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MDAの研究で、ベバシズマブは新規膠芽腫患者に利益をもたらさなかった/MDアンダーソンがんセンター

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MDAの研究で、ベバシズマブは新規膠芽腫患者に利益をもたらさなかった/MDアンダーソンがんセンター

MDAの研究で、ベバシズマブは新規膠芽腫患者に利益をもたらさなかった

MDアンダーソン・ニュースリリース 2013年6月2日

テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らが主導した臨床試験で、血管新生阻害剤ベバシズマブ(アバスチン)は、新規膠芽腫患者の全生存期間(OS)や無増悪生存期間 (PFS)を統計学的有意に延長しなかったことが示された。

本臨床試験は本日、米国臨床腫瘍学会2013年次総会(ASCO2013)内のプレナリーセッションで、Mark Gilbert医師(MDアンダーソンがんセンター神経腫瘍学部門教授)が発表した。

膠芽腫は、最も頻度が高く、最も致死的な悪性脳腫瘍である。Gilbert氏によると、2013年に12,000人以上が膠芽腫と診断され、その平均生存期間は18カ月未満である。

ベバシズマブは、膠芽腫が産生し、血管新生を促す物質であるVEGF-Aに対するモノクローナル抗体である。この血管新生阻害剤は、承認済の例外的使用に基づいて膠芽腫を治療し有効であったという結果から、最初は膠芽腫に対して有望視された。Gilbert氏によると、多くの医療施設主導の研究から同様の結果が示された:奏効率(腫瘍が50%以上縮小した割合)は35%~40%、6カ月無増悪生存率は30%台半ばであった。2009年5月、FDAはこれらの結果を考慮して、再発治療におけるベバシズマブの迅速登録を承認した。

しかし、本臨床試験の実施前では、膠芽腫に対するベバシズマブの二重盲検ランダム化比較試験は実施されなかった。

「明らかに、膠芽腫は有効な治療法がほとんどない癌です」とGilbert氏(癌研究におけるBlanche Bender教授でもある)は述べた。「私たちが本臨床試験に着手したとき、脳腫瘍の分野に関わっている人々は、研究者であれ患者であれ、高揚しました。ベバシズマブは最近、二次(疾患再発)治療薬として承認されました。一方で、臨床医の中には、ベバシズマブの初回使用を裏づけるデータがほとんどないにもかかわらず、初回治療ですでに投与している人がいることを私たちは知りました。私たちが今回の臨床試験を実施したことは、患者のケアや規制の観点から見て、重要です」。

この第3相国際共同臨床試験(RTOG 0825)は、RTOG(放射線治療腫瘍学グループ)、NCCTG(北部中部がん治療グループ)、およびECOG(東部共同腫瘍学グループ)の協同団体3団体が共同で実施した。

二重盲検ランダム化比較試験には、新規膠芽腫患者978人が登録し、637人が実際に試験治療を受けた。参加者は、腫瘍の一部あるいは大部分を切除する手術を受け、次にテモゾロミドを用いた化学放射線療法の標準的治療を受け、そして、ベバシズマブ投与あるいはプラセボ投与に無作為に割り付けられた。本臨床試験は、2つの主要エンドポイントであるPFSとOSを念頭に置いて計画された。

本臨床試験デザインにおける2つの特徴的な要因には、プラセボ投与患者が再発した場合におけるベバシズマブに対するクロスオーバー、ならびに、症状負荷、高次脳認知機能、および生活の質(QOL)の経時的評価が含まれる。

「私たちはこのクロスオーバーを認めることによって、ベバシズマブは後期投与がよいのか、早期投与が良いのかを判別することができるOSとPFSを確定することができました」とGilbert氏は述べた。「また、膠芽腫の進行を遅らせるという他の利点もあります。進行を遅らせるこの可能性を説明するには、このPFSの可能性において、生存期間の質に関する問題を理解することが重要です」。

