子宮頸癌のタイプによりゲノム上の差異を発見/ダナ・ファーバー癌研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

子宮頸癌のタイプによりゲノム上の差異を発見/ダナ・ファーバー癌研究所

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

子宮頸癌のタイプによりゲノム上の差異を発見/ダナ・ファーバー癌研究所

2013年8月23日

もっとも頻繁に見られる二種類の子宮頸癌の遺伝的形態における顕著な違いが、新たな試験によって明らかになり、その試験は、それぞれのタイプの分子的特徴に対応した治療が患者にとって有益な可能性を示唆している。

本試験は、ダナ・ファーバー癌研究所およびブリガムアンドウィメンズ病院(BWH)の研究者らにより、2013年8月23日にCancer誌電子版の中で発表されたものであるが、子宮頸癌において2つの主要なサブタイプである腺癌と扁平上皮癌における癌に関連した遺伝子変異の範囲を比較する最初の試験である。研究者らは、80人の子宮腫瘍サンプルを用いた試験で、2つの遺伝子PIK3CAとKRASにおいて高い割合で変異が見られることを突き止めた。PIK3CA変異は両方のサブタイプで出現していたが、KRAS変異は腺癌でしか見られなかった。

患者の治療および生存データをこの新たな発見に結び付けることにより、研究者らはPIK3CA変異が生存期間の短縮に関与していることを発見した。これらの変異を起こした腫瘍がある患者の診断後中央生存期間は67カ月であったのに対し、変異のない腫瘍を持つ患者においては90カ月であった。

「わたしたちは、これまで子宮頸癌を一つの疾患として扱ってきました。」と筆頭著者であり、ダナ・ファーバーのSusan F. Smith Center for Women’s CancersのAlexi Wright医師・公衆衛生学修士は話す。「ですが、自身の疾患による死亡リスクがより高いもののより個別的な治療介入によって利益を得られる患者がいることを、わたしたちの発見は示唆しているのです。」 

子宮頸癌サンプルにおいてPIK3CA変異の割合が高いという発見は、PIK3CA遺伝子に関与するタンパク質ファミリーを標的にするPI3キナーゼ阻害剤として知られる薬剤が、多くの患者に有効である可能性を示唆している、と著者らは話している。子宮頸癌の腺癌サブタイプを持つ患者には、臨床試験である程度の結果を示したMEK阻害剤として知られる標的薬が有効な可能性がある。

子宮頸癌は、世界中の女性で2番目に多い癌死亡の原因となっており、年間275,000人が亡くなっている。パップテストは、子宮頸部扁平上皮癌発生率の減少に役立っているものの、腺癌は現在全ての子宮頸癌のうちほぼ4分の1を占めており、20年前の5%から増加している。

本試験において、研究者らは、癌に関係する数百の遺伝子の中で1,200の変異があった80人-腺癌40人と扁平上皮癌40人-の子宮頸癌腫瘍のDNAを詳しく調査した。その調査には、癌関連遺伝子を対象として多量の腫瘍サンプルを検査するためにダナ・ファーバーで開発された、OncoMapと呼ばれるシステムが用いられた。31%のサンプルでPIK3CA変異が認められ、腺癌の17.5%でKRAS変異が見られ(扁平上皮癌ではなし)、扁平上皮癌の7.5%で、EGFR遺伝子におけるまれな変異が見られた(腺癌では認められず)。

「現在の治療戦略は、頸部腫瘍が腺癌か扁平上皮癌のいずれであるかを考慮に入れていないが、本試験は、明確に患者のサブセットを識別し、標的にすることが、早期あるいは進行期の頸がんに罹患した女性の転帰を改善するであろうことを示唆している。」 とWright医師はコメントしている。

この研究は、米国癌協会、臨床腫瘍学会のがん克服基金、Team Maureen Cervical Cancer Fund、the Friends of Dana-Farber Cancer Instituteの補助金で支援されている。

本試験の上級著者はダナ・ファーバーのUrsula Matulonis医師、ブリガムアンドウィメンズ病院のMichelle Hirsch博士である。第二共著者はブリガムアンドウィメンズ病院のBrooke Howitt医師とダナ・ファーバーのAndrea Myers博士である。共著者は以下の通りである。ダナ・ファーバーのEmanuele Palescandolo博士、Robert Jones氏 、ダナ・ファーバーおよびHarvard School of Public HealthのSuzanne Dahlberg博士、Paul Van Hummelen博士、Laura MacConaill博士、Nikhil Wagle医師、ダナ・ファーバーおよびBroad Institute of Harvard and MITのWilliam C. Hahn医師・博士、Charles Quick医師、Anna Laury医師、ブリガムアンドウィメンズ病院のIngrid Katz医師、Harvard Medical SchoolのMelina Shoni医師。
******
滝川俊和 訳
原野謙一(乳腺科・婦人科癌・腫瘍内科/日本医科大学武蔵小杉病院) 監修
******
原文

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

お勧め出版物

一覧

arrow_upward