小児癌サバイバーの妊娠成績向上に関する新たな研究結果/ダナファーバー癌研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

小児癌サバイバーの妊娠成績向上に関する新たな研究結果/ダナファーバー癌研究所

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

小児癌サバイバーの妊娠成績向上に関する新たな研究結果/ダナファーバー癌研究所

2013年7月15日

ダナファーバー/ボストン小児病院のCancer and Blood Disorders Centerとブリガム・アンド・ウィメンズ病院の臨床研究者によると、小児癌サバイバーの女性は不妊リスクが高まりはするものの、少なくても1年間妊娠しようと試みても妊娠しなかった女性の約3分の2が最終的に妊娠した。これは、臨床的に不妊とされる全女性が最終的に妊娠する確率と同等である。

「子供のときに癌にかかった多くの女性は、子供を持つことはできないだろうと考えますが、その多くは妊娠できることが明らかになりました。少し難しい可能性はありますが。」と、ダナファーバー/ボストン小児病院の医務部長で、ダナファーバー癌研究所のDavid B. Perini, Jr. Quality of Life Clinicの医長である統括著者のLisa Diller医師は述べた。

7月13日発行のLancet Oncology誌に掲載された論文は、典型的な臨床的定義(1年以上妊娠を試みたが妊娠に至らない)で不妊とされる女性の小児癌サバイバーの転帰を調査する最初の大規模研究である。

全体としてみると、小児癌サバイバーの女性のうち15.9%が不妊となり、少なくても1年妊娠を試みた人の中では12.9%が妊娠に至らなかった。不妊グループの他のサバイバーは卵巣障害であったか、妊娠を試みていなかったようだ。小児癌サバイバーの姉妹を持つ比較群では、10.8%が不妊であった。

つまり、小児癌サバイバーの不妊リスクはおよそ50%高いと言える。

この新たな研究は、1970年から1986年にかけて癌と診断された時点で21歳以下だった26施設の5年サバイバーに関するコホート研究である小児がんサバイバースタディ(Childhood Cancer Survivor Study)のデータに基づいている。研究者らは、性交経験があり、18歳から39歳の女性サバイバー3,531人と、大規模サバイバー研究の参加者の姉妹である1,366人からなる対象群を調査した。

「これは不妊と不妊治療の活用に関する直接的な問題を調査する始めての研究です。これまでの研究は両親、妊娠、分娩といった代用マーカーを使用してきました。これらの研究では人々の意思は考慮されていません。妊娠をするまでにかかる期間についても考慮されていません」と調査時にブリガム&ウィメンズ病院で生殖と不妊の臨床フェローであった筆頭著者のSara Barton医師は述べた。

少なくても1年間妊娠を試みて妊娠しなかった小児癌サバイバーの64%が平均して続く6カ月以内に妊娠し、臨床的に不妊とされる女性の対象群では最終的に妊娠までに5カ月を要した。

癌に対してアルキル化剤による化学療法を受けたか、高線量放射線を腹部または骨盤に受けた女性の不妊リスクは非常に高かった。小児腫瘍専門医は、この数十年間にわたり、遅発効果を減らすために多くの治療プロトコルを変えてきたが、アルキル化剤と放射線は変わらず使われている。

「アルキル化剤や骨盤・腹部への放射線治療を受けている女性は不妊を予防するためにトリアージされるべきです。癌治療を受けた女性の癌サバイバーは不妊になるリスクが非常に高まることに加えて、一度不妊になると妊娠する可能性が大きく低下します。新たな研究は、臨床医が現在治療中の患者に、それぞれの癌の治療プロトコルに基づいたアドバイスをするのに役立つでしょう。例えば、あなたが今ホドキンリンパ腫と新たに診断されたとすると、わずかに不妊になりやすい可能性があります。しかし、私は必ずしも、卵子を凍結するために、癌治療を先延ばしにする必要はないと考えます」と現在、Heartland Center for Reproductive Medicineの医師で、University of Nebraska Medical Schoolの臨床学教授であるBarton氏は述べた。

研究者らはまた、不妊治療を受けている癌サバイバーの中で投薬治療を受けているのは42%にすぎず、対して、対象群では75%であるということも発見した。両グループの不妊に対する医療機関の受診率はほぼ同等で、癌サバイバーが69%で、対象群は73%であった。

以前の研究で、小児癌サバイバーは、不妊リスクがずっと高いことは判明しているが、一度妊娠すれば、流産や死産のリスクのリスクは高くはない。「われわれの研究結果は臨床医に実に前向きなメッセージを伝えている。たとえ、あなたの患者が小児癌サバイバーで、臨床的に不妊と自ら報告したとしても、彼女が妊娠できる可能性は十分にあります。小児癌治療を受けたことがある女性は妊娠できる可能性があると考えるべきです。けれども、妊娠を望んでいるのにも関わらず、最初の6カ月以内に妊娠に至らなかった場合、すぐにでも専門家の診察を受けることが重要です。」とDiller医師は述べた。

Lisa Diller医師の他の共著者は以下の通りである。

Julie S. Najita, Ph.D. of Dana-Farber; Elizabeth S. Ginsburg, M.D., of Brigham and Women’s; Wendy M. Leisenring, Sc.D., of Fred Hutchinson Cancer Institute; Marilyn Stovall, Ph.D., and Rita E. Weathers, M.S., of University of Texas M.D. Anderson Center; Charles A. Sklar, M.D., of Sloan-Kettering Cancer Center; and Leslie L. Robison, Ph.D. of St. Jude Children’s Hospital.

本研究は米国立癌研究所(Grant U24 CA5572)並びにSwim Across America社から資金提供を受けた。

******
池上紀子
寺島 慶太(小児血液・神経腫瘍/国立成育医療研究センター腫瘍科)監修
******
原文

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward