分子標的薬イノツズマブ・オゾガマイシンの週1回投与は、急性リンパ性白血病(ALL)に対する効果を減弱させずに副作用を軽減する/MDアンダーソンがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

分子標的薬イノツズマブ・オゾガマイシンの週1回投与は、急性リンパ性白血病(ALL)に対する効果を減弱させずに副作用を軽減する/MDアンダーソンがんセンター

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分子標的薬イノツズマブ・オゾガマイシンの週1回投与は、急性リンパ性白血病(ALL)に対する効果を減弱させずに副作用を軽減する/MDアンダーソンがんセンター

MDアンダーソンがんセンター
2012年12月10日

モノクローナル抗体に抱合された強力な化学療法剤は、週1回投与と月1回投与のいずれにおいても急性リンパ性白血病(ALL)の腫瘍細胞を選択的に破壊する、と第54回ASH Annual Meeting and Expositionにおいて研究者らは報告した。

癌細胞に対するこの「トロイの木馬」攻撃は、ALL患者の奏効率を著しく上昇させたが、今回の臨床試験により、週1回投与においても有効で、副作用はより少ないことが明らかとなった。

「CD22抗原は、B細胞腫瘍の特異的なマーカーで、急性リンパ性白血病患者の90%以上に発現しています」テキサス大学MDアンダーソンの白血病部門(Department of Leukemia)教授Susan O’Brien医師は述べた。「この抗原はB細胞腫瘍に特異的なので、治療的介入の有望な標的となるのです。」

強力な抗腫瘍剤と結合させる
カリケアマイシンという毒素を結合したイノツズマブ・オゾガマイシン(inotuzumab ozogamicin)と呼ばれるヒト化抗体は、CD22に結合する。「この抗体は、B細胞に結合したのち細胞内に取り込まれ、リンカーが加水分解されて悪性B細胞内にのみカリケアマイシンを放出します」とO’Brien氏は語った。「こうして、非常に強力な毒素を、全身に分布させることなく、悪性B細胞に導くことができるのです。」

この試験薬剤は、最初B細胞性リンパ腫の患者に用いられた。リンパ腫の臨床試験でみられた主な副作用は、主として血小板減少による骨髄抑制であった。

「ALLであれ、急性骨髄性白血病であれ、急性白血病では、骨髄抑制はそれほど問題とはなりません。なぜなら患者は、白血病細胞を壊滅させるために、一時的に骨髄を一掃したいと願うからです」とO’Brien氏は述べた。「患者は骨髄抑制を治療の一部と考えるのです。」

副作用は対処可能
この試験で、研究者らは、リンパ腫の臨床試験で忍容性があるとされた1.8mg/m2を開始投与量とした。

「この薬剤は、再発・難治性の患者において非常に高い効果を示し、その全奏効率は57%でした。」とO’Brien氏は語った。「主な副作用は、抗体の点滴時または点滴直後に起こるインフュージョンリアクション(輸注反応)でした。時として血圧降下に関連する発熱がみられた患者もいました。これらは、概ねグレード1から2と軽度であり、容易に対処できるものでした。」治療により、肝機能を示すトランスアミナーゼ値のグレード1から2の上昇も発現したが、これはリンパ腫の臨床試験においてもみられていた。

プロトコルの変更
副作用を最小限に抑えるため、研究者らはプロトコルを変更した。「3週あるいは4週毎の投与を週1回投与に変えることによって、インフュージョンリアクションと肝機能検査値の上昇を軽減できないだろうかと考えました」とO’Brien氏は語った。「最血漿中濃度は低下する可能性がありますが、同じ総投与量を3週に分割しているだけなので、血中濃度曲線下面積は変わらないかもしれません。」

研究者らは、新しいプロトコルに基づき、総投与量が同じになるよう3週に分けて、第1日に0.8mg/m2、第8日と第15日に0.5mg/m2で投与した。「週1回投与の奏効率は、月1回投与の場合とまったく同じでした」とO’Brien氏は語った。「一方、インフュージョンリアクションとトランスアミナーゼ値上昇の頻度は、週1回投与で減少しました。おそらく、副作用は薬物の最高血中濃度と関連している可能性が高く、3週に分けて投与した場合、最高血中濃度はそれほど高くならないからです。」

薬の減量
「再発・難治性の患者において、素晴らしい効果が認められました」と、O’Brien氏は述べた。「副作用は許容できるもので、主として薬剤そのものに対するグレード1から2の反応でした。ほとんどの抗体が軽度のインフュージョンリアクションを起こすことを考えると、これは珍しいことではありません。トランスアミナーゼ値の上昇は大部分がグレード1から2で、試験全体においてグレード3から4の肝機能検査値の上昇が認められた患者は、5%未満でした。」

O’Brien氏は、MDアンダーソンにおける新しい臨床試験で、65歳以上の初発ALL患者に対するレジメンとして、この抗体を低用量の化学療法剤とともに用いていることを付け加えた。

「高齢のALL患者に対する治療で最も問題となる合併症のひとつは治療による骨髄抑制で、そのため患者は感染症にかかりやすくなります。高齢患者は特に骨髄抑制や他の合併症を引き起こしやすいのです」と氏は語った。「非常に忍容性の高い抗体と化学療法剤を組み合わせるとよいのです。そうすれば、十分量の化学療法剤を用いる必要がなくなり、副作用を軽減できるかもしれません。」

本臨床試験は、イノツズマブを開発したPfizer, Inc.の資金援助を受けている。

O’Brien氏の共同研究者は、MD アンダーソンの白血病部門(Department of Leukemia)のDeborah Thomas医師、 Farhad Ravandi医師、 Stefan Faderl医師、 Jorge Cortes医師、Elias Jabbour医師、 Hagop Kantarjian医師、 Monica Kwari看護学士、 Sergernne York正看護師、Rebecca Garris理学士およびMDアンダーソンの血液病理学部門(Department of Hemopathology)の Jeffrey Jorgensen医学博士およびMDアンダーソンの幹細胞移植・細胞療法部門(Department of Stem Cell Transplantation and Cellular Therapy)のPartow Kebriaei医師である。

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徳井陽子 訳
林 正樹 (血液・腫瘍内科/敬愛会中頭病院) 監修
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原文


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