骨粗鬆症薬バゼドキシフェンが治療抵抗性乳癌の増殖を抑制/デューク大学医療センター | 海外がん医療情報リファレンス

骨粗鬆症薬バゼドキシフェンが治療抵抗性乳癌の増殖を抑制/デューク大学医療センター

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骨粗鬆症薬バゼドキシフェンが治療抵抗性乳癌の増殖を抑制/デューク大学医療センター

2013年6月15日

ヨーロッパで骨粗鬆症治療薬として承認された薬剤(バゼドキシフェン)による、乳癌細胞の増殖の抑制が示され、さらに最新の標的療法に抵抗性を示した癌が抑制されることが、デューク癌研究所の臨床試験により示された。

2013年6月15日にサンフランシスコで開催された米国内分泌学会総会で、バゼドキシフェンがエストロゲンによる乳癌細胞の増殖促進を抑制するだけでなく、エストロゲン受容体を破壊し衰えさせる、という驚異の効果についての知見が発表された。

「私たちはバゼドキシフェンがエストロゲン受容体に結合して、その活性を妨げ、さらに驚くべきことに受容体を退化させることを見出しました。バゼドキシフェンはエストロゲン受容体を排除するのです。」と責任著者、デューク大学医療センター薬理学・腫瘍生物学部門のDonald McDonnell博士は述べた。

動物や細胞培養の実験において、バゼドキシフェンはエストロゲン依存性の乳癌細胞の増殖を抑制し、また、エストロゲン依存性の乳癌を抑制し治療するために、広く使われている2つの薬剤である、抗エストロゲン剤タモキシフェンまたはアロマターゼ阻害薬に抵抗性を示す乳癌細胞の増殖を抑制した。現状では、これらの治療に抵抗性を示した場合には、その患者は通常、重大な副作用を示す毒性の強い化学療法で治療される。

バゼドキシフェンはタモキシフェンと同じように錠剤であり、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERMs)として知られている。これらの薬剤はいくつかの組織においてはエストロゲンのような活性を示し、別の組織においてはエストロゲンの作用を抑制する。しかしタモキシフェンと違って、バゼドキシフェンは新しい種類の薬剤としての特徴をいくつか持っており、選択的エストロゲン受容体分解剤(SERDs)として知られており、エストロゲン受容体を破壊する作用を持つ可能性がある。

「バゼドキシフェンは標的であるエストロゲン受容体を分解し、除去するため、癌細胞は抵抗性を示すことができません。」とMcDonnell博士の研究室の専門研究者である、筆頭著者のSuzanne Wardell博士は述べた。

多くの研究者は一度乳癌細胞がタモキシフェンに抵抗性を示した場合、エストロゲン受容体を標的としたすべての薬剤に抵抗性を示すものと考える、とMcDonnell氏は説明している。

「私たちはタモキシフェン抵抗性が起きた後でも、エストロゲン受容体はまだ対象となる標的であることを見出しました」と彼は語った。

研究者はさまざまなタイプの乳癌細胞で実験を行い、その中には、腫瘍内に突然変異種HER2遺伝子が陽性である、進行乳癌患者に使われる他の分子標的薬ラパチニブに抵抗性を示し、タモキシフェンには感受性を示す細胞も含まれていた。これらの細胞は今まで、薬剤抵抗性のために再びエストロゲン信号に反応してしまうことが知られていた。このタイプの細胞においても、バゼドキシフェンは強く細胞の増殖を抑制した。

逆説的ではあるが、骨組織において、バゼドキシフェンはエストロゲン様の作用を示して、骨を破壊から守っている。バゼドキシフェンは骨粗鬆症治療薬として安全性および有効性の試験が既に実施されているので、極めて近い将来、腫瘍が他の治療に抵抗性を示している進行性乳癌患者の、治療方法の選択肢となる可能性がある、とWardell氏は報告している。臨床試験において、バゼドキシフェン治療群で一番発生頻度の高い副作用はホット・フラッシュ(ほてり)であった。

本研究は、バゼドキシフェンを製造するファイザー製薬の研究助成による資金提供を受けた。

また、デューク大学医学部、薬理学・腫瘍生物学部門の Wardell氏、McDonnell氏、 Erik Nelson氏、およびChristina Chao氏 が本研究遂行に参加した。

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古屋千恵 訳
辻村信一 (獣医学/農学博士、メディカルライター)監修
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原文

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