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若年性リンパ腫治療の有望な結果がNIH試験で示される(NCIプレスリリース)

  • 2013年5月5日

    2013年4月10日

    NCIプレスリリース

    臨床試験の結果によると、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫として知られている癌の患者のうち、点滴による化学療法のみを受け、縦隔と呼ばれる胸郭の一部に放射線療法を受けなかった患者の予後は良好だった。今まで、このタイプのリンパ腫を持つ患者に対するほとんどの標準的な治療方法には、縦隔への放射線療法が組み込まれている。だが、縦隔放射線療法は多くの長期的な副作用を伴う。

    米国国立衛生研究所(NIH)の付属機関である米国国立癌研究所(NCI)の研究者らが、51人の患者を最長で14年にわたって調査したこの単一群臨床試験の結果は、2013年4月11日のNew England   Journal of Medicineにて発表される。

    原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫は、主に10代から30代前半の人々に発症する。多くの患者は化学療法と放射線療法の併用で治癒する。しかしこの治療を受けても、20%の患者で疾患の進行がみられる。

    ほとんどの患者が胸部放射線を受けるが、それが新たな癌の原因および心臓へのダメージにつながる可能性がある。特にこれが若年層において問題なのは、新たな癌や心臓疾患のリスクは彼らの年齢が上がるにつれ上昇し続けるからである。原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫は、胸部放射線による乳癌発症のリスクが高い女性にも多くみられる。

    NCI癌研究センターリンパ腫治療部門主任であるWyndham   Wilson医学博士らが行った臨床試験では、全ての患者が、エトポシド、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン、リツキシマブの投与を受ける、用量調節EPOCH-RあるいはDA-EPOCH-Rとして知られる治療を受けた。本療法は、エトポシド、ドキソルビシン、シクロホスファミドを使用し有効性を最大限に高めるため用量を調節した上で輸液戦略が用いられる。

    未治療の原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫患者51名がこの第2相臨床試験の対象となった。腫瘍の最大径は11㎝だった。2名を除く全ての患者がDA-EPOCH-R療法にて完全寛解となり、リンパ腫の再発は認められなかった。完全寛解に至らなかった2名の患者は放射線療法を受け、この患者らも腫瘍の再発はみられなかった。その後他の疾患が発症した、あるいは心毒性作用がみられた証拠は認められなかった。

    (写真キャプション)NCI主任研究者らが、26歳の男性患者(右後方)のCTスキャンの概説を行っている。スクリーンの右側のスキャンは縦隔に15cmの腫瘤を示し、左側のスキャンは7カ月後に完全寛解に至っていることを示す。

    「この治療法が放射線の必要性を大幅に減少させ、本疾患の治癒率を大きく改善するのに成功したのは、特別な用量調節とEPOCH-R薬剤の持続点滴投与に関連する可能性がある。」とWilson氏は語っている。

    DA-EPOCH-R試験の結果に対し公平な評価を行うため、研究者らはスタンフォード大学医療センター(カリフォルニア州)の研究者らと共同で別の試験を行った。この試験では原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫の患者16人に対し本療法を用いた。患者は、NCI試験より幾分年齢が上で、縦隔の外側に疾患を持つ頻度が低かったことを除けば、同様であった。本治療を受けたStanfordの患者全16名も寛解に至り、放射線療法を必要としなかった。

    原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫の場合、より用量強化した治療の方がより良好な結果を得られることがいくつかの研究結果で示されている。他の試験でも、この薬物療法にリツキシマブを使用すると治療効果は向上する可能性があることが明らかにされている。ゆえに、EPOCHのみではなくDA-EPOCH-Rを用いるのである。

    本試験の筆頭著者である米国国立癌研究所のKieron   Dunleavy医師は「私にとって、これらの結果は胸躍るものであり、この手法を用いることでほぼ全ての患者が治癒し、放射線療法が必要な患者はほとんどいないことを結果が示している。われわれの結果に基づき、またこれを確証すべく、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫を持つ小児患者におけるDA-EPOCH-Rの国際第2相臨床試験が現在行われている。そして私たちはこの国際臨床試験が同様な良好な結果が出ることを望んでいる」と言った。

    本試験は、www.clinicaltrials.govにてNCT00001337として登録されている。

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    参照文献: Dunleavy K, Pittaluga S, Maeda LS, Advani R, Chen CC, Hessler J, Steinberg SM, Grant C, Wright G, Varma G, Staudt LM, Jaffe ES, Wilson WH. Dose-Adjusted-EPOCH-R Therapy in Primary Mediastinal B-cell Lymphoma. NEJM. April 11, 2013.

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    滝川俊和 翻訳
    前田 梓(トロント大学医学部医学生物物理学科) 監修
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