レーザー光による乳癌線維パターンの精査が癌転移の判断に役立つ/ジョンズホプキンス大学 | 海外がん医療情報リファレンス

レーザー光による乳癌線維パターンの精査が癌転移の判断に役立つ/ジョンズホプキンス大学

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レーザー光による乳癌線維パターンの精査が癌転移の判断に役立つ/ジョンズホプキンス大学

公開日:11/05/2012

新たな診断ツールで不要なリンパ節手術の数を減らす

組織を透過するレーザー光を備えた高性能な顕微鏡を使用することで、ジョンズホプキンス大学の癌画像診断の専門家らは、乳癌組織サンプルの超薄コラーゲン線維の特殊パターンを正確に分析し、癌転移の有無を示すのに役立つ、有望で新しい方法を開発した。

ジョンズホプキンス大学の研究者らは、100万分の数メートル厚の生検組織サンプルを前後に横断してレーザー光を照射することで得られる交差視像を、他の検査と併用することで、転移性乳癌のリスクをもつ女性におけるリンパ節の生検および切除の必要性について、より的確に判断できるかもしれない、と述べている。

腫瘍結合組織線維の微細な変化を測定した最初と見られる研究の中で、研究者らは、リンパ系を介して乳房から転移が認められた8人の女性では、まだ転移していない6人の女性に比べて、コラーゲン性構造タンパク質が10パーセントほど密に充填され、放射状に広がっていることを見出した。同じく乳房生検の過程で得られた転移していない腫瘍中のコラーゲン線維は、より散在性で横方向パターンで配列していた。この研究における14人の女性はすべて侵襲性の悪性乳癌であった。

11月1日付けのJournal of Biomedical Optics誌の電子版で発表された新たな報告で、研究者らは、もしこれらの『原理証明』の知見が転移性乳癌を患っている、あるいは患っていない数百人以上の女性で現在行われている検査で支持されるなら、この新しい光画像ツールが、癌転移の検査を簡便化し、患者が必要のないリンパ節手術を回避するのに役立つであろう、と述べている。

「われわれの新しい診断技術は、多くの乳癌患者で他の臓器に転移していないことを再確認し、リンパ節における癌細胞の有無を調べる現在の直接検査に伴うリスクや痛みを回避するのに役立つでしょう」と、主任研究者であるKristine Glunde博士は語る。

より密な腫瘍線維パターンをもつ女性では、リンパ節の生検や切除、またこうした組織に悪性細胞が存在するかどうかを検査する必要性が高くなる可能性があるようだ、とジョンズホプキンス医科大学Russell H. Morgan放射線科およびシドニー・キンメル総合がんセンターの準教授であるGlunde氏は言う。

リンパ節の生検や、より侵襲的な切開から生じる合併症には、腕の硬化はもちろん、感染症のリスク、痛み、重篤な腫れや腋窩周囲のリンパ液の漏れなどがあり、それらは永続する可能性がある、とGlunde氏は言う。2011年には約230,000人の米国人が浸潤性乳癌と診断された一方で、別の57,000人が非浸潤性乳癌であると診断された。

癌の画像専門家らは癌細胞の間に位置する線維性結合組織が、腫瘍の成長および癌の転移と共に変化し、一つの束になることを、10年以上も知っていた、と共同研究者でありジョンズホプキンス大学およびキンメルがんセンターの教授であるZaver Bhujwalla博士は言う。

「しかしながら、基本的にそのような微細で連続的な変化が、癌細胞の外側の腫瘍微小環境あるいは細胞外マトリックス中で測定されることで、病期分類や治療法の決定をよりよく導くために役立つという証拠がありませんでした」、と最新の画像研究が行なわれたジョンズホプキンス大学In Vivo Cellular and Molecular Imaging Center(ICMIC)のセンター長も務めるBhujwalla氏は語る。

また、Glunde氏、Bhujwalla氏および共同研究者であるMeiyappan Solaiyappan理学士は、米国国立癌研究所(NCI)からの資金援助を受け、2010年ICMICにおいて、腫瘍コラーゲン線維間の微小スペースを分析し、それらの密度計算に役立つ特殊なコンピューターソフトウェアを開発した。

組織線維画像は、長波長レーザー光線がコラーゲン線維から数秒間それることで様々な平面野や視野が記録される、第二高調波発生光顕微鏡と呼ばれる光画像技術を利用することで得られた。色彩的な可視光波よりはるかに組織を透過するのに加えて、長い赤外線波長のように癌細胞を破壊したり熱さないことから、880マイクロメーターというより長い波長の赤外線が選択された。Glunde氏は、多くの測定視野が組織サンプル全体にわたってランダムに取得されることで、各乳癌サンプルを正確に表示している、と言う。乳房生検サンプルはメリーランド州の組織バンクから得られた。

この新たな研究は、米国国立衛生研究所の一機関であるNCIからの資金援助を得て、もっぱらジョンズホプキンス大学において行なわれた。

Glunde氏、Bhujwalla氏およびSolaiyappan氏に加えて、この画像研究に関与した他のジョンズホプキンス大学の研究者は、Samata Kakkad博士、Saraswati Sukumar医師、Lisa Jacobs博士および Pedram Argani博士であった。またその他の機関の研究者はドイツブレーメン大学 のDieter Leibfritz医師であった。

詳細はこちら:
http://icmic.rad.jhmi.edu/ICMICorganization/ProgDirZB.html
http://projectreporter.nih.gov/reporter_searchresults.cfm

メディア関係者問い合わせ先:David March

410-955-1534

dmarch1@jhmi.edu
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井上陽子 訳
前田 梓(トロント大学医学部医学生物物理学科) 監修
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原文

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