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炎症によって誘導される膵臓癌の原因をメイヨークリニックの研究者らが解明/メイヨークリニック

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炎症によって誘導される膵臓癌の原因をメイヨークリニックの研究者らが解明/メイヨークリニック

2013年8月5日(月)

フロリダ州ジャクソンビル発—フロリダのメイヨークリニックの研究者らが、膵臓の慢性的な炎症、すなわち膵炎が膵臓癌へと変化するプロセスを明らかにした。研究者らによれば、今回の知見は、膵臓癌の発症リスクのある膵炎患者を特定する方法や、このプロセスを逆転させるのに有望な薬物療法を提示するものであるという。

マルチメディア情報(報道関係者向け):本研究を考察したGeou-Yarh Liou博士の音声・動画を視聴するにはMayo Clinic News Networkをご覧下さい。

本日付のThe Journal of Cell Biology誌電子版に発表された本研究は、炎症がどのようにして膵臓内の腺房細胞(消化酵素を産生する細胞)を腺管様細胞へと形質転換させるかを明らかにしている。統括筆者でメイヨークリニックの生化学者兼分子生物学者であるPeter Storz博士によると、これらの細胞は変化に伴い、その後の膵臓癌への進行を引き起こす変異を獲得すると考えられる。

「これらの細胞がなぜ自己を再プログラミングするのかはわかりませんが、炎症で傷ついた臓器内で酵素が産生されることにより、さらなる損傷が生じることが原因と考えられます」とStorz博士は言う。「しかし、朗報なのはこのプロセスが可逆的であるということです。私たちはこの経路に関与するいくつかの分子を特定しました。これらの分子を標的にすることで、新たに形質転換して発生した腺管様細胞が腺房細胞に戻るのを促し、発癌リスクを取り除くことができると考えられます」。研究者らは、ヒト膵臓癌マウスモデルを用い、すでに市販されている薬剤がこの膵臓内の細胞形質転換を逆転させる能力を試験中である。Storz博士の研究チームは、膵臓の炎症から膵臓癌の発現に至るまでの経路を追跡し、マクロファージが膵臓の炎症に反応した時点で何が起きるのかを確認した。マクロファージとは、体内の異物を捕食する白血球の一種である。

「マクロファージは臓器内の損傷細胞を除去するために存在するというのがこの分野の常識でした」とStorz博士は言う。「しかし、私たちはマクロファージが有益なものではないことを発見しました。それどころか、マクロファージ自身が形質転換を誘導し、発癌のお膳立てをしているのです」。

また、研究チームは、膵臓が炎症を起こした場合、膵液に腺房細胞から腺管様細胞への形質転換を誘導するシグナル伝達分子が含まれることを発見した。本研究の共著者で胃腸科医のMassimo Raimondo医師は、通常の上部消化管内視鏡検査でこの膵液を採取する方法を開発したメイヨーチームの一員である。

「私たちは、この形質転換プロセスに関与する2種類の酵素が膵炎患者にとって早期警告システム、すなわち膵臓癌リスクのマーカーとなり得るかどうかについても調べたいと考えています」とStorz博士は言う。

「私たちの願いは、癌が生じる前にリスクを検出し、膵臓癌発症のあらゆる可能性を食い止める治療を用いることなのです」と同博士は述べた。

本研究は米国国立衛生研究所の助成金(CA135102、CA140182 およびCA159222)、米国癌学会、メイヨークリニックの膵臓癌領域特定優良研究プログラム(SPORE)の助成金による支援を受けた。

共著者には、Geou-Yarh Liou博士、Heike Doeppler氏、Brian Necela博士、Murli Krishna医師およびHoward Crawford博士がいる。

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原 恵美子
大野 智(腫瘍免疫/早稲田大学・東京女子医科大学)監修
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原文

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