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中枢神経系(CNS)原発悪性リンパ腫に対する新たな脳腫瘍治療はより効果的で毒性が低い可能性/カリフォルニア大学サンフランシスコ校

  • 2013年5月9日

    2013年4月8日
    News Office: Jason Bardi (415) 502-6397

    研究を主導したカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の医師らによると、脳腫瘍の比較的まれな型である中枢神経系(CNS)原発悪性リンパ腫を治療する新たなプロトコールで試験する第2相臨床試験は、この疾患の標準治療を変える可能性がある。

    Journal of Clinical Oncologyの今週号では、全脳放射線治療と化学療法を併用する標準治療ではなく、高用量化学療法と免疫療法の併用を44人の患者に実施した試験について取り上げていた。

    新しい治療アプローチは、高線量では患者の脳細胞を死滅させ神経系機能の悪化を進行させてしまう全脳放射線療法を行わなかったため有意に毒性が低かった。多くの患者は、癌そのものではなく放射線の毒性による死亡も少なくない。

    多くの患者は5年近くの経過観察時でも生存が認められるため、この新たな治療は、より効果もあるようであることを研究者らは発見した。

    患者の無リンパ腫生存率は、以前の放射線照射を行う多施設全米共同グループ主導臨床試験における無リンパ腫生存率と比較して2倍であった、と今回の試験を主導したUCSFの腫瘍科医のJames Rubenstein医師は述べた。

    さらに、中枢神経系原発悪性リンパ腫のこれまでの治療とは異なり、この新たなアプローチは、若年患者に効果があったのと同様に、60歳以上の高齢患者でも効果があった。これは、この種類の脳腫瘍の発症率が、65歳以上の患者で増加していると思われることを考慮すると特に重要である。

    Rubenstein医師は、米国の最先端の研究所および臨床治療センターの一つであり、サンフランシスコのベイエリアにある唯一の総合がんセンターでもあるUCSFのHelen Diller Family総合がんセンターのメンバーである。

    また研究者らはバイオマーカーを特定したため、今回の試験はこの型の癌に対する「個別医療」のアプローチの可能性をもたらす。そのバイオマーカーは、BCL6と呼ばれる遺伝子で、腫瘍の中にどの程度の遺伝子が存在するかによって治療の転帰を予測することができる。

    規模の大きい患者集団で、この新たな治療アプローチの有効性を試験する無作為化臨床試験は、現在、UCSFと米国のその他の医療センターで登録中である。

    致命的で、徐々に進行し衰弱させる疾患

    中枢神経系原発悪性リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫の致命的で徐々に進行し衰弱させる疾患で、米国では5番目に多い癌である。

    毎年約1600人のアメリカ人が、中枢神経系原発悪性リンパ腫と診断され、疾患はしばしば脳腫瘍の別の型、もしくはアルツハイマーや多発性硬化症などのその他の神経系疾患と間違われるため、その診断は難しい。

    しかし、疾患の間違いようもない特徴の一つに不良な転帰と、多くの場合高度で徐々に衰弱していく神経系の症状がある。手術が治療の第1選択である脳腫瘍の他の型とは異なり、手術は中枢神経系原発悪性リンパ腫に対する診断を確立することだけを目的に行われる。なぜなら、腫瘍が脳内で広範囲に浸潤する傾向があるからである。

    10年以上前、Rubenstein医師がUCSFに来た時、この現実を変えたいと思った。そして、12年前、Rubenstein医師は、Lloyd Damon 医師が主導するUCSFの血液学・骨髄移植ユニットのRubenstein医師の同僚らと共に新規のプロトコールをデザインした。その新しいプロトコールは、免疫系化合物に由来する生物学的薬剤に依存する免疫療法と、化学療法の併用に基づくものであった。
    「われわれは、これらの患者に対し、標準治療と比較してより高い効果があり、毒性が低い新しい治療法を開発することに興味がありました。」と、Rubenstein医師は述べた。2005年までに、UCSFレジメンは多施設共同試験で検討されていた。

    第2相多施設共同臨床試験の結果は、そのレジメンで初期のUCSFの結果を再現するもので、長期生存がこの疾患で実現可能であることを示すものである。

    「新たに中枢神経系原発悪性リンパ腫と診断された患者を対象とする強化化学療法と免疫療法:CALGB 50202(Alliance 50202)」の記事は、James L. Rubenstein医師、Eric D. His氏、Jeffrey L. Johnson氏、Sin-Ho Jung氏、Megan O. Nakashima氏、Barbara Grant氏、Bruce D. Cheson氏、およびLawrence D. Kaplan氏が執筆した。その記事は、Journal of Clinical Oncologyの4月8日号に掲載される。

    UCSFに加えて、この試験の著者らは、クリーブランドクリニック、ノースカロライナ州のダーハムに所在するデューク大学総合がんセンター、バーモント州のバーリントンに所在するバーモント大学、ワシントンD.C.に所在するジョージタウン大学病院と提携した。

    この研究は、米国国立衛生研究所の一部である国立がん研究所により助成金#RO1CA1398301、#CA60138、#CA21115、#CA33601、#CA77406、#CA77597、CA31946および #CA33601を通じて援助された。

    UCSF医療センターは、全米でトップ10に常にランクされる病院である。革新的な治療、先端技術、医療従事者と科学者間の協調と極めて心のこもった患者治療チームで認められ、UCSF医療センターはサンフランシスコ、カリフォルニア大学の大学病院として貢献する。医療センターの国家的卓越したプログラムには、子供の健康、脳神経系、臓器移植、女性の健康と癌などがある。UCSF内で独立した事業として運営し、患者のケアを提供する運営費をまかなうだけの収益を上げている。

    このニュースリリースは、ウエッブ掲載用に編集してあります。

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    湖月みき 訳
    西川亮(脳・脊髄腫瘍/埼玉医科大学国際医療センター)監修
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    原文

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