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ベバシズマブ投与を受けた膠芽腫患者で認知機能や生活の質が低下したとの報告/MDアンダーソンがんセンター

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ベバシズマブ投与を受けた膠芽腫患者で認知機能や生活の質が低下したとの報告/MDアンダーソンがんセンター

ベバシズマブ投与を受けた膠芽腫患者は認知機能や生活の質が低下したとの報告

MDアンダーソン・ニュースリリース

2013年6月1日

テキサス州立大学MDアンダーソン・がんセンターの新たな研究によれば、ベバシズマブ(アバスチン)投与を受けた膠芽腫患者の多くに、神経認知機能、症状および生活の質の有意の低下が見られる。それだけでなく、この変化はしばしば治療効果を予測する。

大規模国内多施設共同第3相臨床試験RTOG 0825の成果が今日、米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表された。

膠芽腫は最も頻度の高い悪性の脳腫瘍である。わずかな大きさにも関わらず、腫瘍は高い再発リスクを示し、一般に致死的である。

これまでの研究から、血管内皮増殖因子に対するモノクローナル抗体であるベバシズマブは、 再発膠芽腫患者の無増悪生存期間(PFS)を延長させることが分かっていた。

RTOG 0825は脳腫瘍治療の臨床効果を検証する臨床試験としては最も大規模のもののひとつであり、新たに診断された膠芽腫患者で、標準的な化学放射線治療とテモゾロマイド維持療法に追加してベバシズマブを投与された患者を、プラセボと標準治療を受けた患者と比較検討した。

試験による治療効果の評価

認知機能の客観的検査と症状や生活の質の主観的判定によって、507人の患者を、診断時および腫瘍が進行するまでの間、間隔をおいて評価した。

「ほとんどの研究は、PFSのように全生存期間や、X線写真の結果を含むPFSなど、古典的エンドポイントに依存しており、疾患や治療が患者に与える影響について注意が向けられることはほとんどありませんでした」、とMDアンダーソン神経腫瘍学部門の准教授であり、この試験の統括著者であるJeffrey Wefel博士は述べた。「このことが潜在的な臨床効果の確認を難しくしているのです」。

神経認知の変化

試験開始時には、両群の患者の神経認知機能は、健康な集団の標準よりも低かった。長期的な解析から、プラセボ投与の患者に比べ、ベバシズマブ投与の患者では全般的な神経認知機能、実行機能(計画したり、整理したり、複数の仕事をこなすといった、仕事のスキル)および処理速度が著しく低下していることがわかった。

加えて、全般的な神経認知機能、記憶、実行能や処理速度のベースラインでの能力や早期変化(10週まで)から、生存期間が予測された。

「予後に関連した患者のバイオマーカーを調べることには、比較的注意が向けられていませんでした」、とWefel氏は述べた。「われわれは患者の認知機能が、無増悪生存期間や全生存期間(OS)に関連するバイオマーカーであるかどうかを判断しようとしました。そして認知機能がベースラインでより低い患者や、化学放射線療法と併用してベバシズマブを投与あるいは投与しなかった後に認知機能が低下した患者では、PFSやOSが短くなるリスクが高いことを見出しました」。

生活の質と副作用

ベバシズマブ投与患者では、症状や生活の質が、特に22週と34週で著しく悪化した。特に治療を含む症状の負荷や、全身性および情動性症状はより大きく、治療関連症状については持続的な違いが見られた。加えて、全般的な症状、腫瘍関連症状および治療関連症状も、日常活動を妨げる症状もまた、治療過程中、ベバシズマブ群で悪化していた。

症状や生活の質のベースラインおよび早期変化率からも、神経認知機能と同様に、生存期間が予測された。

「われわれの研究の着想は、この治療がどのように腫瘍に効くかだけでなく、患者にどのような影響を与え、彼らの生活にどう作用するか、といった全体像を組み立てることでした」、とMDアンダーソン神経腫瘍学部門の准教授であり、テキサス大学ヒューストン校Health Science Center(UTHealth)看護学校の教授であるTerri Armstrong博士は述べた。「われわれはこの治療が患者の生活を改善することを望んでいましたが、実際はそうではなかったのです。多くの患者で腫瘍関連症状および治療関連症状の両方が悪化し、時間とともに悪くなり続けたのです」。

次の段階

「われわれはこの臨床試験のデータの解析を続けることで、特定の治療アプローチが生存期間、認知、症状や生活の質に、正味で良好な臨床効果をもたらすような患者サブセットを特定しようとしています」、とWefel氏は述べた。

この試験の援助源には米国腫瘍放射線治療グループ(RTOG)基金U10 CA21661およびU10 CA37422やジェネンテック社がある。

開示:Wefel氏はジェネンテック社の諮問機関の委員を務めており、ロッシュ社の顧問である。Armstrong氏もまたジェネンテック社の諮問機関の委員を務めている。
Wefel氏およびArmstrong氏に加え、MDアンダーソンのその他のこの試験の著者は以下の通りである。
Mark Gilbert, M.D. and Ritsuko Komaki, M.D. Other authors include: Stephanie Pugh, Ph.D. and Minhee Won, MA Radiation Therapy Oncology Group; Merideth Wendland, M.D., Willamette Valley Cancer Institute; David Brachman, M.D., Arizona Oncology Services; Ian Crocker, M.D., Emory University; H. Ian Robins, M.D., Ph.D., University Wisconsin Madison; R. Jeffrey Lee, M.D., Intermountain Medical Center; and Minesh Mehta, M.D., University of Maryland Medical Center.

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井上陽子 訳
西川 亮 (脳・脊髄腫瘍/埼玉医科大学国際医療センター) 監修
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*監修者注釈*
この記事で紹介されているRTOG0825試験とほぼ同様のデザインの、やはり膠芽腫初期治療にアバスチンを用いる第III相試験がRocheによっても行われ、既に昨年秋の米国神経腫瘍学会でアバスチン群のPFSが有意に延長しているという第一報が発表されていた。今年のASCOではこのAVAglio試験では、OSの延長効果が無いことが発表され、RTOG0825試験とAVAglio試験の生存データは極めて類似のものであった。ところが、QoLにおいて、AVAglio試験ではアバスチン群でQoLが長期間良好に維持されることが発表されたが、RTOG0825ではむしろアバスチン群のQoLと認知機能が偽薬群と比べて悪いことが発表され、論争となりつつある。


原文


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