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既存薬治療後に増悪したCML患者に対する治療選択肢が拡大/MDアンダーソンがんセンター

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既存薬治療後に増悪したCML患者に対する治療選択肢が拡大/MDアンダーソンがんセンター

FDAは、4カ月で3つ目の薬剤としてポナチニブを承認。全臨床試験をMDアンダーソンが主導
MDアンダーソンがんセンター
2012年12月21日

米国食品医薬品局(FDA)は、2012年12月、慢性骨髄性白血病(CML)患者及びフィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ性白血病(Ph+ALL)の患者に対する治療の選択肢を拡大した。FDAは、このいずれかの疾患を有する多くの患者で有効性が示されている薬剤ponatinib(ポナチニブ:Iclusig®)を承認した。

これらの白血病を持つ患者は、イマチニブ(Gleevec®)、また第二世代薬のニロチニブ(Tasigna®)およびダサチニブ(Sprycel®)で優れた奏効率を得てきた。これらの薬剤はすべて、白血病細胞のチロシンキナーゼというタンパク質、特にこれらの疾患の原因となる変異性BCR-ABLタンパク質を阻害することで作用する。

しかし、CML患者の30~40%がイマチニブに抵抗性を示す。ニロチニブおよびダサチニブは、イマチニブ抵抗性患者の約40~50%に効果を示す。

「ポナチニブが利用可能となったことにより、チロシンキナーゼ阻害剤による治療に抵抗性または不耐容となった多くのCMLおよびPh+ALL患者の転帰が劇的に改善しています」と述べたのはJorge Cortes医師。テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター、白血病部門の教授であり副理事でもある。

「変異や病期にかかわらず、ポナチニブの臨床的寛解が観察されています。本剤は白血病患者にとって価値ある新たな治療選択肢であります」とCortes氏は述べた。

新薬が治療の溝を埋める
ポナチニブは過去4カ月間に、CML及びPh+ALL治療薬として承認された3つ目の薬剤であり、腫瘍専門医の選択肢の幅を広げた。

Cortes氏は、これら3つの薬剤の臨床試験を主導した。他の2剤はボスチニブ(bosutinib:Bosulif®)およびオマセタキシン(omacetaxine:Synribo®)である。Cortes氏と白血病部門の教員らはまた、既承認のCML治療薬3剤の臨床試験も多く主導した。

「できるだけ多くのがん治療法があることが重要なのです。単剤又は併用療法がすべての患者で有効であることは稀だからです」とCortes氏。

「これら新薬は治療におけるさまざまな溝を埋めるものであり、さまざまな方法で患者に役立つのです。すべての患者に有効な治療の選択肢が用意できるのではないかと期待しています」。

ポナチニブ(Iclusig)
ポナチニブはARIAD Pharmaceuticals社により開発され、治療抵抗性変異を阻害するよう設計された薬剤である。最もよく見られる変異はT315Iであり、患者の20%で認められる。通常であれば、他のチロシンキナーゼ阻害剤が変異性タンパク質と結合する部位をブロックする。

主要な第II相臨床試験について、12月初旬にアトランタで開催された第54回米国血液学会年次集会および展示会(ASH:American Society of Hematology Annual Meeting and Exposition)でCortes氏により発表され、ポナチニブは初期段階(慢性期)のCML、また頻度の高い変異が存在し治療困難となる進行段階の移行期及び急性転化期CMLに対して寛解を示した。

慢性期CML患者の追跡期間中央値15カ月時点で、267人中149人(56%)が細胞遺伝学的major寛解(フィラデルフィア染色体陽性細胞が35%以下へ減少)であり、46%は細胞遺伝学的完全寛解(骨髄内にフィラデルフィア染色体陽性細胞が認められない状態)を達成した。

T315I変異を持つ慢性期CML患者64人のうち、45人(70%)で細胞遺伝学的major寛解、また66%は細胞遺伝学的完全寛解を達成した。移行期及び急性転化期CML患者では、血液学的major寛解(血中CML細胞の大幅な減少)を達成したのはそれぞれ57%及び34%であった。

ボスチニブ(Bosulif
2012年9月にFDAにより承認を受けたボスチニブは、薬剤抵抗性の原因となるBCR-ABL変異種の多くに対して作用する第二世代のチロシンキナーゼ阻害剤である。ポナチニブのみ効力が認められているT315I変異は、重要な例外である。

「ボスチニブはダサチニブおよびニロチニブと同等の作用を示します」とCortes氏は述べた。「これらの薬剤の主な相違点は、ボスチニブの方がBCR-ABL及びSRCを阻害する活性の特異性が高く、他のチロシンキナーゼは阻害しません。これにより重篤な副作用が少なくなります」。

例えば、他のチロシンキナーゼ阻害剤を使用した場合に生じる心毒性または膵炎に関する問題がない。「われわれが患者に適切な薬剤を選択しようとする際、ボスチニブは優れた選択肢となります。併存疾患又は他の医学的問題が見られる患者にとって、本剤は最適な薬剤になる可能性があります」とCortes氏は語る。

本剤はBosulifの商標で流通しており、Pfizer社が製造販売している。

オマセタキシン(Synribo)
オマセタキシンは、他の5つのチロシンキナーゼ阻害剤とは全く異なる機序を持つ。本剤はBCR-ABLタンパク質活性を阻害するよりも、変異性BCR-ABLタンパク質の産生を阻害する薬剤である。

「数種類のチロシンキナーゼ阻害剤使用後に増悪した患者、また不耐容を示した患者にとって、本剤は重要な選択肢となります」とCortes氏。「患者の少数は、良好な寛解を得るための新たなアプローチを必要としているのです」。

オマセタキシンは、中国原産の常緑樹由来のホモハリントニンと呼ばれるCML治療薬を徐放性に製剤化した薬剤である。本剤は、ポナチニブや他剤のように、変異性タンパク質の活性は阻害せず、オマセタキシンはBCR-ABLの発現を阻害することにより、T315I変異を含む抵抗性CMLに対して作用する。

本剤はSynriboの商標で流通しており、Teva Pharmaceuticals社が製造販売しており、2012年10月にFDAにより承認されている。オマセタキシンとチロシンキナーゼ阻害剤を併用する臨床試験が計画されている。

次段階:患者と薬剤をマッチングすることによりCMLを根絶
Gleevecの承認前、全CML患者の約半数が5年間生存した。現在では、既承認の3剤の投与により90%が5年生存を達成している。Gleevec及びTasignaはNovartis社、またSprycelはBristol-Myers Squibb社がそれぞれ製造販売している。

Cortes氏は、重要な課題がまだ残っていると語る。「それぞれの薬剤を投与すべき患者を特定する必要があります。つまり、イマチニブでよく治療できる患者が誰で、新薬で治療を開始する必要性があるのが誰か、と言うことです。現在は、全ての患者に対してイマチニブ、ダサチニブまたはニロチニブで治療を開始しています」。

現在のチロシンキナーゼ阻害剤は、CMLを検出不可能なレベルまで劇的に減少させるものもある一方で、患者のほとんどで、再発防止のため投与継続が必要である。「これは、投与中止が可能で再発しない、ある段階まで患者を治療するということです」とCortes氏は述べる。

「この達成のために、本疾患を完全に根絶し、多くの患者が治癒したと言えるような、十分に効果的な治療法を、確実にわれわれに伝えるツールを開発しなければなりません。この2つの領域が今後の大きな課題となるでしょう」とCortes氏は述べた。

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菅原宣志 訳
須藤智久(薬学/国立がん研究センター東病院 臨床開発センター)監修
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原文


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