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BRCA遺伝子変異がみられる治癒不能な癌患者に、新たな2剤併用が有効な可能性/ダナファーバー癌研究所

  • 2013年5月8日

    2013年4月7日
    タグ:基礎研究、乳癌、卵巣癌、膵癌、婦人科癌

    BRCA遺伝子に生殖細胞系列変異のある治癒不能な固形癌患者に対して、新たな2剤併用が抗癌活性を示したとして、ワシントンで4月6~10日まで開催されている米国癌学会(AACR)年次総会にて、ダナファーバー癌研究所の研究者らが報告した。

    本研究結果(アブストラクトLB-202)は、4月7日(日)東部時間14時に行われる記者会見で公表された後、4月9日(火)東部時間14時にワシントン会議場153号室で口頭発表がなされる予定である。

    2剤はsapacitabine[サパシタビン]とseliciclib[セリシクリブ]の経口薬で、第1相臨床試験において連続投与された。第1相試験には、遺伝性の変異によってBRCA遺伝子機能を失った腫瘍を持つ患者を中心に登録されていた。

    「こうした患者のなかで、効果があった例もありました。病勢安定が1年以上続いた例もあります」と、ダナファーバー早期薬剤開発センター(Early Drug Development Center :EDDC)のGeoffrey Shapiro医学博士は述べる。結果的に、BRCA遺伝子の変異はこの併用療法に反応しやすい患者を識別するためのバイオマーカーになる可能性があると同氏は言う。

    本試験に登録した患者のうち16人にBRCA遺伝子の変異が認められた。うち4人(膵癌1人、乳癌2人、卵巣癌1人)は、腫瘍体積の30%以上の縮小として定義される部分奏効が得られた。データ公表時の現在でも部分奏効が継続していたのは3人で、継続期間は最長で78週以上であった。このほかにBRCA遺伝子変異の保因者2人は乳癌と卵巣癌患者で、それぞれ病勢安定が21週および64週にわたって継続した。本試験に登録した残りの22人のうち6人で12週以上にわたって病勢安定が得られた。

    サパシタビンはDNAの損傷を引き起こすことによって癌細胞への毒性を示し、修復されない場合、細胞の自滅に至らせる。 BRCAタンパクはsapacitabineの引き起こすDNA損傷を修復する上で極めて重要で、BRCA遺伝子が不活化するような変異を持つ患者では、本剤活性に対して感受性が高い可能性がある。

    2つ目の薬剤、セリシクリブはDNA修復などの多様な細胞機能を持つ酵素であるサイクリン依存性キナーゼ(CDK)の阻害剤で、sapacitabineの効果をさらに増大させる。本試験の患者は、7日間にわたって1日2回sapacitabineを内服し、その後3日間、seliciclibを1日2回内服した。本試験で認められた有害事象は、軽度から中等度であった。

    Shapiro氏らは、本試験へのBRCA遺伝子変異保因者の登録を継続しており、この変異が治療の反応性を示すバイオマーカーとして役立つのか決定しようとしている。こうした薬剤は、BRCA遺伝子に異常のある癌患者にとって、重要な代替治療となるかもしれないと同氏は述べた。

    本研究は、一部Cyclacel Ltd.社およびNational Institutes of Healthの援助を受けた(RO1 CA90687)。

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    濱田希 訳
    野長瀬祥兼(腫瘍内科/近畿大学付属病院) 監修
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    原文

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