前立腺癌の新検査法でリスク評価が改善/カリフォルニア大学サンフランシスコ校 | 海外がん医療情報リファレンス

前立腺癌の新検査法でリスク評価が改善/カリフォルニア大学サンフランシスコ校

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前立腺癌の新検査法でリスク評価が改善/カリフォルニア大学サンフランシスコ校

前立腺癌の新検査法でリスク評価予測が改善/カリフォルニア大学サンフランシスコ校


UC San Franciscoの新たな研究によると、前立腺癌についての新たな遺伝子検査法が、進行性前立腺癌を発症しやすい男性を予測するのに役立つとした。

本検査法は、患者が初回の診断を受ける場合、リスク評価を改善するものであるが、監視療法―直接的な治療を施すことなく、同疾患を監視する方法―を選択することが適切な男性を特定するのにも有用とされる。

前立腺癌は進行が遅い場合が多く、米国で毎年25万人発生する前立腺癌の多くが、通常行われる手術、放射線治療またはそれらの併用などの治療を決して必要としない。それにもかかわらず、米国において、低リスクの前立腺癌の患者の大半が、早期に治療を受けている。

研究者らは、新たな検査法によって「統計学的に有意かつ臨床上意味のある」予後に関する情報がもたらされ、さらには、不要な治療や本来であれば避けることができたはずの副作用から患者を守る監視療法を安全に選択することのできる、低リスクの前立腺癌患者をより多く特定できることを見出した。同時に、本研究の著者らの話によると、本試験は、見かけ上は低リスクでも、実際には侵襲性のおそれのある腫瘍を有する男性患者を特定することもできるという。

UCSFが男性患者395人を対象に行った別個の臨床試験によって、Genomic Health, Inc.社が開発した生検ベースの治療前の検査法である、Oncotype DX遺伝子前立腺スコア(GPS)が、高グレードまたは被膜外浸潤のある前立腺癌を予測するものとして有効であることが確認された。

試験結果は、サンディエゴで開催される米国泌尿器科学会(American Urological Association)の年次総会期間中の5月8日に発表されることになっている。

低リスクの前立腺癌を対象とする監視療法

「新たな検査法によって、われわれは、適切な場合には、より確信を持って、患者に対して監視療法を勧めることができる」とUCSF Helen Diller Family総合がんセンター生殖・泌尿器科癌専門医であり、本研究を主導したMatthew R. Cooperberg医師は述べる。「監視療法を通じて、患者の状態に応じて、手術または放射線治療を避けたり、あるいは遅らせることができる。」

「監視療法は、低リスクの前立腺癌男性患者の多くにとって、好ましい選択肢であるとして次第に認識され始めているものの、実際のところ、このような監視療法が選択される例は相対的に少ない」Matthew R. Cooperberg医師は述べる。「それにはさまざまな理由があるが、金銭的、法的および文化的なものが考えられる。多くの男性が、前立腺癌が進行するのではないかとの不安を抱えたまま人生を送ることを望んでいない。したがって、どの腫瘍に転移の可能性があるのかをより正確に予測できる必要がある。より確実なかたちで、前立腺癌の男性患者をリスクに応じて階層化することができるようになれば、そして監視療法を選択することが可能な男性患者をより多く特定できるようになれば、過剰治療の割合を改善することができ、さらにはPSAスクリーニングの是非を巡る今日の論争の解決にも寄与するはずである。」

アメリカ癌協会によると、男性において2番目に多い癌である前立腺癌は、男性6人中1人の割合で罹患しているという。前立腺癌は通常、年配の男性に発症がみられ、診断時の平均年齢はおよそ67歳である。そして侵襲性の高い前立腺癌によって、米国で毎年30,000人もの男性が死亡している。一方で、前立腺癌患者の多くは、相対的に進行が遅く、たとえ治療を受けなくても進行するおそれがない低リスクの腫瘍を有していることから、同疾患が原因で死亡することはない。

監視療法は、一連のPSAスクリーニングや前立腺の生検を通じて、患者の状況を注意深く監視することを含むが、検査によって病状に悪化が認められなければ治療を行わない。監視療法には、害がまったく無いというわけではない―患者にとって生検は不快なものであり、出血や感染のリスクを伴う。上記に加えて、患者によっては、癌が進行するのではないかとの不安を、強く感じる場合もある。

監視療法によって、患者は、手術もしくは放射線治療を避けるか、あるいはこれらを遅らせることができるが、一方で研究者らは大きな課題に直面している:どの患者が監視療法を安全に選択できるのか、あるいはどの患者に臨床上有意な病勢進行のリスクが認められるのかについて、どのようにして一貫性があり信頼できるかたちで特定していくかということである。

