前立腺癌治療の費用対効果の比較/カリフォルニア大学サンフランシスコ校 | 海外がん医療情報リファレンス

前立腺癌治療の費用対効果の比較/カリフォルニア大学サンフランシスコ校

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

前立腺癌治療の費用対効果の比較/カリフォルニア大学サンフランシスコ校

リリース:2013/1/4

手術が最も費用対効果が高いとの位置づけ-UCSF主導研究

主な前立腺癌治療法を比較した、これまでに実施された最も包括的な後ろ向き研究によると、救命と費用対効果の点でいずれも同等であるとUCSFの研究者チームが今週報告している。

British Journal of Urology International誌に掲載された本研究では、1種類または複数の標準治療(放射線治療、手術、ホルモン療法、小線源治療)を受けた低、中、高リスクの前立腺癌患者を対象とした臨床研究結果を報告する、過去10年間に発表された232の論文を分析した。

低リスク前立腺患者では、治療の種類は生存率に関してはわずかしか違わない。この種の癌患者の生存率はかなり高く、癌特異的5年生存率はほぼ100%であることが本分析で示されている。

しかし、放射線療法の費用は低リスク前立腺癌手術に比べはるかに高いことがわかった。

中および高リスクの癌では、生存率と費用ともに一般的に手術が他の治療法より有利であったが、高リスク前立腺癌では外照射療法と小線源治療の併用が、QOL調整生存率において同等であった。

「われわれの研究結果は、高リスク癌手術の役割はほとんどの臨床現場で一般的にみられるよりもはるかに大きいということを裏付けるものです」と本研究を主導した泌尿器科医のMatthew Cooperberg氏(MD, MPH)は述べた。

Cooperberg氏はUCSF Helen Diller Family総合がんセンター泌尿器科学・疫学・生物統計学科の准教授である。

UCSF Helen Diller Family総合がんセンターは米国の主要な研究および臨床ケアセンターの一つで、サンフランシスコ湾岸地帯で唯一の総合がんセンターである。

多くの治療法の選択肢、少ない費用分析

米国国立癌研究所によると、限局性前立腺癌は米国で毎年25万例発生する前立腺癌の約81%を占める。

限局性前立腺癌は、転移したり、前立腺から他の部位へ広がっていない腫瘍と定義される。

この種の癌には、さまざまな手術(開腹、腹腔鏡下、ロボット補助下)、放射線治療(高線量三次元原体照射、強度変調放射線治療、小線源療法)、ホルモン療法、およびこれらの治療法の併用など複数の治療法がある。

低リスク患者の多くはこれらの治療法のいずれも必要ではなく、少なくとも最初の段階では安全に経過観察できる。

限局性前立腺癌の治療計画は、治療センターによって大きく異なることが多い。

Cooperberg氏が述べるとおり、ある患者は手術を受け、非常に類似した腫瘍を有する別の患者は放射線治療を受け、また別の患者はPSA監視療法を受けることがある。どの治療法も同様にうまくいく。

「ある治療法が他の治療法より良いという確実なエビデンスはほとんどありません」とCooperberg氏は述べた。

しかし、費用対効果の差異、つまり治療による合併症と副作用を調整した上で、生存期間延長1年あたりの医療制度へ支払われる費用を検討するデータがほとんどないことも新たな研究への動機付けであった。

新たな研究はこれまでで最も包括的な費用分析であり、あらゆる病態のさまざまな治療法に関連する費用と転帰とを比較した。その範囲は、低リスク癌の治療のためのロボット補助下前立腺摘除術の19,901ドルから、高リスク癌の併用放射線治療の50,276ドルに及んだ。

本研究では、この他の2つの前立腺癌治療法を検討しなかった。一つは、PSA監視療法で、低リスク癌患者を血液検査と生検で注意深く経過観察し、初期治療を避ける方法である。もう一つの陽子線治療ははるかに高価で、費用対効果がよくないと複数の研究で既に示されているとCooperberg氏は述べた。

「臨床的限局性前立腺癌の一次治療:包括的な生涯費用効用分析」と題する論文はMatthew R. Cooperberg氏、Naren R. Ramakrishna氏、Steven B. Duff氏、Kathleen E. Hughes氏、Sara Sadownik氏、Joseph A. Smith氏、Ashutosh K. Tewari氏が著し、2012年12月28日にBritish Journal of Urology International誌オンライン版で発表された。

UCSFの他に、本研究の著者らは、Veritas Health Economics Consulting, Inc.(カリフォルニア州カールズバッド)、MDアンダーソンがんセンター(フロリダ州オーランド)、Avalere Health LLC(ワシントンD.C.)、バンダービルト大学(テネシー州ナッシュビル)、コーネル大学(ニューヨーク)と提携している。

UCSFおよびKaiser Permanenteの他に、本研究の著者らはワシントン大学(シアトル)、ミシガン大学およびAnn Arbor Veterans Affairs Health Care System(ミシガン州)、カリフォルニア州公衆衛生局と提携している。

本研究は、助成金#5RC1CA146596を介して米国国立衛生研究所の一機関である米国国立癌研究所、および助成金#1U01CA88160を介して米国医療研究品質局の支援を受けた。

論文中の費用対効果はAvalere Health社およびVeritas Health Economics Consulting社が分析した。両機関はIntuitive Surgical (Sunnyvale、カリフォルニア州)から委託された。

研究の資金提供者は、データの収集、分析、解釈および原稿の執筆や承認、または発表のための提出の決定において役割を担っていないと著者らは報告している。

******
吉田加奈子 訳
榎本 裕(泌尿器科/東京大学医学部付属病院)監修
******
原文

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward