Ibrutinibは慢性白血病およびマントル細胞リンパ腫に対し安全かつ有効で有望/オハイオ州立大学総合がんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

Ibrutinibは慢性白血病およびマントル細胞リンパ腫に対し安全かつ有効で有望/オハイオ州立大学総合がんセンター

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Ibrutinibは慢性白血病およびマントル細胞リンパ腫に対し安全かつ有効で有望/オハイオ州立大学総合がんセンター

2013年6月18日

New England Journal of Medicine誌電子版に掲載された臨床試験の結果によると、Ibrutinibは、再発リスクの高い患者を含むあらゆる慢性リンパ性白血病(CLL)患者の生存期間を有意に延長する。マントル細胞リンパ腫(MCL)患者においても、同様の結果が示された。

Ibrutinibは、ブルトン型チロシンキナーゼを標的としてデザインされた初めての薬剤である。このチロシンキナーゼはB細胞受容体経路にとって極めて重要なタンパクで、腫瘍細胞の生存と増殖に関与する。

白血病の中で最もよくみられるCLL、および非ホジキンリンパ腫の中でも稀で悪性度の高いMCLは、ともに治癒不能である。

26カ月時点におけるCLLの全生存率は、およそ83%であった。

オハイオ州コロンバス-New England Journal of Medicine誌に付随論説とともに掲載された2つの臨床試験の結果によると、新規薬剤Ibrutinibが、慢性リンパ性白血病(CLL)成人患者およびマントル細胞リンパ腫(MCL)患者に対して、安全で有効な標的治療である確かな可能性が示されている。

両試験の結果は、オハイオ州立大学総合がんセンターArthur G. James Cancer Hospital and Richard J. Solove Research Institute (OSUCCC-James)およびMDアンダーソンがんセンターの研究者により共同実施され、2013年6月19日、本誌電子版に掲載された。

慢性リンパ性白血病とIbrutinib

今回の第1b/2相臨床試験で得られた全寛解率(完全および部分寛解率)は、71%であった。26カ月時点の無増悪生存率はおよそ75%で、全生存率は83%であった。

「基本的に、すべてのCLL患者がIbrutinibによく反応します。化学療法でみられるような副作用の多くが発現しないうえに、高リスクの遺伝子損傷を有する患者においてもしばしば長期寛解がみられます」と、本試験の共同責任者、John C. Byrd 医師は語る。氏は、OSUCCC-James血液学部門の部長で、CLLの専門家である。

CLLは白血病の中で最も一般的で、米国で毎年およそ15000人が診断を受ける。CLLは、T細胞とともに免疫系の主要な構成要素であるB細胞の癌である。Ibrutinib (PCI-32765)は、CLL細胞の生存と増殖に必須のタンパク、ブルトン型チロシンキナーゼを標的としてデザインされた初めての薬剤である。Ibrutinibは、悪性のB細胞を殺すが、他のCLLに対する治療法と異なり、正常なT細胞にはほとんど影響を与えない。したがって、免疫系の重要な部分の多くを保持し、治療中の患者の健康状態をよりよく保つことができる。

本試験には、再発したCLL患者85人(年令の中央値66才)が参加し、Ibrutinibを1日1回服用した。用量は、51人が420mg、34人が840mgであった。長期の服用により、下痢、倦怠感および感染症などの軽度の副作用がみられたが、これらは、ほとんどの例でIbrutinibによる治療を中断することなく軽快した。

本試験は、Pharmacyclics, Inc.社、白血病リンパ腫協会(Leukemia and Lymphoma Society)、D. Warren Brown基金、Michael Thomas夫妻、Harry Mangurian基金、および米国国立衛生研究所/米国国立癌研究所(助成金CA140158およびCA095426)より資金提供を受けた。

マントル細胞リンパ腫とIbrutinib

今回の第2相臨床試験で得られた全寛解率は68%で、21%が完全寛解、47%が部分寛解であった。18カ月時点における全生存率は、およそ58%であった。

「これは注目すべき結果です。なぜなら、米国食品医薬品局が前回承認したMCLの治療薬は、寛解率が30%だったからです」と、統括著者のKristie Blum医師は述べる。氏は内科学の准教授で、OSUCCC-Jamesリンパ腫プログラムの責任者である。「この試験結果は、MCL治療の選択における状況が、Ibrutinibによって著しく改善し得ることを示しています」。

MCLは、2013年に米国で約7万人の罹患が見込まれる悪性腫瘍、非ホジキンリンパ腫の一種である。非ホジキンリンパ腫の約7%がMCLであり、これはBリンパ球あるいはB細胞とよばれる白血球の癌である。現在腫瘍医は、MCLに対する治療として、併用化学療法、あるいは大量化学療法と免疫療法の併用に続いて、幹細胞移植を行っている。

本試験には、再発あるいは難治性のMCL患者111人が参加し、Ibrutinibを服用した。臨床試験は、18の施設で行われた。参加者には1~5種類の治療歴があり、中には、時にMCLの治療に用いられる薬剤、ボルテゾミブも含まれていた。寛解期間の中央値はおよそ17.5カ月で、無増悪生存期間の中央値はおよそ14カ月であった。

本試験は、Pharmacyclics, Inc.社の資金提供を受けた。

OSUCCC-Jamesについて

オハイオ州立大学総合がんセンターArthur G. James Cancer Hospital and Richard J. Solove Research Instituteは、科学的研究を高水準の教育および患者中心のケアと統合して、予防、発見、治療方法の改善を導き出す戦略とし、癌のない世界を造ることに尽力しています。オハイオ州立大学がんセンターは、米国国立癌研究所(NCI)の指定を受けた、米国内に41しかない総合がんセンターの一つで、第1相および第2相臨床試験の実施に際してNCIから資金提供を受けているわずか4センターのうちの一つである。最近NCIは、オハイオ州立大学総合がんセンターの癌プログラムを、NCI調査チームの最高評価である「非常に優れている」と位置付けた。癌プログラムの228床を有する成人患者診療部門としてJamesは、Leapfrog Groupによって「最高の病院」と評価され、U.S. News & World Report誌によって、米国内で最高の癌専門病院の一つにランク付けされている。

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John C. Byrd 医師の高画質写真JPEGファイルはこちら。

Kristie Blum医師の高画質写真JPEGファイルはこちら。

OSUCCC-James、CLL実験治療学研究室はこちら。

問い合わせ先:Darrell E. Ward、Wexner Medical Center Public Affairs and Media Relations、614-293-3737またはDarrell.Ward@osumc.edu

タグ:白血病、リンパ腫、クリニカル/トランスレーショナルリサーチ、研究結果
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徳井陽子 訳
吉原 哲 (血液内科/造血幹細胞移植) 監修
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原文

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