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高悪性度大腸癌のバイオマーカーとしてMETタンパク質の発現レベルが有望/MDアンダーソンがんセンター

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高悪性度大腸癌のバイオマーカーとしてMETタンパク質の発現レベルが有望/MDアンダーソンがんセンター

タンパク質の表現型との相関により、患者に合わせた癌治療に一歩近づけると研究者

MDアンダーソンがんセンター・ニュースリリース
2013年6月4日

Scott Kopetz, M.D., Ph.D.

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの最新研究によれば、METタンパクの発現レベルは上皮間葉転換(EMT)の表現型である難治性大腸癌と強い相関があり、これを新たなバイオマーカーとして使用できるかもしれない。

この研究結果はMETタンパクの発現とEMTマーカーのタンパク質および遺伝子の発現を比較し、生存率への影響を評価したものであり、米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会にて本日発表された。

「大腸表面の上皮細胞が癌化する際、その一部で転移を可能にする特性が獲得され癌がより悪性化します」と、MDアンダーソンがんセンター癌医学教室の研究員であるKanwal Pratap Singh Raghav医学博士は述べている。「EMTは主要な分子サブタイプであるにもかかわらず、臨床使用に適したバイオマーカーは未だ発見されていません。本研究はこの種の大腸癌の治療に関してより多くを知るための重要な一歩です」。

より広い見地から言えば、今回の研究は患者に合わせた癌診断・癌治療への手掛かりを与えてくれる。

「大腸癌には多数の種類があることがわかっていますが、それら個別の癌の理解については思うように進んでいません」と、MDアンダーソンがんセンター消化器腫瘍内科の准教授であり、本研究の筆頭著者であるScott Kopetz医学博士は語る。「われわれの研究のより大きな目標のひとつは、癌の種類を特定するために地域の医師が使用できるような単純なバイオマーカーを分類することです。洗練された遺伝子表現型を、治療の指針として使用できる単一のマーカーと単純な検査に凝縮したいと思っています」。

データ分析が相関を明らかにする

研究者らは、癌ゲノムアトラスのデータを使用し、未治療の原発性大腸癌の標本139個について探索的データ解析を行った。癌ゲノムアトラスとは米国国立癌研究所と米国内の他の機関とが共同で行う、癌の分子的根拠の理解を深めるための取り組みである。タンパク質発現と遺伝子発現は、それぞれ逆相タンパク質アレイ(RPPA)とRNAシーケンサーを用いて計測された。

データは以下の手法で検証された。
・METタンパクの発現とEMTのタンパク質発現・遺伝子発現の関連を調査するためにマンホイットニーU検定およびスピアマン順位相関係数による分析を行った。
・全生存率の調査には、回帰木およびカプラン・マイヤー推定値を使用した。
・この分析の結果、高いMET発現は直腸よりも結腸の腫瘍でより多く見られた。

また、METの過剰発現は以下と相関があった。
・全生存率の低下
・28個のEMTマーカーの高遺伝子発現
・論文発表されている3つのEMT遺伝子サインにおける高い遺伝子スコア
・研究者らは、METのタンパク質発現とMETの遺伝子発現との相関がないことを発見した。

今後について

将来的には、研究グループは今回のアプローチを他の種類の大腸癌にも適用することを予定しており、他にも単純ですぐ手に入るバイオマーカーを発見することを目指している。
「大腸癌治療の究極的な成功のためには、大腸癌の分子的分類を解明することが必要です」とKopetz博士は言う。「挙動が似た癌を特定し、グループ化することができれば、われわれは各グループの弱点とそれに対する最適治療の発見に近づくでしょう」。

本研究は米国国立癌研究所(NCI)の助成金CA136980、CA172670およびHogan Foundationの資金援助を受けて行われた。Kopetz 博士、Raghav博士とこれらの団体との間に経済的な利害関係はない。

今回のMDアンダーソンがんセンターでの研究における他の研究者は、下記の通りである。
Hesham Amin, M.D.、Wenting Wang, Ph.D.、Ganiraju Manyam, Ph.D.、Bradley Broom, Ph.D.、Cathy Eng, M.D.、Michael Overman, M.D.

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寺澤多恵 訳
野長瀬祥兼 (腫瘍内科/近畿大学付属病院) 監修
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