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進行甲状腺癌の一部で放射性ヨウ素抵抗性の克服が示された薬剤/スローンケタリング記念がんセンター

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進行甲状腺癌の一部で放射性ヨウ素抵抗性の克服が示された薬剤/スローンケタリング記念がんセンター

ニューヨーク州ニューヨーク、2013年2月13日

スローンケタリング記念がんセンターの新研究によると、もっとも効果的な治療法である放射性ヨウ素(RAI)に対して抵抗性となった進行甲状腺癌患者の一部で、試験薬selumetinibによりその放射性ヨウ素治療抵抗性が克服できるかもしれないという。

本研究は2月14日付け New England Journal of Medicine誌に掲載されたもので、予後が思わしくないこともある進行甲状腺癌患者にとって新たな希望となる。米国国立癌研究所(NCI)によると米国では推定56,000人が毎年新たに甲状腺癌と診断されており、その数字は増加中だという。甲状腺癌患者のうち約5%は遠隔転移を起こし、転移腫瘍を有しRAIが奏効しなかった患者の10年後生存率は約10%である。

スローンケタリング内分泌部門チーフで本研究の上級著者James A. Fagin医師によると、これまで転移性甲状腺癌におけるRAI抵抗性を克服しようと多くの臨床試験が行われてきたが、成功したものは皆無だという。細胞のRAI吸収能力はMAPK経路により制御されることがこれまでの研究でわかっているため、Fagin医師らはMAPK阻害剤のselumetinibがこの経路における遺伝子変異のシグナルを抑制することでRAI抵抗性を消失させられるかを調べた。結果、selumetinibの効果が示され、特にMAPK経路の一部であるRAS遺伝子に変異がある甲状腺癌患者で顕著であった。

「主要経路を阻害することでヨウ素の取り込み量を増やし、放射性ヨウ素治療の効果を復活できました」。細胞およびマウスでの研究を主導したFagin氏はこのように話す。

放射性ヨウ素抵抗性腫瘍を有する患者20人に低ヨウ素食を5日間続けた後、selumetinibを投与した。4週間後、腫瘍のRAI吸収量を測定するため患者は画像診断を受けた。NRAS遺伝子変異を有する5人全員を含む8人の患者で、selumetinibによりRAI治療が可能となる程度までヨウ素取り込み量が増加した。

RAI治療後、患者5人に部分奏効、3人に病勢安定が認められた。患者8人中7人は6か月の追跡期間中の転帰に変化はなかった。また進行甲状腺癌患者の腫瘍マーカーとなる血中タンパク質の一つである、血清サイログロブリン値が8人全員で低下し、selumetinibによる重大な副作用はなかった。

「この治療戦略が有利な点は、臨床上意味のある効果をあげるのに短期間で済むということにあります」。さらにFagin氏は、「初期の結果ではRAS変異を有する甲状腺癌に有望な結果でしたが、大規模臨床試験によりselumetinibが種々の進行甲状腺癌に広く効果的であるかを明らかにすることが期待されます」と述べた。

スローンケタリング記念がんセンターでは今年中にもselumetinibの国際多施設共同第3相臨床試験を主導する予定だ。この臨床試験ではAstraZeneca社の資金提供を受け、甲状腺癌が近傍の組織やリンパ節に拡散したため甲状腺全摘徐術を受けた直後の患者を登録して実施することとなっている。

詳細情報をお求めの報道各位は広報部まで。

電話:212-639-3573

E-mailmediastaff@mskcc.org

本研究は米国甲状腺学会、スローンケタリング記念癌センター協会、米国国立衛生研究所(資金提供番号CA50706およびCA72598)、AstraZeneca社、Genzyme社の資金提供を受けている。

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橋本仁 訳
東 光久(血液癌・腫瘍内科領域担当/天理よろづ相談所病院・総合内科)監修
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原文

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