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ポナチニブが治療抵抗性の高いタイプの慢性骨髄白血病に作用を示す/MDアンダーソンがんセンター

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ポナチニブが治療抵抗性の高いタイプの慢性骨髄白血病に作用を示す/MDアンダーソンがんセンター

第I相臨床試験で、第3世代薬であるポナチニブが他剤で奏効しなかった患者に効果を示す
MDアンダーソンがんセンター
2012年11月18日

慢性骨髄白血病(CML)で以前は治療により克服できなかった変異体に対して、第I相臨床試験で試験薬であるポナチニブ(ponatinib)が作用を示し、The New England Journal of Medicine誌の最新号で報告された。

T315I変異を有する慢性期CML患者12人全員で、ポナチニブの投与後、血液学的完全寛解(血中にCML細胞が認められない状態)。11人は骨髄でのCML細胞の大幅な減少、また9人は骨髄中にCML細胞が認められない状態である細胞遺伝学的完全寛解を達成した。

T315I変異はCML患者の最大20%に認められ、他のCML治療薬3剤が通常変異体タンパク質に結合する部位をブロックする。

ポナチニブはまた、T315I以外の変異を有するか変異が検出されなかった患者においても高い寛解率を示した。再発または病期の異なる治療抵抗性CML患者、又はフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球白血病患者の合計65人のうち、T315I以外の変異が認められた67%、また変異のない46%で細胞遺伝学的完全寛解を達成した。

「ポナチニブは、治療の選択肢がない患者に有望な治療薬であり、様々な変異や既知の変異を有さない患者に対する本剤の作用は、有効性が幅広いことを示唆しています」と述べるのは、試験責任医師であるJorge Cortes博士であり、テキサス大学MDアンダーソンがんセンター白血病科の教授でもある。

Cortes医師は、ポナチニブの主要な第II相臨床試験の成績について2012年12月に開催される54回米国血液学会で発表する。
米国食品医薬品庁は2012年10月、治療抵抗性又は不耐容CML患者又はフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球白血病(ALL)患者を対象とするポナチニブの承認申請(申請者:ARIAD Pharmaceuticals社)を迅速審査として受諾した。

標的治療薬としての成功

CMLは異常な遺伝子であるBCR-ABLにより引き起こされる。この異常遺伝子は、細胞分裂中に2つの染色体がそれぞれBCR遺伝子とABL遺伝子のDNAの一部を相互に取り換えあう(転座する)ことにより生じる。この遺伝子異常はフィラデルフィア染色体と呼ばれ、転座の結果生じたBCR-ABL融合タンパクが、CMLの特徴である白血球細胞の過剰生産を生じる。BCR-ABLは、他のタンパク質にリン酸基を付与して作用のスイッチのオン・オフとして機能するチロシンキナーゼという種類のタンパク質である。

イマチニブ(グリベック®)の発見は、CMLの治療に革命をもたらした。現在では、約90%のCML患者で生存期間が少なくとも5年であり、イマチニブの登場以前の約50%から改善した。第2世代薬の2剤であるニロチニブ(タシグナ®)及びダサチニブ(スプリセル®)は、イマチニブよりも更に強力な薬剤である。この2剤のいずれも第1選択薬として用いることが可能である。

「イマチニブは驚異的な薬剤ですが、30~40%のCML患者が治療抵抗性を示すようになります。」とCortes医師は述べた。「ニロチニブ及びダサチニブは40~50%のイマチニブ抵抗性患者で効果を示します。」

前臨床試験で、ポナチニブはBCR-ABL及びBCR-ABLで知られている変異体すべてに対し作用を示した。

ポナチニブ – 既知の変異および変異なしのいずれにも活性を有する薬剤

・第I相試験では血液がん患者81人を5施設で組み入れ、そのうち60人がCML患者、5人がフィラデルフィア染色体陽性ALL患者であった。いずれの患者も再発又は治療抵抗性を示し、91%が少なくとも既承認薬2剤での治療歴を有した。追跡期間の中央値は56週であった。

・慢性期CML患者43人のうち、42人が血液学的完全寛解、31人(72%)がmajor細胞遺伝学的寛解(MCyR)、27(63%)が細胞遺伝学的完全寛解(骨髄中にCML細胞が認められない状態)、更に19人(44%)がmajor分子遺伝学的寛解(MMR)をそれぞれ達成した。

・MCyRを達成した慢性期患者での寛解持続期間は8~117週間で、持続期間の中央値はまだ算出されていない。

・診断後0~5年に治療を受けた患者では、診断後5~24年でポナチニブの投与を受けた患者と比較し寛解率が良い。

・慢性期CML患者でT315I以外の変異を有する患者15人、及び変異が検出されない患者13人のそれぞれ60%以上がMCyRを達成した。

・T315I変異を有する慢性期CML患者12人全員が、解析時点で試験に継続参加していた。

・進行期(移行期又は急性転化期)のCML患者22人中8人がmajor血液学的寛解(MHR)、また7人がMCyR、更に2人がMMRを達成した。

・7人が進行期CMLでT315I変異を保持していた。2人がMHR、2人がMCyR、又2人がMMRを達成した。

・用量漸増試験では、ポナチニブの経口投与の開始用量を1日2 mg~60 mgで開始した。試験参加医師達は、用量45 mgを至適用量とした。

主な非血液学的副作用は、グレード1~2の皮膚障害、倦怠感及び悪心であった。膵炎が患者11人で認められ、このうち8人が重篤な有害事象であった。11人中9人で膵炎の発症は1回であり、投与中止は2例にとどまった。

急性骨髄性白血病患者12人も本試験に参加した。その試験成績については別途報告する。

Cortes医師との共同著者には、Hagop Kantarjian医師(MDアンダーソンがんセンター白血病科)、Neil Shah医師・理学博士(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)、Dale Bixby、医師・理学博士、Moshe Talpaz医師(以上ミシガン大学総合がんセンター)、Michael Mauro医師及びBrian Druker医師(以上オレゴン健康科学大学Knight Cancer Institute)Ian Flinn医師・理学博士(Sarah Cannon Research Institute、米国テネシー州ナシビル)、Thomas O’Hare理学博士及びMichael Deininger医師・理学博士(Huntsman Cancer Institute、ユタ大学)、and Simin Hu理学博士、Narayana Narasimhan、理学博士、Victor Rivera、理学博士、Tim Clackson理学博士、Christopher Turner医師及びFrank Haluska医師・理学博士(以上、ARIAD Pharmaceuticals社、米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)であった。

本試験はARIAD Pharmaceuticals社の支援を受けた。Cortes医師は、同社から研究支援を受け、コンサルティングを行った。

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菅原 宣志 訳
吉原 哲 (血液内科/造血幹細胞移植) 監修
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原文


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