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化学療法誘発性末梢神経障害にデュロキセチンが有効/NCI臨床試験結果

  • 2013年5月15日

    第3相試験(CALGB-170601)の結果から、デュロキセチン(商標:サインバルタ)がある種の化学療法により引き起こされる有痛性末梢神経障害の治療に有効であることがわかりました。この化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)に対する効果的な治療法を示した初のランダム化試験の結果は、2013年4月3日付のJAMA誌で発表されました。

    CIPNは主に手や足で慢性的な疼痛、ピリピリ感、しびれ感を引き起こし、患者は日常的な活動能力が妨げられ、必要な量の化学療法を受けられなくなります。CIPNは、神経細胞に障害を与えるタキサン系と白金系製剤をベースとした化学療法を受けた癌患者の20~30%に発症します。CIPNは、治療中止後も数カ月間または数年間持続することがあり、また、徐々に悪化することがあります。

    ミシガン大学のEllen Lavoie Smith博士らは、過去に強い痛みを伴う末梢神経障害の報告があった25歳以上の患者231人を対象に試験を行いました。患者は、過去にパクリタキセル(タキソール)、オキサリプラチン(Eloxatin、※日本の商標:エルプラット)、ドセタキセル(タキソテール)、またはシスプラチン(Platinol、※日本の商標:ブリプラチン)による治療を受けました。

    デュロキセチンを5週間毎日服用していた患者の59%で、程度にかかわらず痛みの軽減が確認されましたが、プラセボを服用していた患者では38%でした。平均疼痛スコアは、デュロキセチン群の患者で約10%減少し、これは「臨床的に意味のある最小の変化」であると判断されました。一方、プラセボ群の患者では約3%の減少でした。この差は、他の慢性疼痛のデュロキセチン試験にみられたものと同程度でした。

    もっとも多く報告された副作用は疲労で、プラセボ服用患者よりもデュロキセチン服用患者から多く報告されました。

    研究者らは、試験には限界がある可能性を認めています。例えば、試験期間中に使用されたその他の鎮痛薬についての報告はありませんし、5週間を超えたデュロキセチン療法については調査していません。また、有害な副作用による試験脱落率は、デュロキセチン服用患者のほうが高かったのです。

    「今回の試験は、プラセボに比べ、すでに発症していた神経因性疼痛が統計学的に有意に改善したことを示した初の試験です」とNCI癌予防部門のJoanna Brell医師は述べました。さらに、「デュロキセチンは、糖尿病により引き起こされる痛みを伴う神経障害に対して、米国食品医薬品局により承認されていますが、CIPNには承認されている治療方法はありません」。デュロキセチンはうつ病の治療薬としても承認されています。

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    近永朋子 翻訳
    小宮武文(腫瘍内科/ NCI Medical Oncology Branch)監修
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