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2段階に渡る免疫療法が進行卵巣癌を攻撃する/ペンシルベニア大学

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2段階に渡る免疫療法が進行卵巣癌を攻撃する/ペンシルベニア大学

 2013年1月31日
ニュースリリース

患者自身の癌から作られた個別化ワクチンが免疫系を活性化させる
フィラデルフィア—卵巣癌患者の多くは既存の治療法には反応しない進行癌の状態で診断される。ペレルマン ペンシルベニア大学医学大学院の研究者らは新規臨床試験で、2段階に渡る個別化免疫細胞治療―患者自身の癌細胞を使用する樹状細胞ワクチン療法に続いて、養子T細胞治療を行う治療法―が末期卵巣癌女性患者において抗腫瘍免疫反応を誘発することを示す。本臨床試験で本治療を受けた6人中4人が反応した、と研究者らはOncoImmunology誌今月号に報告する。
「私たちが本臨床試験で証明したことは、本治療が安全な治療戦略であることです。本治療は卵巣癌患者にとって、とりわけ標準的化学療法や外科治療と比較して、公園での散歩並みの非常に容易な治療です。そして、言葉通りに、患者の中には、本治療後に診療所から出て、近くの公園に散歩に行った人もいました。」と共同筆頭著者であるLana Kandalaft氏(臨床薬学博士、トランスレーショナル・リサーチ学修士、博士、産婦人科研究准教授兼卵巣がん研究センター臨床開発責任者)は述べる。
この知見は、本臨床試験の統括著者であるGeorge Coukos医学博士(卵巣がん研究センター長)による研究に倣っている。なお、Coukos氏は2003年に、卵巣癌が正常なT細胞という免疫細胞に浸潤された女性患者は、卵巣癌が腫瘍浸潤性T細胞を含まない女性患者よりも長期間生存する傾向があったことを示した。その知見とそれに続く他の知見から、卵巣癌患者の免疫系は卵巣癌を排除しようとするが、癌に打ち勝つために十分な免疫強度を惹起できていないことが示唆される。それゆえ、研究者らは卵巣癌患者自身の癌細胞を使用して免疫系を強化する方法を見つけようとした。
本臨床試験で、Coukos氏、Kandalaft氏、および共同筆頭著者であるDaniel J. Powell Jr博士(病理学・臨床検査学助教)らは、患者自身の卵巣癌(手術時に保存された)から作られた樹状細胞ワクチンを使用した2段階に渡る免疫細胞治療プロトコルに基づいて、進行卵巣癌女性患者6人を治療した。いずれの卵巣癌も、標準的化学療法を受けても進行していた。
本臨床試験の第1段階で、研究者らは各患者用の個別化樹状細胞ワクチンを調製した。また、アフェレーシス(献血者が、血小板や幹細胞移植用に採取される造血幹細胞などの他の血液成分を献血するときに、体験するものと同様の過程)を使用して各患者から樹状細胞を採取した。Kandalaft氏らは次に、各患者の樹状細胞を患者自身の卵巣癌から調製された抽出物に曝露させた。そうすることで、樹状細胞に標的を認識させる。この準備の後に、Kandalaft氏らは、各患者に患者自身の樹状細胞を接種し、ベバシズマブ+シクロホスファミドの併用化学療法レジメンを実施した。樹状細胞は免疫系の司令官のように働き、次に他の免疫細胞を誘導し、攻撃を開始する。
樹状細胞ワクチンが接種された患者6人中、4人が抗腫瘍免疫反応を示した。また、このアプローチが有効であることが示された。本臨床試験登録時には、その中の1人に測定可能な疾患は認められなかった。その理由は、卵巣癌全体の摘出手術に成功したためであった。その患者は、樹状細胞ワクチン接種後42カ月経過した現在、再発を認めていない。樹状細胞ワクチンに免疫反応を示した他の3人には残存病異変がまだ認められた。そして、この3人は本臨床試験の第2段階を続けて受けた。
研究者らは、この3人からそれぞれのT細胞を採取した。ペレルマン ペンシルベニア大学医学大学院で開発された方法を使用して、T細胞を研究室内で培養し、その数を指数関数的に増殖させた。次に、この3人はリンパ球が減少するような化学療法レジメンを受けた後に、その各患者にT細胞を再導入した。このT細胞はすでに卵巣癌細胞を攻撃する樹状細胞ワクチンにより曝露されているため、養子T細胞移植により抗腫瘍免疫反応が強化される。
その中の2人は、養子T細胞移植後に免疫反応が回復した。その中の1人は病状が安定を示し続け、別の1人は本治療法により完全奏効を示した。
多数の卵巣癌患者に対するこの種の治療法の有効性を述べることは時期尚早だが、この初期結果は有望である、と研究者らは述べる。第一に、この2段階に渡る治療法が患者にとって安全で忍容性に優れるようである、とKandalaft氏は指摘する。研究者らはさらに、両治療段階における免疫反応と臨床的有益性の相関関係を調べた。それが実際に、卵巣癌を抑制している免疫反応であることが示唆された。
これらの有望な結果が得られたため、研究者らは、卵巣癌女性患者約25人がすでに参加し、参加者数が最大30人超を目標にする大規模臨床試験を開始している。この新規プロトコルには、改良済ワクチンプラットフォームと最適化済養子T細胞移植プロトコルが使用される。この大規模臨床試験の責任医師は、Janos Tanyi医学博士である。
「大規模臨床試験により、大量化学療法は進行卵巣癌女性患者の転帰を改善しないことが示されています。そこで、私たちは別の治療法を検討する必要があります。免疫療法と化学療法の併用療法が最善の治療法である、と考えます。」とCoukos氏は述べる。
ペレルマン ペンシルベニア大学医学大学院所属の他の共著者は以下の通りである(敬称略)。Cheryl L. Chiang、Janos Tanyi、Sarah Kim、Kathy Montone、Rosemarie Mick、Bruce L. Levine、Drew A. Torigian、およびCarl H. June。共著者であるMarnix Bosch氏は、Northwest Biotherapeutics社(メリーランド州ベセスダ)所属である。
本臨床試験は、米国国立癌研究所卵巣癌優良研究特化プログラム助成金P01-CA83638、米国国立衛生研究所R01FD003520-02、および卵巣癌 免疫療法イニシアチブによる支援を受けた。
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渡邊岳 訳
大野 智(腫瘍免疫/早稲田大学・東京女子医科大学)監修
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原文

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