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アバスチンと他の薬の併用により脳腫瘍に有望な効果/メイヨークリニック

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アバスチンと他の薬の併用により脳腫瘍に有望な効果/メイヨークリニック

2013年2月14日(木)

フロリダ州ジャクソンビル発 ― 商標名アバスチンとして知られるベバシズマブは多形性膠芽腫という悪性脳腫瘍を一時的に退縮させるが、膠芽腫はたいてい再び増殖して脳全体に拡散することが多く、その理由はこれまでに明らかになっていない。今回、メイヨークリニックの研究者がその理由を明らかにした。また、アバスチンと別の癌治療薬であるダサチニブの併用によりこの致死的な腫瘍の拡散を止められることを発見した。ダサチニブはいくつかの血液癌治療に承認されている。

動物実験に基づく本知見は、2月14日付けPLOS ONE誌オンライン版に詳細が掲載された。この結果に基づき、メイヨークリニックでは他の治療法が奏効しなかった膠芽腫患者に対しベバシズマブおよびダサチニブを併用する第1相臨床試験を既に実施した。メイヨーは現在、米国国立癌研究所(NCI)が支援する臨床試験ネットワークであるAlliance for Clinical Trials in Oncologyを通じ、100人の患者を対象としたランダム化第2相臨床試験を実施中である。

「非常に勇気づけられました。この知見は多数の患者に恩恵をもたらすかもしれません」。フロリダのメイヨークリニック癌生物学部長で共著者のPanos Z. Anastasiadis医学博士は言う。メイヨークリニックのフロリダキャンパスおよびミネソタキャンパスの研究者や腫瘍医もともに同研究に携わっている。

本研究は、細胞の接着と遊走を研究する基礎科学者のAnastasiadis氏が脳腫瘍治療に携わる腫瘍医のグループにセミナーを行ったことがきっかけで始まった。ベバシズマブに誘発される侵襲性が問題提起され、すみやかに共同研究が立ち上げられるとともに、メイヨークリニックの脳腫瘍に対する優良研究特化プログラム(SPORE)の助成を受け、全米で4件しかないうちの1件となった。

ベバシズマブに誘発される癌の増悪は脳腫瘍に限らない、とAnastasiadis氏は言う。

「アバスチンは一部の患者にはっきりとした利益をもたらすのですが、さまざまな癌においてアバスチン使用後に癌が再発した場合、より悪性かつ浸潤性となることを腫瘍医は指摘してきました」。

研究チームはマウスでベバシズマブ使用後に脳腫瘍の悪性度が高まる際、癌がSrcという一群のキナーゼ産生を誘導しはじめ、脳腫瘍の辺縁部に見られるタンパク質を活性化させることを見出した。このタンパク質は、腫瘍細胞が動き回って新たな栄養源を見つけるための「脚」を本質的に与えてしまうものだとAnastasiadis氏は言う。

「アバスチンのような血管新生阻害剤は腫瘍細胞から血液栄養を奪うので最初のうちは腫瘍が退縮しますが、このことは同時に、癌細胞が血流を求めて脳の他の部分へ浸潤することを助けるタンパク質のスイッチを入れるように働くとわれわれは考えています。つまり、アバスチンにより腫瘍が栄養を取るための血管を新生できない場合、腫瘍は他に存在する血管を求めて動くだろうということです」。

その後研究者らはSrcキナーゼの阻害薬であるダサチニブの試験を行った。ヒト膠芽腫のマウスモデルにおいてベバシズマブまたはダサチニブを単独投与しても大した効果がない一方、併用により腫瘍を退縮させ、その後の拡散も抑制することがわかった。

「細胞の遊走を抑制すれば、細胞は一箇所にかたまることを余儀なくされ、やがて栄養不足で死んでいくでしょう」。Anastasiadis氏は言う。

研究者らの次の取り組みは、この新治療法がどの患者にとって利益が大きく、どの患者で小さいか、そしてそれはなぜかを明らかにすることだ。

本研究は米国国立衛生研究所(NIH)のR01CA100467およびR01NS069753の2件の助成金を受けている。

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橋本仁 訳
西川亮(脳・脊髄腫瘍/埼玉医科大学国際医療センター)監修
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原文

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