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試験薬が一般的な腎臓癌の全病期の進行を抑制/メイヨークリニック

  • 2013年5月24日

    2013年4月30日

    フロリダ州のメイヨークリニックキャンパスの研究者らが、検討した腎臓癌すべてのヒト検体で過剰に活性化しているタンパク質を発見

    また、そのタンパク質の活性を阻害するようにデザインした薬剤を単独で使用すると、動物の腫瘍増殖を顕著に抑制することがわかった。

    この薬剤と、すでに腎臓癌治療に用いられている他の薬剤を併用すると、両剤の有効性が高まった。

    4月30日付Clinical Cancer Research誌電子版で報告されたこの研究結果は、腎淡明細胞癌治療で非常に必要とされている新たな方向性を示すものである。腎淡明細胞癌は米国の腎臓癌の約85%を占める。

    米国では年間57000人以上が腎臓癌と診断され、13000人以上が死亡している。

    「この一般的な癌に対する新たな治療法が明らかに必要です。

    ごくわずかな例外を除いて、患者は使用可能なすべての治療に必ず耐性を持つようになります」と本研究の主任研究者で分子生物学者のJohn Copland博士は言う。

    この研究結果は他の癌の治療にも関係があるかもしれませんと本研究の主著者のChristina von Roemeling氏は述べている。

    彼らが特定したタンパク質はステアロイルCoA不飽和酵素1(SCD1)遺伝子によって生成される。SCD1は肺癌、胃癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、大腸癌など多くの他の癌でも過剰に活性化していることがわかっている。

    「この遺伝子は、多くの他の癌で高度に活性化しているため、われわれが検証した薬剤がこれらの癌においても新たな臨床への道を拓くかもしれません」とvon Roemeling氏は言う。

    試験薬A939572は、SCD1タンパク質の標的阻害剤である。

    「この試験薬は、本剤で治療した研究用マウスの癌細胞に極めて特異的であることがわかりましたが、この薬剤の癌での検証はまだ初期段階です」とCopland氏は言う。

    SCD1はある種の癌で活性化するということだけでなく、肥満や糖尿病を促進する役割についても検証されていると研究者は述べる。

    研究者はA939572をこれらの疾患の防御手段としても検証している。

    メイヨークリニックの研究者らは、腎臓癌患者から得た、癌の全病期を網羅する150の組織検体のゲノム・スクリーニングを実施し、非癌組織検体と比べて顕著に過剰発現する遺伝子を同定した。

    SCD1は最もよく発現する遺伝子の一つであった。

    その後、研究用腎臓癌細胞のSCD1を不活性化すると、腫瘍細胞の増殖が停止し、大部分が死滅することがわかった。

    次に、研究者はA939572とFDAが承認した腎臓癌治療薬のテムシロリムスを検証した。

    マウスを使った研究で、どちらか1剤だけでも最大25%腫瘍増殖を抑制したが、2剤を併用すると、より低用量で60%~70%抑制することがわかった。

    「2剤の相乗効果は極めて顕著で、患者に大きな臨床的ベネフィットがあることを示唆しています」とCopland氏は述べる。

    SCD1タンパク質の発現は、腎臓癌の新たな分子予後バイオマーカーであり、治療の指針となりうるとVon Roemeling氏は言う。

    本研究は米国国立癌研究所(R01CA104505, R01CA136665、R01CA104505-05S1)、the David & Lois Stulberg Endowed Fund for Kidney Cancer Research、Mr. and Mrs. Ompal Chauhan Kidney Cancer Research Fund、Kidney Cancer Research at Mayo Clinic(フロリダ州)、James C. and Sarah K. Kennedy Mayo Clinic Research Career Development Award for Clinicians; Scheidel Foundation、Fraternal Order of Eagles Florida State Auxiliary、a grant for rare cancers from Dr. Ellis and Dona Bruntonによる資金提供を受けた。

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    吉田加奈子 訳
    榎本 裕(泌尿器科/東京大学医学部付属病院)監修
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    原文

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