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治験薬セディラニブは胞巣状軟部肉腫に有効/NCIプレスリリース

  • 2013年5月27日

    投稿 2013年5月2日

    NCIプレスリリース

    稀な癌である胞巣状軟部肉腫(ASPS)の進行期にある患者に対し、治験薬であるcediranib[セディラニブ]を投与したところ、ある程度の病状コントロールが認められた。ASPSに対するこれまでで最大規模の臨床試験結果は、Journal of Clinical Oncology誌4月29日号の発行に先立ち電子版で公表された。米国国立衛生研究所の一部門である米国国立癌研究所(NCI)は、この第2相試験に資金提供を行った。

    ASPSの発生頻度は、結合および支持組織に発生する軟部肉腫全体の1%にも満たない。また患者の大多数は15~35歳である。酸素や栄養を得るために、そして肺、脳、骨への転移を促進するために、この腫瘍は新生血管の増殖に頼っている。外科的な腫瘍切除が推奨治療ではあるが、病状の広がりまたは他の状態によっては、全ての患者が手術切除対象にはならない。標準抗癌治療は、進行ASPS患者の治療に効果を示していない。切除不能の進行ASPS患者の生存期間の中央値は40カ月、また5年生存率は20%である。

    Cediranibは、血管新生を制御するVEGF(血管内皮細胞増殖因子)受容体と呼ばれるタンパク質群を阻害する薬剤である。アストラゼネカ社(デラウェア州ウィルミントン市)が開発したこの薬剤は、非小細胞肺癌、腎臓癌、大腸癌などの他の癌でも臨床試験を実施中であり、さまざまな効果が示されている。

    この試験に参加した転移を有するASPS患者43人に対し、病状の進行あるいは重篤な副作用が起きるまで、30mgのcediranibを1日1回経口投与した。これまでのところ、対象となる腫瘍のサイズが30%以上縮小した奏効率は35%である(43人中15人の患者で部分奏効が認められた)。さらに60%に当たる26人では、腫瘍サイズに変化が認められなかった。

    「肉腫の治療に用いられる標準化学療法が有効ではなかった癌で、これほど高い腫瘍縮小効果が得られることは異例なことである」と、この試験のNCI主席研究員であるShivaani Kummar医師は述べ、「全米のASPS患者を治療のためにNIH内の臨床施設に集約できたことで、この稀な腫瘍に対する新薬の迅速な試験が可能になった」と続けた。

    CediranibがどのようにしてASPSに働くのかを解明し、今後の治療選択の助けとなるかもしれない変異を特定するために、試験開始前と治療第1週に腫瘍の生検標本を採取した。これら2つの検体グループの遺伝子発現を比較したところ、治療開始後に採取した検体では、血管形成の制御に重要である2つの遺伝子、ANGPT2とFLT1の発現が低いことが判明した。

    この試験で認められた有望な結果に基づき、進行ASPS患者に対してcediranibともう1つの血管内皮細胞増殖因子受容体阻害剤であるスニチニブの有効性を比較する追跡試験を始めている。

    この研究の臨床試験識別名は、NCT00942877である。

    (CT写真の説明文)新たにASPSと診断された25歳患者のCTスキャン画像。上は試験開始時に撮影した肺の横断面の画像であり、下は治療後に撮影した著しい腫瘍縮小を示す画像である。

    原文

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    野川恵子 翻訳
    東 光久(血液癌・腫瘍内科領域担当/天理よろづ相談所病院)監修
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