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致死的な甲状腺癌治療に希望をもたらす試験結果/メイヨー・クリニック

  • 2013年5月9日

    2013年4月18日

    米フロリダ州ジャクソンビル――併用療法が未分化甲状腺癌の治療を前進させる有望な第1相臨床試験の結果をメイヨー・クリニック(フロリダ)の研究者らが発表した。

    未分化甲状腺癌は最も致死的な癌のひとつで、診断された患者のほとんどが、数週間から数か月でこの病により命を失う。全米で年間診断者数が約600人と非常に稀な癌であるにもかかわらず、American Thyroid Association(米国甲状腺学会)によると、甲状腺癌による死亡数の50%を未分化甲状腺癌が占めている。

    当該共同研究は、4月16日にJournal of Clinical Endocrinology and Metabolism誌オンライン版に掲載され、パクリタキセルとefatutazoneと呼ばれる実験段階にある薬剤との併用化学療法は、安全かつ患者の忍容性が良好であった、と伝えている。Efatutazoneは、大腸癌や肺癌治療の併用療法剤としても臨床試験段階にある。

    内分泌科医として甲状腺癌患者の治療にあたり、当該臨床試験の試験責任医師であるRobert Smallridge医師は、efatutazoneについて、「朗報です。なにしろ、我々が最大耐性量を決定できなかったくらいですから。つまり、それほど忍容性が高い薬、ということになります。」と述べている。

    また、同氏は、忍容性の高さに加え、その臨床的有益性もこの臨床試験(被験者15人、そのほとんどが最も進行した転移期患者)で示された、と言う。

    被験者1人に部分奏功(腫瘍サイズが30%超縮小)、7人に短期間の安定(腫瘍の増悪なし)が見られた。

    Smallridge氏は、今回得られた結果は確かなものではあるが、治療の有益性の一部を示すにすぎなかったかもしれず、efatutazoneを使用した併用療法の臨床的利点を確定するには第2相臨床試験を実施する必要がある、としている。とはいえ、「この致死的な癌の治療に何らかの希望の兆しが得られたことは心強い」と同氏は強調する。「未分化甲状腺癌患者に部分奏功を見るのは極めて稀なことです。」

    当該臨床試験でefatutazoneの投与量を2倍にしたところ(0.15 mg/日から0.3 mg/日)、無進行期間が平均で48日から68日に、生存期間が平均で98日から138日に伸びた。

    「今回の併用療法が、この致死的な疾患に対して生物学的活性を示したことに勇気づけられています。」とSmallridge氏は言う。「Efatutazoneや、efatutazone以外の新薬と併せた治療の研究を進めていくことで、今後の展望や転帰の改善に貢献できるだろうと感じています。」

    メイヨー・クリニック(フロリダ)の癌生物学者で、今回の研究の共同執筆者でもあるJohn Copland博士によると、efatutazoneはPPAR-γ活性剤で、癌細胞の増殖を停止させることができる強力な癌抑制遺伝子のスイッチをオンにする作用を持つ。PPAR-γは、多くの遺伝子の発現を促す転写因子である。Copland博士は、efatutazoneに関する初期の研究で、同剤が未分化甲状腺癌患者の不活性化している2種類の癌抑制遺伝子をPPAR-γを介して活性化させることを立証した。「抑制遺伝子を再発現させることの出来る薬剤は希少」とCopland博士は言う。

    メイヨー・クリニック(フロリダ)による癌を対象とした第1相臨床試験は過去4年間に著しく増加した。現在、同クリニックでは、癌の第1相臨床試験を21件実施しており、さらに、11件を準備中である。これらを合わせると、メイヨー・クリニック(フロリダ)の癌患者の半数以上が臨床試験に参加することになる。

    当該臨床試験(CA136665)は、米国立衛生研究所の国立癌研究所による支援を受けて実施された。Copland博士は、2004年からefatutazoneの研究に携わっている。Efatutazoneは、日本の製薬メーカー、第一三共によって開発された。第一三共は、この臨床試験の出資者でもある。この臨床試験には第一三共所属のReinhard von Roemeling医師の他、次の研究者が参加した。
    Marcia S. Brose, M.D., Ph.D., University of Pennsylvania; J. Trad Wadsworth, M.D., Eastern Virginia University; Yariv Houvras, M.D., Dana-Farber Cancer Center; Manisha H. Shah, M.D., Ohio State University; Ann W. Gramza, M.D., Oregon Health and Sciences University; Joshua P. Klopper, M.D., University of Colorado School of Medicine; Michael Menefee, M.D., Mayo Clinic in Florida; and Keith Bible, M.D., Ph.D., Mayo Clinic in Rochester.

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    村上智子 訳
    東 光久(血液癌・腫瘍内科領域担当/天理よろづ相談所病院・総合内科) 監修
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