3番目の特徴:本臨床試験は、すでに特定済の分子マーカーである、9つの遺伝子の特徴的な発現とMGMT(O6-メチルグアニン‐DNA メチルトランスフェラーゼ)のメチル化による影響の解析によって、ベバシズマブによる利益を得た患者の特定を目的として計画された。

ベバシズマブ投与患者(15.7カ月)とプラセボ投与患者(16.1カ月)ではOSに差が見いだされなかった。また、プラセボ投与患者(7.3カ月)と比較して、ベバシズマブ投与患者のPFSは長かった(10.7カ月)が、このPFSは事前設定された統計学的有意値に達していなかった。

ベバシズマブにより、高血圧、出血、深部静脈血栓症、肺塞栓症、および胃腸穿孔などの副作用がより高頻度で発生した。また、プラセボ投与患者と比較して、ベバシズマブ投与患者では、症状負荷と高次脳認知機能低下が高頻度で発生し、また、QOLが低下した。

またGilbert氏によると、分子マーカーを調べたところ、ベバシズマブによる利益を得た患者を特定することはできなかった。

不本意な結果となったが、本臨床試験が、ベバシズマブは膠芽腫の治療には用いられないことを示唆するわけではないと、Gilbert氏は強調した。

「最終的には、ベバシズマブは、早期投与であれ後期投与であれ同様の利益があり、かつ、初回投与による副作用リスク増加を考慮すれば、その投与は大部分の患者に対して後期投与として保留されるべきであることが、私たちの研究から示されました」とGilbert氏は述べた。

QOL、症状負荷、および分子マーカーが詳しく述べられる付随研究などは本会議で、MDアンダーソンがんセンターの研究者らにより、発表される予定である。

Gilbert氏と共に、本臨床試験を実施した研究者は以下の通り: Kenneth D. Adalpe, M.D., Paul D. Brown, M.D., Ritsuko Komaki, M.D., Eric Sulman, M.D. Ph.D., and Jeffrey Wefel, Ph.D., all of MD Anderson; James Dignam, Ph.D., and Minhee Won, both of RTOG; Minesh Mehta, M.D., University of Maryland Medical Center; Deborah T. Blumenthal, M.D., Tel Aviv Sourasky Medical Center; Michael A. Vogelbaum, M.D., Ph.D., Cleveland Clinic Foundation; Howard Colman, M.D., Ph.D., Huntsman Cancer Institute; Arnab Chakravarti, M.D., Arthur James Cancer Center; Robert Jeraj, Ph.D., University of Wisconsin; Terri S. Armstrong, Ph.D., University of Texas Health Science Center School of Nursing; Kurt Jaeckle, M.D., Mayo Clinic Florida; David Schiff, M.D., University of Virginia Medical Center; James Atkins, M.D., National Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project and SCCC-CCOP; David Brachman, M.D., Arizona Oncology Services Foundation; and Maria Werner-Wasik, M.D., Thomas Jefferson University Hospital.

Gilbert氏はロシュ社の諮問委員会会員である。ジェネンテック社は0825臨床試験の財政支援を行なった。0825臨床試験はNCIのU10CA 21661とU10 CA37422による支援も受けた。

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渡邊 岳 訳
西川 亮 (脳・脊髄腫瘍/埼玉医科大学国際医療センター) 監修
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※監修者注:この記事で紹介されているRTOG0825試験とほぼ同様のデザインの、やはり膠芽腫初期治療にアバスチンを用いる第III相試験がRocheによっても行われ、既に昨年秋の米国神経腫瘍学会でアバスチン群のPFSが有意に延長しているという第一報が発表されていた。今年のASCOではこのAVAglio試験では、OSの延長効果が無いことが発表され、RTOG0825試験とAVAglio試験の生存データは極めて類似のものであった。ところが、QoLにおいて、AVAglio試験ではアバスチン群でQoLが長期間良好に維持されることが発表されたが、RTOG0825ではむしろアバスチン群のQoLと認知機能が偽薬群と比べて悪いことが発表され、論争となりつつある。


原文


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