ベバシズマブが奏効する膠芽腫患者を同定する新しい検査/MDアンダーソンがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

ベバシズマブが奏効する膠芽腫患者を同定する新しい検査/MDアンダーソンがんセンター

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ベバシズマブが奏効する膠芽腫患者を同定する新しい検査/MDアンダーソンがんセンター

悪性脳腫瘍の個別化医療に遺伝子パネルが役立つ可能性

MDアンダーソン・ニュースリリース

2013年6月2日

ベバシズマブ(アバスチン®)が奏効しやすい初発膠芽腫患者の同定に役立つ新検査を、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターが発表した。

この研究結果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会で今日発表されたものである。

この研究はRTOG0825試験の一部である。RTOG0825試験とは、初発膠芽腫患者の治療において、標準の放射線化学療法とテモゾロミド維持療法にベバシズマブを追加し、評価を行った第3相大規模多施設試験である。患者の半数にベバシズマブ、残りの半数にはプラセボを投与した。

膠芽腫は、脳腫瘍の中でも最も頻度、悪性度が高い。わずかな治療効果はみられるが、再発のリスクが高く一般的に致死的となる。

MDアンダーソンがんセンター放射線腫瘍学部門准教授でこの研究の主著者であるErik Sulman医学博士は、「一般的に膠芽腫は不均一で、全ての患者に奏功する薬剤は見つかっていません。ベバシズマブが最も奏効すると思われる患者を同定し、どの患者がこの薬剤の有力候補となるかを予測する、診断ツールの開発に役立てたかったのです」という。

間葉系遺伝子発現でベバシズマブへの反応が予測できるか

ベバシズマブは、血管内皮細胞増殖因子というタンパク質に結合するモノクローナル抗体である。抗血管新生薬の一種で、腫瘍の発達に必要な新生血管の成長を阻害する。

従来の研究において、ベバシズマブにより再発膠芽腫の患者に無増悪生存期間の延長と症状の軽減がいくらかみられることがわかっていた。

この研究の目的は、ある特定の遺伝子発現特性によりベバシズマブの反応を予測できるかを調査することであった。

間葉系遺伝子発現と転帰不良の相関性

RTOG0825試験の一環として、無作為に抽出した637人の患者から組織を採取し、分子解析を行った。包括研究ではまた、遺伝子増加の度合いを測定し、分子の層別を行った。これらの遺伝子は癌細胞浸潤や新血管形成に機能することで知られ、ベバシズマブはこうした機能を阻害する。

ベバシズマブ投与の患者では、間葉系の特性が低いと生存率が良好であるという関連性がみられた。

この関連性と続いて行われた計43遺伝子の検査に基づき、研究者らはベバシズマブ群の転帰を予測する遺伝子発現による検査を新たにモデル化した。

Sulman医学博士は、「この予測検査で重要なことは、この検査はほとんどの臨床病理実験室に保管されている、ごく標準的な腫瘍で行えるということです」、「新鮮組織は必要ないのです」と述べている。

次の段階として

現在もこのグループによる研究は進行中で、初発膠芽腫患者がベバシズマブを利用する際、この遺伝子特性がどの程度予測マーカーとなりうるか実証を試みている。

「今後はこれらの研究結果を実証するため、試験でまだ使われていない患者のデータを利用していきます」。「この検査が実証され、ベバシズマブで初期治療を行う患者を選択する診断ツールとなればいいと思っています。また私たちは、膠芽腫以外でのベバシズマブによる治療や臨床試験にもこの検査が役に立つか、目を向けていくつもりです」とSulman医学博士はいう。

本研究は、米国国立癌研究所(NCI)よりRadiation Therapy Oncology Group(RTOG:米国腫瘍放射線治療グループ)助成金U10 CA21661、Clinical Oncology Program (CCOP:地域臨床癌研究計画)助成金U10 CA37422、およびBrain SPORE (特定優良研究プログラム)P50 CA127001の支援を受けた。またGenentech社の支援を受けた。

情報の開示:Sulman医学博士はMerck社より謝礼金を受け取った。

本試験の共著者は下記のとおり。
Mark Gilbert, M.D., Paul Brown, M.D., Ritsuko Komaki, M.D. and Kenneth Aldape, M.D. Other authors include: Minhee Won, MA and James Dignam, Ph.D., Radiation Therapy Oncology Group; Deborah Blumenthal, M.D., Tel Aviv Sourasky Medical Center; Michael Vogelbaum, M.D., Ph.D., Cleveland Clinic; Howard Colman, M.D., Ph.D., Huntsman Cancer Institute; Robert Jenkins, M.D., Ph.D. and Kurt Jaeckle, M.D., Mayo Clinic; Arnab Chakravarti M.D., Ohio State University; Robert Jeraj, Ph.D., University of Wisconsin Madison; David Schiff, M.D., University of Virginia; James Atkins, M.D., Southeast Cancer Control Consortium; David Brachman, M.D., Arizona Oncology Services; Maria Werner-Wasik, M.D, Thomas Jefferson University Hospital; and Minesh Mehta, M.D., University of Maryland Medical Center.

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平沢沙枝 訳
林 正樹 (血液・腫瘍内科/社会医療法人敬愛会中頭病院) 監修
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原文


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