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非血縁ドナーからの末梢血幹細胞移植により慢性GVHD発症率が増大/モフィットがんセンター

  • 2012年11月6日

 2012年10月18日
 フロリダ州タンパ発(2012年10月18日)

 モフィットがんセンター血液・骨髄移植部長のClaudio Anasetti医師と血液・骨髄移植臨床試験ネットワークに参加する47施設の共同研究者らは、2年間の臨床試験を実施し、非血縁ドナーから末梢血幹細胞移植あるいは骨髄移植を受けた患者の2年生存率を比較した。臨床試験の目的は、白血病またはその他の悪性血液疾患の患者への非血縁ドナーからの移植において、移植片の種類(末梢血幹細胞あるいは骨髄)が転帰に影響するかどうかを解明することであった。

 米国およびカナダから50カ所の移植センターが本第III相臨床試験に参加し、移植片として278人が骨髄、273人が末梢血幹細胞を受ける群にランダムに割り付けられた。試験の結果は、10月18日発行のThe New England Journal of Medicine誌に掲載された。

 臨床試験結果によると、非血縁ドナーから末梢血幹細胞移植を受けた患者と骨髄移植を受けた患者の間で、全生存率、再発率、非再発死亡率および急性移植片対宿主病(GHVD)に差は認められなかった。GVHDは重篤で死に至ることも多い移植後合併症で、移植されたドナーの細胞がレシピエントの身体を攻撃して発症する。末梢血幹細胞移植を受けた患者は移植片の生着が早い一方で、全慢性GVHD発症率(53%)は骨髄移植を受けた患者(40%)と比較して高かった。非血縁ドナーから末梢血幹細胞移植を受けた患者は、多臓器障害性の慢性GVHD発症率(46%)も骨髄移植を受けた患者(31%)と比較して高かった。

 「血縁ドナーからの末梢血幹細胞移植に臨床的な有用性があることはわかっていますが、本臨床試験結果により、末梢血幹細胞が非血縁者に由来する場合は骨髄移植と比較して患者の生存率に優位性はなく、慢性GVHDのリスクが増大することが明らかになりました。」筆頭著者のAnasetti氏は述べる。「非血縁ドナーからの移植後の転帰を全体的に改善するためには、GVHDを予防するためのより効果的な戦略が必要です。」

 末梢血幹細胞は、もともと骨髄中に発見された幹細胞で、ある種の薬剤により血流に遊出(動員)される。骨髄幹細胞が手術室で骨から採取しなければならないのと異なり、末梢血幹細胞は通常の成分献血と同様の手順で、血管に挿入した管を通して末梢血幹細胞を採取する血液成分分離(アフェレーシス)により容易に得ることができる。移植前には、組織が適合するレシピエントを探すことが重要な手順となる。

 白血病またはその他の血液疾患の治療のために末梢血幹細胞または骨髄の移植が必要な患者の約3分の1は、血縁ドナーを確保することができる。全米骨髄バンクによると、親近者にドナーが見つからない残り70%の患者のほとんどは、非血縁ドナーを見つけることができる。移植を要する患者の多くが非血縁ドナーからの細胞移植を受けることになるため、非血縁ドナーからの移植に伴うリスクに対し、理解を深めることは必須である。

 血縁ドナーからの移植に関する臨床試験の結果、白血病およびその他の血液疾患患者への末梢血幹細胞移植では、骨髄移植と比較して生着率が高く、再発率が低く、生存率が向上することが判明している。しかし、それらの臨床試験では、末梢血幹細胞移植はGVHDリスク増大を伴うこともわかっている。移植後の初期段階を乗り切った後に慢性GVHDを発症することがあるが、これは長期間の免疫抑制剤治療が必要な身体障害となる。

 血縁ドナーからの移植において末梢血幹細胞と骨髄移植の転帰を直接比較した臨床試験では、末梢血幹細胞が優位であったため、多くの移植センターでは成人の幹細胞として末梢血幹細胞の使用が増えている。しかし、非血縁ドナーからの移植で2種の移植片を比較した前向き研究はこれまでになかった。

 本試験は、米国国立心肺血液研究所(U10HL069294)、米国国立がん研究所、および全米骨髄バンクからの資金提供を受けた。

 

モフィットがんセンターについて
タンパにあるモフィットは、優れた研究や、臨床試験、癌の予防・管理への貢献により41カ所しかない米国国立がん研究所指定の総合がんセンターのひとつとして認められている。1999年以降、モフィットはU.S. News & World Report誌で「全米で最高の病院」としてランクされている。また、モフィットは4,200人以上のスタッフを抱え、合衆国に対して20億ドル以上の経済影響を与えている。

詳細はウェブサイトMOFFITT.org
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石岡優子 訳
吉原 哲(血液内科/造血幹細胞移植) 監修
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原文

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