Ibrutinibがマントル細胞リンパ腫に先例のない高い有効性を示す/MDアンダーソンがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

Ibrutinibがマントル細胞リンパ腫に先例のない高い有効性を示す/MDアンダーソンがんセンター

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Ibrutinibがマントル細胞リンパ腫に先例のない高い有効性を示す/MDアンダーソンがんセンター

第2相臨床試験からibrutinibが治療抵抗性マントル細胞リンパ腫患者に高い総合的効果と寛解をもたらすことが明らかに
MDアンダーソンがんセンター
2012年12月14日

再発性あるいは難治性マントル細胞リンパ腫(MCL)患者におけるibrutinibの国際的臨床試験から、副作用が少ないと同時にかつてない持続的な効果が明らかになりつつある。

テキサス大学 MDアンダーソンがんセンターの研究者らは、第54回米国血液学会の年次総会で、多施設第2相試験の現時点での中間報告を発表した。

「われわれは、マントル細胞リンパ腫のブレークスルーに立ち会っていると確信する。これは患者にとってすばらしいニュースである」と、MDアンダーソンのリンパ腫、骨髄腫幹細胞移植および細胞治療部門の准教授であるMichael Wang医師は述べた。

Wang氏はMDアンダーソンがんセンターのマントル細胞リンパ腫(MCL)プログラムの責任者であり、過去12年をこの疾患に関するプロテアソーム阻害剤、免疫調節剤およびmTOR阻害剤の臨床試験などの研究に費やしてきた。

「多くの治療を受けてきた再発性あるいは難治性患者に、経口ibrutinib は70パーセントという率で奏効した。これはMCLに対してこれまでに試された他のどの単剤よりもよい結果である」と彼は述べた。「効果は持続的であり、無増悪生存期間は長期にわたる。」

危険な疾患が示す治療の困難さ

MCLは稀で悪性度の高いB細胞サブタイプの非ホジキンリンパ腫であり、白血病リンパ腫協会によれば、非ホジキン患者の6パーセントを占める。初期の併用型化学療法には高い率で反応するが、これは毒性が高く、患者らはしばしば再発する。

Bruton’s tyrosine kinaseはB細胞受容体シグナル伝達のメディエーターであり、正常なB細胞の形成に不可欠である。IbrutinibはBruton’s tyrosine kinase(BTK)を阻害することで癌化B細胞に細胞死をもたらし、細胞の移動や接着を低下させる。

「この臨床的成果の基盤はバイオロジーに基づいている」、とWang氏は語った。「B細胞受容体経路はB細胞性リンパ腫に重要である。BTKはこの経路の駆動分子であり、ibrutinibはBTK分子を標的とする。」

経口投与

51人の患者が参加した試験の中間結果が2011年にASHで報告され、ibrutinibが再発性および難治性MCLに、完全寛解を含めて迅速に奏効することが立証された。

これまでに115人がこの試験に参加している。これらの患者のうち110人が薬剤の有効性評価の対象になった。患者らの中央年齢は68歳、診断からの期間の中央値は42ヶ月、受けた治療の中央値は3種類であり、77パーセントがステージ4であった。

Ibrutinibは、疾患の進行が見られるまで、一日560mgを28日サイクルで連続経口投与された。

高い効果と低い毒性

経過観察期間中央値9.2ヶ月で、全体の奏効率は68パーセントであり、完全寛解率は22パーセントだった。

試験治療期間が長くになるに従って効果は向上した。

・部分寛解までの期間の中央値は2ヶ月であった
・完全寛解までの期間の中央値は4ヶ月であった
・治療期間の中央値は6ヶ月であった
・53パーセントの患者が引き続き治療を受けている

治療効果は最初の51人の患者でより劇的であった。

・全奏効率75パーセント
・完全寛解39パーセント
・試験治療期間中央値15ヶ月

「最も驚いたのは完全寛解率の高さであり、治療期間に従って向上し続けている。にもかかわらず、ibrutinibはマントル細胞リンパ腫に対する薬剤の中で最も安全な薬剤である」、とWang氏は語った。「過去にこのような率に達したのは、細胞減少性併用化学療法のみだったが、それには骨髄抑制と毒性がある。」

ほとんどの副作用は軽度で、下痢、倦怠感、上気道感染症、吐き気および発疹などだった。グレード3あるいはそれより強い副作用は、白血球数低下、貧血、下痢などであった。肺炎の一例は治療に関連したものであると考えられた。これは過去に報告された安全性に関するデータと一致する、とWang氏は述べた。

Bortezomib治療歴のある再発性および難治性MCL患者における重要な試験が開始された。

Ibrutinibを開発したPharmacyclics株式会社がこの臨床試験に出資した。

臨床試験の協力者および共著者は以下のとおりである。
Jorge Romaguera, M.D., also of MD Anderson’s Department of Lymphoma and Myeloma, Simon Rule, M.D., of Derriford Hospital, Plymouth, United Kingdom; Peter Martin, M.D., Weill-Cornell Medical College, New York; Andre Goy, M., John Theurer Cancer Center, Hackensack University Medical Center, Hackensack, N.J.; Rebecca Auer, M.D., Barts Cancer Institute, Queen Mary University of London; Brad Kahl, M.D., University of Wisconsin School of Medicine, Madison, Wisc.; Wojciech Jurczak, M.D., Jagiellonian University, Krakow, Poland; Ranjana Advani M.D., Stanford University School of Medicine; Jesse McGreivy, M.D., Fong Clow, Sc.D., Michelle Stevens-Brogan, and Lori Kunkel, M.D. all of Pharmacyclics, and Kristie Blum, M.D. of The Ohio State University, Columbus, Ohio.

すべての学術機関の共著者はPharmacyclics社から研究資金を得ている。同社の共著者はすべてPharmacyclics社で株主所有権を保有する。

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井上陽子 訳
林正樹 (血液・腫瘍内科 社会医療法人敬愛会中頭病院)監修
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原文


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