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血清ビリルビン濃度が低い男性喫煙者は肺癌になる危険性が高い/MDアンダーソンがんセンター

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血清ビリルビン濃度が低い男性喫煙者は肺癌になる危険性が高い/MDアンダーソンがんセンター

代謝産物バイオマーカーが、ヘリカルCTによるスクリーニングを向上させ、癌の早期発見に役立つ
MDアンダーソン・ニュースリリース 2013年4月7日

血中ビリルビン濃度の上昇は、肝臓になんらかの問題があることを示すことが多いため、臨床で注目される。今回研究者らは、この黄色みを帯びた物質の濃度が低い男性喫煙者は、肺癌になる危険性が高く、この癌で死亡していることを見出した。

テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターの研究者らが率いる研究チームは、その研究結果を、ワシントンD.C.で開催された2013年AACR年次総会の最新演題で報告した。 

「われわれの研究から、ビリルビン濃度の低い男性喫煙者が、禁煙補助、肺の低用量ヘリカルCT検診およびその他の予防措置の対象となりうる高リスク群であることが明らかになりました」、とM.D.アンダーソンがんセンター疫学部門教授およびBetty B. Marcus Chair in Cancer Preventionの議長である統括著者、Xifeng Wu医学博士は述べた。

肺癌はたいてい進行期に診断され、そのときには腫瘍の手術ができなかったり、治療効果が概してなかったりする。全体での5年生存率は15%だが、ステージ3の肺癌患者ではそれが5%に、またステージ4の患者では1%に低下する。

ヘリカルCTスキャンは癌を早期に検出し、バイオマーカーは偽陽性を低減する

National Lung Screening Trial(全米肺検診試験)から、低用量ヘリカルコンピュータ断層撮影スクリーニングがヘビースモーカーの死亡率を20%近く低下させることがわかった。しかしながらヘリカルCTで検出される腫瘍の95%は偽陽性であり、それが大規模スクリーニングの障害になっていた。

「肺癌のリスク予測を向上させ、偽陽性を低減するために、有効なバイオマーカーの発見が至急に必要で、それによってヘリカルCTがより効果的で効率的になるように変化するのです」と、Wu氏は述べた。                                    

研究者らは代謝産物(代謝過程で生成される物資)の濃度の客観的解析から取り掛かった。ビリルビンは古い血液細胞が崩壊する過程で生成される。

彼らは「トリオ」として知られる3つのグループ(健康な人、非小細胞肺癌の早期ステージ、後期ステージ)に分類された60サンプルを解析した。
トップ3の代謝産物は、50と123サンプルの2つのグループでも検証された。

ビリルビンが最も有効な代謝産物であるとわかると、台湾で208,233人の男性を含む435,985人の前向きコホートで、別の検証実験が行われた。

男性は血清ビリルビン濃度によって4つのグループに分けられた。低濃度群では肺癌発症率および死亡率の両方が顕著に上昇していた。                               

台湾人集団のうち、ビリルビン濃度が低い方の4分の1群 (.68 mg/dL以下)では男性10,000人年あたりの発症率が7.02であったが、高い方の4分の1群(1.12 mg/dL以上)では3.73であった。10,000人年あたりの死亡率は低い方の4分の1群で4.84であるのに対して、高い方の4分の1群では2.46だった。

次の段階:ヘビースモーカーにおけるリスク予測モデルの確立

ビリルビンは抗酸化作用、抗炎症作用および抗増殖作用をもつため、それが(癌の)保護因子であることは理解できる。「ビリルビンが遊離ラジカルや喫煙に伴う発癌物質を除去することで肺癌から身を守ることは理にかなっています」、と発表者である疫学博士号候補生、Fanmao Zhang氏は述べた。

確かにベルギー人の研究では、ビリルビン濃度が正常値上限の男性は、癌の死亡率が低かった。英国の研究では、正常値上限のビリルビン濃度と、慢性閉塞性肺疾患や肺癌になる危険性および原因を問わない死亡率の低下が関連していた。これらのどの研究も、喫煙状態によってビリルビン解析の結果を層別化していなかった。

「われわれはビリルビンが(癌に対して)保護作用をもつだろうと予想しましたが、ビリルビン濃度が喫煙者にだけ影響を及ぼすことがわかり、それはいくぶん驚きでした」、とWu氏は述べた。「低濃度のビリルビンが肺癌リスクを高める、というわれわれの発見は独自のものです」。

次のステップは、ヘビースモーカーにおける血清ビリルビンの予測的価値を評価することであり、またビリルビンやその他のバイオマーカーを臨床データや疫学データに組み込んだリスク予測モデルを確立して、肺癌リスク予測の効率を改善することだ、とWu氏は述べた。

共著者は以下のとおりである。
Dong Liang, Ph.D., of the Texas Southern University Department of Pharmacy Health Programs; Jian Gu, Ph.D., Wong-Ho Chow, Ph.D.,Yuanqing Ye, Ph.D., Xia Pu, Ph.D., Michelle A. Hildebrandt, Ph.D., and Maosheng Huang, all of MD Anderson’s Department of Epidemiology; Heath Skinner, M.D., Ph.D., of MD Anderson’s Department of Radiation Oncology; Min Kuang Tsai of the National Health Research Institute, Taiwan; and Chwen Keng Tsao of MJ Health Management Institution, Taipei, Taiwan; and Christopher Wen, M.D., U.S. Department of Veterans Affairs Long Beach Healthcare System          このプロジェクトは米国国立衛生研究所の国立癌研究所(P50 CA070907)、M.D.アンダーソンリサーチトラスト、Center for Translational and Public Health GenomicsおよびDuncan Family Institute for Cancer Prevention and Risk Assessmentからの助成金によって一部資金援助されている。

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井上陽子 訳
後藤 悌 (呼吸器内科/東京大学大学院医学系研究科) 監修
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原文


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