医師および患者にとって利用可能な検査法

UCSFによる新たな試験において、試験責任医師らは、前立腺針生検試料から17の遺伝子を対象とした分析によって、前立腺全摘除を行った際の病理学的ステージとグレードを予測できるかどうかを評価した。本試験に携わった研究者らは、標準的なPSA、Gleasonグレードおよび生検の詳細な変数を通じてすでに判定可能な情報以外にも、本検査法で使用されるバイオマーカによって、予測に有効となる独立した情報が得られるかどうかに注目した。

本試験の対象者は、UCSF Helen Diller Family総合がんセンターのUrologic Oncology Databaseに登録されている男性患者であり、診断時の年齢は38歳から77歳の範囲内であった。年齢の中央値は58歳であった。いずれの患者も、臨床的なリスク特性において、低リスクから中間リスクの腫瘍を有する者であった。

Genomic Health Inc.社が製作した本ビデオは、Oncotype DX遺伝子前立腺スコア(GPS)について説明するものである。

研究者らは、本試験によって、「すでに有効性が十分に認められている従来の臨床的なリスク層別化法をはるかに超えた、統計学的に有意かつ臨床的にも有意な予後に関する追加的な情報がもたらされた」とした。

本研究の著者らは、幅広いリスクの腫瘍を有することが想定される男性患者を対象とするという明白な意図があったことをはじめ、本試験には数多くの限界があると指摘した。そのうえで、著者らは、さらに今後追加的な試験が行われることで、この検査法が、特に低リスクの腫瘍を有し、たとえば生検の回数を減らすといった、相対的に程度の低い監視療法を選択できる男性患者を特定するのに有用であることが明らかにされるだろうとした。

本検査法は、5月8日の発表後、医師および患者を対象に利用可能となる。

「前立腺癌は、多くの者―患者、医療従事者および他の医療産業の関係者ら―が大いに注目している」UCSF Helen Diller Family総合がんセンター泌尿器科の共同責任者であり、UCSF泌尿器学科長も務める、本研究の上級執筆者Peter R. Carroll医師は語った。

「PSA検査法の登場以降、前立腺癌による死亡率は4割減少したが、これは、仮に癌が検出されなければ、特段治療する必要もなかった、非常に低リスクで進行も遅い前立腺癌を有する男性患者を数多く特定したことによって生じている。」Carroll医師は言う。「過剰診断によって、たとえ進行が遅い前立腺癌であっても治療を行うという過剰な治療がもたらされている。こうした現状をふまえて、これまでに多くの者が血清PSAを中止すべきであると主張してきたが、血清PSAを中止することは、すなわち過去20年にわたってみられてきた死亡率の減少という好ましい傾向を覆すおそれがある。」

「今後の方向性は、現時点では入手できない、個々の癌に特有の情報をもとに、より個別化された治療方針の選択を促すことである。このような情報に基づき、患者および医療従事者の双方が、即時に治療を選択する代わりに、治療あるいは慎重な監視療法のいずれを選択するかについて、それぞれのリスクと利益をより適切に比較考量できるようになるであろう。

上記の者以外にも、本研究に携わったUCSFの著者には、Janet E. Cowan氏(プログラムアナリスト兼CaPSURE財団責任者(CaPSURE Scholars Coordinator))、Jeffry P. Simko氏(MD, PhD)(病理学および泌尿器科学准教授)、June M. Chan氏(ScD)(泌尿器科学、疫学および生物統計学教授)、Imelda Tenggara-Hunter氏(UCSF泌尿器科学部研究資金管理者(director of Research Resources in the UCSF Department of Urology))が含まれている。

Genomic Health, Inc.社は本試験において遺伝子検査法を実施し、さらにUCSFに対して組織の採取、データ処理および病理学の研究費用を負担するなど、金銭的な支援を行った。Genomic Health社に属さない著者は、本試験に際し、いかなる個人的な対価も受け取っておらず、またGenomic Health社に属さない研究者は本試験の発表による金銭的な利益を受ける立場にない。本研究は、助成金PC101769を介して国防総省による間接的な支援を受けた。

UCSF医療センターについて

UCSF医療センターは、全米でトップ10に常にランクされる病院である。革新的な治療、先端技術、医療従事者と科学者の双方間の連携に加えて、患者本位の医療チームであるとの評価を受けており、UCSF医療センターはカリフォルニア大学サンフランシスコ校の学内医療施設として位置付けられている。同医療センターが誇る国家的に卓越したプログラムには、小児の健康、脳神経系、臓器移植、女性の健康、ならびに癌が対象として含まれている。同医療センターはUCSF学内において独立した事業体としてその運営を行っており、患者に医療サービスを提供する際の運営費に見合うだけの収益を上げている。

UCSF医療センターに関心を持たれた方はwww.facebook.com/UCSFMedicalCenterまたはTwitter:@UCSFHospitalsでフォローしてください。

このニュースリリースは、ウエブ掲載用に編集してあります。

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谷口 淳 訳
榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院) 監修
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原文

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