新勧告後も40代女性のマンモグラフィ検診受診率は低下せず/ジョンズホプキンス大学 | 海外がん医療情報リファレンス

新勧告後も40代女性のマンモグラフィ検診受診率は低下せず/ジョンズホプキンス大学

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新勧告後も40代女性のマンモグラフィ検診受診率は低下せず/ジョンズホプキンス大学

公開日:2013年5月15日

毎年の検診が保険適応であることも受診率が低下しない理由か

米国の新ガイドラインでは40代女性は(定期的に受けるべきとされている50~74歳とは異なり)乳癌検診をルーチンとしては受けないよう勧告しているにもかかわらず、依然として40代女性が乳癌検診を定期的に受け続けていることがジョンズホプキンス大学の新たな研究で明らかになった。

2009年、米国予防医療専門委員会(USPSTF)は科学的証拠を改めて精査し、これまで推奨していた内容を変更し、50〜74歳の女性は従来どおりマンモグラフィ検診を2年に1回受診すべきであるが、血縁者に乳癌患者がいない40〜49歳の女性はマンモグラフィ検診の利点と危険性について主治医と話し合ったうえで個々に受診するかどうか判断すべきであるとした。

ジョンズホプキンス大学総合内科学教室の臨床研究医であるLauren D. Block医師・公衆衛生学修士とその同僚らは、このガイドラインの変更に伴ってマンモグラフィ検診を受診する40代女性の数が減少すると予測した。しかし、40代女性のマンモグラフィ受診率に変化は認められなかった。

「40代女性では検診の偽陽性率が高く不要な過剰検査(画像診断および生検)の実施につながるおそれがあるという科学的証拠があるにもかかわらず、患者さん・・・そしておそらく検査を実施する側も、検診の中止には消極的のようです」とJournal of General Internal Medicine誌の電子版に掲載された研究のリーダーであるBlock氏は語る。「女性達は『マンモグラフィが生命を救う』というメッセージを何度も聞かされてきたため、どうしてもマンモグラフィ検診を受けたいと思っているのです」。

この研究では、マンモグラフィが若齢女性に与える影響は正負両方であることが示された。マンモグラフィ検診は若齢女性における乳癌検出率を高めるが、死亡率への影響はごく僅かしかない。この研究によると、むしろ過剰診断や不要な治療(生検、腫瘍・乳房摘出術、何週間にもわたる放射線治療や危険性のある薬剤の投与など)につながる可能性がある。検診結果が偽陽性であった場合、不要な治療の実施や心理的外傷を与える原因となる。検診で発見される癌の悪性度は非常に低い場合が多いにもかかわらず、積極的に治療されてしまう。

他の多くの癌と同様に乳癌も加齢性疾患であり、加齢に伴って発症リスクが高まるため、高齢女性はマンモグラフィ検診を受診することが推奨される。

USPSTFガイドラインの修正原案では40代女性の検診に伴うリスクが強調されていたが、政治団体やアドボカシー団体の反発を受け、患者と主治医間で相談して個々に判断すること、という表現で妥協する形になった。米国がん協会は、依然として40歳からマンモグラフィ検診を毎年受診するよう推奨している。

さらに、保険会社がこれまでどおり40代女性のマンモグラフィ検診費用を支払っていることも検診の受診率が低下しない理由であるとBlock氏は述べる。

Block氏とその同僚らは2006、2008および2010年に全米で州保健局が実施したBehavioral Risk Factor Surveillance Systemの調査データを用いて解析を行った。40〜74歳の女性484,296人分のデータが収集された。2006年と2008年では40代女性のマンモグラフィ受診率が53%であるのに対し、50〜74歳では65%であった。新勧告の施行後である2010年のマンモグラフィ受診率は、40代女性が52%、50〜74歳が62%であった。また、このUSPSTFの勧告では一般的な乳癌リスクを有する76歳以上の女性においても検診の有益性はないとしている。

Block氏は、自身が40代の患者とマンモグラフィ検診の是非について話す際にも、検診間隔の変更をためらう患者がいる、と話す。50歳までマンモグラフィ検診を受けなくてもよいと聞いて安心する患者もいる。その一方で、より多くの患者がこれまでどおり検診を受けることを希望している。

「女性の死因では心血管系疾患が圧倒的首位を占めているのですが、概してメディアや社会では乳癌に対する関心が非常に高いのです。誰もが自分は乳癌対策をしていると感じたいのです」とBlock氏は語る。「ある40代女性にマンモグラフィ検診で癌がみつかり、治療を受けて大変よくなったという逸話を聞いただけで周囲の他の現実が目に入らなくなるのです。検診を受けたいと思ってしまうのです」。

本研究に従事したその他のジョンズホプキンス大学研究者は以下のとおり:Marian P. Jarlenski, M.P.H.、Albert W. Wu, M.D., M.P.H.、および Wendy L. Bennett, M.D., M.P.H.

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佐々木真理 訳
斉藤博先生(検診研究/国立がん研究センター)監修
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原文

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