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新薬の効きやすい神経芽腫が遺伝子バイオマーカーによって同定される可能性/ダナファーバー癌研究所

  • 2013年5月24日

    2013年4月9日

    治療が困難な幼児期癌である神経芽腫の腫瘍が新規抗癌剤BETブロモドメイン阻害薬による攻撃を受けやすいかどうかを、神経芽腫細胞に多くみられる異常により判断できる可能性があることを、ダナファーバー小児病院癌センターの研究者らは4月6日~10日にワシントンD.C.で開催される2013年米国癌学会年次総会で報告する予定である。

    この発見(抄録4622)は4月9日(火)3:50~4:05(東部標準時)、ワシントン・コンベンション・センター146号室で開催されるミニシンポジウムにおいて議論される。なお、本結果は、米国癌学会の学会誌Cancer Discovery(2013年2月21日付け)に発表された。

    神経芽腫の細胞株およびマウスモデルを用いた試験において、研究者らはMYCN遺伝子のコピー(増幅)が多い腫瘍はBETブロモドメイン阻害薬に対する感受性が高いことを発見した。この発見は、増幅がある腫瘍細胞を有する神経芽腫の患者を対象とした薬の臨床試験につながる可能性がある。

    「BETブロモドメイン阻害薬は、多くの研究者達がある種の癌治療の新しい選択肢として期待している薬の種類です」とダナファーバー小児病院癌センターの研究者兼臨床医であり、本研究を発表するKimberly Stegmaier医師は述べた。「反応を示す見込みがもっとも高い患者のみを選択し、これらの薬を直接臨床応用する助けとなるバイオマーカーを特定することが挑戦でした」。

    Stegmaier氏らは、BETブロモドメイン阻害薬の試作薬により死滅する癌細胞株を特定するため、600種類以上の癌細胞株(それぞれ既知の遺伝子異常のセットを有する)をスクリーニングした。その結果、もっとも影響を受けやすい細胞は、MYCN遺伝子の増幅がある細胞であることを発見した。

    「神経芽腫は壊滅的な小児癌(幼児期にもっとも多い頭蓋外腫瘍)で、現在の治療で治る悪性の患者は少数です」とStegmaier氏は述べた。「これまでの研究で神経芽腫にMYCN増幅が多くみられていましたが、薬の標的にするのが困難でした」。

    ダナファーバーのJames Bradner医師と協力しStegmaier氏は、BETブロモドメイン阻害薬が研究室で培養された神経芽腫細胞におけるMYCNタンパク質の値を減少し、その結果、細胞増殖が損なわれ細胞が死亡することを発見した。MYCN増幅がある神経芽腫マウスを用いた試験(多くの標準療法に反応を示さなかった腫瘍モデルを含む)では、BETブロモドメイン阻害薬は抗腫瘍効果があり、生存期間を延長することが認められた。

    本研究は一部、the V Foundation for Cancer Research、a Friends for Life Fellowship、the Howard Hughes Medical Institute、the Damon Runyon Cancer Research Foundation、the Smith Family Foundation、Alex’s Lemonade Stand、米国国立衛生研究所(NIH)の支援助成金(R01CA102321、P01CA081403、K08NS079485、T32CA1510220)、およびthe Samuel Waxman Cancer Research Foundationの資金援助を受けている。また、Stegmaier氏は、Entertainment Industry FoundationのプログラムであるStand Up to Cancer Innovative Research Grant(SU2C-AACR-IRG0509)の支援を受けている。

    ダナファーバー小児病院癌センターでは、神経芽腫プログラムで神経芽腫を治療している。

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    近永 朋子 訳
    寺島 慶太(小児血液・神経腫瘍/国立成育医療研究センター腫瘍科)監修
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    原文

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