)の一部である「がん画像診断技術プログラム(Cancer Imaging Program:CIP)」は、画像技術において、がんに関する基礎研究、トランスレーショナル(橋渡し)研究、および臨床研究を助成しています。CIPは、医師が身体内のがん細胞の位置をより正確に特定できるよう、CT検査および他の画像診断に用いられる新たな造影剤の開発を支援しています。

 11CTに関する詳しい情報はどこで入手することができますか?

CT画像診断に関するさらに詳しい情報については、食品、医薬品、医療機器、化粧品、生物学的製剤、および放射線放出製品について規制を行っている米国食品医薬品局(FDA)から入手可能です。FDAの問い合わせ先は以下の通りです:

U.S. Food and Drug Administration
10903 New Hampshire Avenue
Silver Spring, MD 20993
1–888–INFO–FDA (1–888–463–6332)
http://www.fda.gov

CT画像診断をはじめ、放射線医学に関する情報についても、北米放射線学会(Radiological Society of North America)および米国放射線科専門医会(American College of Radiology)の公開サイトRadiologyInfo.orgにおいて入手可能です。

[推奨参考資料]

  1. American College of Radiology and Radiological Society of North America (April 2012). Patient Safety: Radiation Dose in X-Ray and CT Exams Exit Disclaimer. Retrieved July 19, 2013.
  2. U.S. Food and Drug Administration (August 2009). What are the Radiation Risks from CT? Retrieved July 19, 2013.
  3. Howlader N, Noone AM, Krapcho M, et al. (eds). SEER Cancer Statistics Review, 1975-2010, National Cancer Institute. Bethesda, MD, 2013 (http://seer.cancer.gov/csr/1975_2010/).
  4. Berrington de González A, Mahesh M, Kim K-P, et al. Projected cancer risks from computed tomographic scans performed in the United States in 2007. Archives of Internal Medicine2009; 169(22):2071–2077.[PubMed Abstract]
  5. Smith-Bindman R, Lipson J, Marcus R, et al. Radiation dose associated with common computed tomography examinations and the associated lifetime attributable risk of cancer. Archives of Internal Medicine2009; 169(22):2078–2086.[PubMed Abstract]
  6. Committee to Assess Health Risks from Exposure to Low Levels of Ionizing Radiation, National Research Council. Health Risks from Exposure to Low Levels of Ionizing Radiation: BEIR VII—Phase 2. Washington, DC: The National Academies Press, 2006.
  7. Frush DP, Donnelly LF, Rosen NS. Computed tomography and radiation risks: what pediatric health care providers should know. Pediatrics2003; 112(4):951–957.[PubMed Abstract]
  8. Pearce MS, Salotti JA, Little MP, et al. Radiation exposure from CT scans in childhood and subsequent risk of leukaemia and brain tumours: a retrospective cohort study. Lancet2012; 380(9840):499–505.[PubMed Abstract]
  9. Mathews JD, Forsythe AV, Brady Z, et al. Cancer risk in 680 000 people exposed to computed tomography scans in childhood or adolescence: data linkage study of 11 million Australians. British Medical Journal 2013 May 21; 346:f2360. doi:10.1136/bmj.f2360 Exit Disclaimer
  10. Neumann RD, Bluemke DA. Tracking radiation exposure from diagnostic imaging devices at the NIH. Journal of the American College of Radiology2010; 7(2):87–89.[PubMed Abstract]

 

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谷口淳 訳
前田梓(分子生物学、生化学、遺伝学、微生物学/理学博士) 監修
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