[ 記事 ]

一般植物性食品にもDNA毒性を有するものがあることを癌生物学者が発見/ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンター

  • 2013年5月24日

     2013年3月28日
    燻煙液、紅茶、緑茶やコーヒーが与える細胞DNA毒性は化学療法剤のレベルと同等

    ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンターで、食品化学と癌生物学を組み合わせて研究する実験室において、研究者らは、細胞のDNAに対して有害な影響を及ぼす可能性のある食品と香料についての試験を行った。研究者らは燻煙液の香料、紅茶、緑茶、およびコーヒーが、癌に関連するp53と呼ばれる有名な遺伝子を最も高いレベルで活性化することを発見した。

    p53遺伝子はDNAが損傷を受けた際に活性化する。その遺伝子産物はDNAを修復する修復蛋白質を産生する。DNAの損傷レベルが高ければ高いほど、p53の活性化も大きくなる。

    「われわれは、自分たちが食べている食物についてあまりよく理解していませんし、また体内で細胞にどのような影響を与えているかも知りません」と、ジョンズホプキンス大学医学部、癌病理学科のKovler ProfessorであるScott Kern医師は述べる。

    「しかし、植物にはヒトや動物に食べられないようにするために、例えば茎のセルロースや、お茶やコーヒーを作るときに利用する葉や豆に含まれる苦味のタンニンのような、多くの化合物が含まれているため、それらの影響を評価する必要があると考えられます」。

    Kern医師は、この研究は、人々に紅茶、コーヒー、あるいは香料の摂取をやめなければならないと示唆しているのではなく、さらなる研究が必要であることを示唆するものであると言及した。

    ジョンズホプキンスの研究は、1年前にKern医師の研究室で働いているSamuel Gilbertという大学院生が、これまでKern医師が開発したp53活性検出試験を、食物に含まれるDNA損傷物質の特定に用いたことがなかったと気づいたことから始まった。

    この研究は2月9日号のFood and Chemical Toxicology電子版上で発表された。研究を行うにあたってKern医師とその研究チームは、米国農務省の研究者らから、食品と調味料についてのアドバイスを得るように努めた。「この研究を成功させるためには、食品化学者のように、食品から化学物質を抽出した後それを通常の食事に含まれるレベルにまで希釈することを考えなければならなかったのです」とKern医師は述べる。

    Kern医師のp53活性検出試験では、p53が活性化されると「発光する」蛍光化合物が作られる。研究者らは、食品から抽出された物質や香料の希釈液と、ヒトの細胞を混ぜて18時間シャーレで培養した。

    p53活性を測定し基準値と比較したところ、燻煙液の香料、紅茶、緑茶とコーヒーでp53の活性が30倍近く高くなることが明らかになった。この値は彼らの試験において、エトポシドと呼ばれる化学療法剤を用いた場合に生じるp53活性と同等であった。

    以前の研究で、動物モデルにおいては、燻煙液がDNA損傷を起こすことが示されていた。そのため、Kern医師のチームは、燻煙液から見つかった化学物質によってp53活性が誘導されると分析した。博士研究員のZulfiquer Hossain氏は、p53活性に関与する化学物質を見つけ出した。最も強力なp53活性が、2つの化学物質、ピロガロールと没食子酸で見つかった。

    Kern医師によると、ピロガロールは燻製食品で一般的にみられ、またタバコの煙、毛髪染料、お茶、コーヒー、パンの耳、色麦芽やココアパウダーでもみられるとのことである。ピロガロールの変異型である没食子酸は、お茶とコーヒーでみられる。

    Kern医師は、ピロガロールや没食子酸によって起こるDNA損傷の種類を調査するために、さらなる研究が必要ではあるが、しかし一方で、食品や香料からこれら2つの化学物質を取り除く方法もあるはずであると述べる。

    「われわれは、スコッチウィスキーが燻煙香料であり、燻煙液の代替となり得ること、また試験においては、p53活性への影響が最も少ないことを発見しました」とKern医師は述べる。

    自然の燻煙を蒸留濃縮して作られた燻煙液は、ソーセージ、その他の肉製品やヴィーガン向け肉代替製品にしばしば使用される。ソーセージ製造業者が自然のソーセージの皮から、燻煙を遮断する人工の皮に変更した際には評判になった。

    魚やオイスターソース、タバスコや醤油、黒豆鼓のような別の調味料や、味噌、キムチ、粉末わさび、ヒッコリー燻煙パウダーや燻製パプリカはKern医師の試験ではp53活性への影響が最も少なかった。

    本研究は米国国立衛生研究所の国立癌研究所(CA62924)と膵臓癌研究におけるEverett and Marjorie Kovler Professorshipの資金提供による。

    Kern医師、Gilbert 氏とHossain氏に加えて、研究に参加したその他の研究者は、ジョンズホプキンスのKalpesh Patel氏、Soma Ghosh氏、およびAnil Bhunia氏であった。

    ******
    湖月みき 訳
    朝井鈴佳(獣医学・免疫学)監修
    ******
    原文

    【免責事項】

    当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。
    翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

    関連記事