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気功が放射線治療を受けている乳癌患者のQOLを向上させる/MDアンダーソンがんセンター

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気功が放射線治療を受けている乳癌患者のQOLを向上させる/MDアンダーソンがんセンター

癌治療における心身療法の有用性がさらに研究で示される
MDアンダーソンがんセンター
2013年1月25日

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究により、古くからの心身療法である気功が、放射線治療を受けている女性乳癌患者の抑うつ症状を軽減しQOLを向上させることがわかった。

Cancer誌で発表されたこの研究は、放射線治療中の患者における気功を初めて検証したもので、追跡期間には時間の経過に伴う効果を評価した。瞑想や誘導イメージ療法といった心身療法にはそれぞれにストレス軽減やQOLの向上といった側面はあるものの、放射線治療と同時に行われた時の効果は知られていない。

MDアンダーソンがんセンター一般腫瘍学・行動科学部門の教授で、統合医療プログラムの責任者でもあるLorenzo Cohen博士は「われわれは特に、治療初期に抑うつ症状のみられる患者での気功の効果にも興味があった」「癌患者がストレスを管理できることは重要なことだ。ストレスは生物システムと炎症プロファイルに多大に負の影響を与えるからだ」と述べている。

試験にあたり、責任著者であるCohen氏は共著者らとともに中国上海の復旦大学上海がんセンターで、ステージ1〜3の女性の乳癌患者96人を登録した。そのうち49人の患者を無作為に気功群に割り付け、放射線治療を行う5〜6週間の各週につき40分間のクラスを週に5回行った。残りの女性患者47人は待機リスト対照群として標準の治療を受けた。

このプログラムには、呼吸とさまざまな動きを同調させる中国の医療気功に変更を加えたものを取り入れた。治療としての気功の歴史は4000年以上も前に遡り、霊的(スピリチュアル)な健康の支援や病気を防ぐためにアジア全域で治療として行われていた。

どちらの群の参加者も、放射線治療開始時、治療の途中、治療終了時、1カ月後、3カ月後に評価を行い、抑うつ症状や疲労、睡眠障害、総合的QOLなど、さまざまな側面からQOLを測定した。

結果は時間の経過につれ効果が現れたことを示した
気功群の患者の報告によると、放射線治療終了時の抑うつ症状の平均スコア12.3が、治療3カ月後の追跡期間には平均スコア9.5となり着実な減少をみせた。対照群では時間を経てもスコアの変化は認められなかった。

また本研究により気功はベースラインで抑うつ症状のスコアが高かった女性に特に有用になることが判明したとCohen氏は述べる。

「われわれは研究の始めに女性の抑うつ症状を検証し、抑うつ症状の重い女性にとって気功がより有効となるかを調べた。実際、気功群と対照群どちらにおいても放射線治療開始時に抑うつ症状が軽かった女性は、治療中から治療後3カ月後にも良好なQOLを保っていた。だが抑うつ症状が重い対照群の女性は抑うつ症状、疲労、総合的なQOLのレベルが最も低く、気功群の女性はこれらのレベルは著しく改善した」とCohen氏は述べている。

治療終了後も気功の効果が大いに認められたことから、放射線開始時に抑うつ症状が強い女性には特に、気功が遅発性の症状の負担を軽減し回復プロセスを促進するかもしれないと研究者らは示唆する。

多くの場合効果の出現には時間がかかることから、この遅効性はこれら治療法の累積的性質から説明できるのではないか、とCohen氏は言う。

今後の研究の必要性
著者らはこの研究の限界をいくつか指摘する。例えば、気功の効果が患者の期待によるものか、単に低強度の運動によるものか、そういった可能性を排除することがアクティブ・コントロール群の不在により困難となっている。単一施設で集められた中国人女性という群の同質性も研究結果の他の集団への適用を制限している。

著者らは、この研究結果は、以前より報告されてきた気功の効果を検証した試験を裏づけるものであるが、まだ予備段階のものに過ぎず臨床的推奨を提案するまではいかない、としている。関与する生物学的メカニズムを理解し、多様な民族集団におけるさまざまな疾患の形態に対する気功の利用法を今後も探っていく必要性がある。

本研究は米国国立癌研究所(NCI)から助成金(R21CA108084、U19CA121503、CA016672)を受けた。
著者らは利益相反のないことを報告している。

MDアンダーソンCohen氏の他の共著者は以下の通りである。
Zhongxing Liao, M.D., Department of Radiation Oncology; Qi Wei, Integrative Medicine Program and Kathrin Milbury, Ph.D., Department of Behavioral Science. Other authors include Zhen Chen, M.D., Jiayi Chen, M.D., Zhiqiang Meng, M.D., Ph.D., Wenying Bei, M.D., Ying Zhang, Xiaoma Guo, Luming Liu, M.D., Ph.D., all of Fudan University Cancer Hospital; Jennifer McQuade, M.D., Hospital of the University of Pennsylvania; Clemens Kirschbaum, Ph.D., Dresden University of Technology; and Bob Thornton, Merck & Co., Inc (研究が行われた時点ではMDアンダーソンのスタッフであった)

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平沢沙枝 訳
大野 智 (腫瘍免疫学 早稲田大学/東京女子医科大学)監修
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原文


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