イブルチニブはマントル細胞リンパ腫に対して著しく有望な結果を引き続き示す/MDアンダーソンがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

イブルチニブはマントル細胞リンパ腫に対して著しく有望な結果を引き続き示す/MDアンダーソンがんセンター

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イブルチニブはマントル細胞リンパ腫に対して著しく有望な結果を引き続き示す/MDアンダーソンがんセンター

第2相臨床試験の最新結果から、高い奏効率と寛解率が確認される

MDアンダーソン・ニュースリリース

2013年6月19日

テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らが主導した主要国際共同臨床試験で、分子標的薬イブルチニブ[ibrutinib]は、再発または難治性マントル細胞リンパ腫(MCL)の治療薬として、著しく有望であることが引き続き示された。

医療機関18施設で実施された第2相臨床試験の最新の中間報告は本日、New England Journal of Medicine誌上に発表された。前回の中間報告は2012年12月、第54回米国血液学会年次総会で発表された。

先例のない結果、少ない副作用

「B細胞受容体のシグナル伝達経路内ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)に対するこの経口阻害剤はMCLの治療において、これまでで最も重要な突破口になります」とMichael Wang医師(MDアンダーソンがんセンターリンパ腫・骨髄腫部門兼細胞移植・細胞治療部門准教授)は述べた。Wang氏は、本臨床試験の筆頭著者である。

「イブルチニブは1日1回服用の経口薬剤で、その副作用は重くありません。現時点で、従来の併用化学療法によるアプローチ以上のものを達成することができます。今回の結果が、担当の患者や全世界の患者にとって朗報になります」。
多数の前治療歴がある再発または難治性MCL患者における経口イブルチニブ投与に関する本臨床試験は現在継続中だが、奏効率は70%にまで上昇し続けていた。奏効率は、この治療困難な疾患で臨床試験の対象になったことがある他のどの単剤療法よりも高く、他の治療法よりも副作用が少ない。

危険な疾患に対する分子標的薬

MCLは稀で悪性度の高いB細胞亜型の非ホジキンリンパ腫であり、白血病リンパ腫協会によると、非ホジキンリンパ腫の6%を占める。初期の高毒性の併用型化学療法には高い奏効率を示すが、患者は再発することが多い。

B細胞受容体のシグナル伝達経路はB細胞リンパ腫で極めて重要で、BTKはこの経路に不可欠な酵素である。イブルチニブはBTKを標的とすることで、癌化B細胞の細胞死を引き起こし、その遊走や接着を抑制する。

参加者は本臨床試験で、MCLの進行または耐え難い副作用の発現まで、連続28日サイクルでイブルチニブ560 mgの投与を毎日受けた。現在まで、111人が本臨床試験に参加している。その77%は病期4で、前治療歴中央値は3であった。

結果は継続中だが、有望であることが引き続き示されている

イブルチニブはこの6カ月で、著しく有望であることが示されている。追跡調査期間中央値15カ月で、
• 全奏効率は68%であった。
• 完全奏効率は21%であった。
• 部分奏効率は47%であった。
奏効率と完全寛解率は、治療期間の延長と共に増加した。
奏効した患者75人で、
• 奏効持続期間中央値は18カ月であった。
• 奏効までの期間の中央値は2カ月であった。
• 無増悪生存期間中央値は14カ月であった。
ほとんどの副作用は軽度だが、下痢、倦怠感、上気道感染症、悪心および発疹が認められた。グレード3以上の副作用は、白血球数減少、貧血、および下痢であった。

次の段階

初回治療としての、ならびに、他の分子標的薬や従来の抗癌剤と併用する、イブルチニブに関する研究がさらに求められるとWang氏は考えている。
「イブルチニブは、私たちが所有するMCLに対する最も安全な治療選択肢ですが、先例のない持続的な単剤活性を示します」とWang氏は述べた。「有益な毒性プロファイルから、イブルチニブが低強度で効果が高い治療法を用いる機会を提供することも示されています。長期にわたるイブルチニブの影響を調べるためには、さらなる臨床試験が当然求められます」。

イブルチニブを開発したファーマサイクリック株式会社は、本臨床試験に出資した。

MDアンダーソンがんセンターのWang氏の共著者は以下のとおり:Jorge E. Romaguera, M.D., Liang Zhang, M.D., Ph.D., Kate Newberry, Ph.D., and Zhishuo Ou, M.D., Department of Lymphoma and Myeloma; Lei Li, Ph.D., Department of Experimental Radiation Oncology; and Bingliang Fang, Ph.D., Department of Thoracic and Cardiovascular Surgery.

本臨床試験チームの他の研究者は以下のとおり:Simon Rule, M.D., Derriford Hospital, Plymouth, United Kingdom; Peter Martin, M.D., Weill Cornell Medical College, New York, New York; Andre Goy, M.D., John Theurer Cancer Center at Hackensack University Medical Center, Hackensack, NJ; Rebecca Auer, M.D., Ph.D., Barts Health NHS Trust, London, United Kingdom; Brad S. Kahl, M.D., University of Wisconsin, Madison; Wojciech Jurczak, M.D., Ph.D., Jagiellonian University, Krakow, Poland; Ranjana Advani, M.D., Stanford University Medical Center, Stanford, California; Michael E. Williams M.D., University of Virginia School of Medicine, Charlottesville, Virginia; Jacqueline Barrientos, M.D., Department of Medicine, Hofstra North Shore-LIJ, New Hyde Park, New York; Ewa Chmielowska, M.D., Oddzial Kliniczny Onkologii Centrum Onkologii, Bydgoszcz, Poland; John Radford, M.D., The Christie NHS Foundation Trust and the University of Manchester, Manchester, United Kingdom; Stephan Stilgenbauer, M.D., Universitatsklinikum Ulm, Klinik fur Innere Medizin II, Ulm, Germany; Martin Dreyling, M.D., Klinikum der Universitat Munchen – Campus Grosshadern, Munich, Germany; Wieslaw Wiktor Jedrzejczak, M.D., Medical University of Warsaw, Poland; Peter Johnson, M.D., Cancer Research UK Centre, University of Southampton, United Kingdom; Stephen E. Spurgeon, M.D., Oregon Health and Science University, Portland, Oregon; Nancy Cheng, M.S., Baylor College of Medicine, Houston, Texas; Jesse McGreivy, M.D., Fong Clow, Sc.D., Joseph Buggy, Ph.D., Betty Chang, Ph.D., Darrin Beaupre, M.D., Ph.D. and Lori A. Kunkel, M.D., Pharmacyclics, Inc., Sunnyvale, CA; and Kristie Blum, M.D., Ohio State University Comprehensive Cancer Center, Columbus, Ohio.

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渡邊 岳 訳
林 正樹 (血液・腫瘍内科/社会医療法人敬愛会中頭病院) 監修
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原文


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